あ ら ま し
無限に広がる宇宙とその歴史を対象とする天文学においては実時間実空間スケールでの実験が不可能であり,その意味で,大型の計算機を使用した数値実験の意義は極めて重い。本稿では,「理論天文学の望遠鏡」を目指して 1996年初頭より国立天文台に導入されたスーパーコンピュータシステムVPP300/16R,VX/4R,VX/1R およびその周辺機器群の立ち上げ経緯,構成,運営方法,いくつかの数値計算例などについて紹介する。32G バイトの大規模な主記憶と 16PEの多並列計算が可能な本システムには,世界の天文学をリードできるような大型数値実験のプラットフォームとしての期待がかかっている。
伊藤孝士(Takashi Ito) | 国立天文台天文学データ解析計算センター |