例えばこちらのページ以下で一覧が公開されている論文の中には、DOI情報を辿ると登録されている出版年がここに掲載されているものと異なる論文がある気がします。
これはどのような理由でしょうか?
また、将来的にこの不整合が解消される見込みはあるでしょうか?
端的にお答えしますと、この現象はDOIのデータベース更新の頻度と時期の関係から生じるものです。
そしてこの不整合の解消が不可能とは言いませんが、数ヶ月や一年単位で計画される中期的作業になることを御了承ください。
以下ではもう少し詳しく、一般的な原則と事情を説明いたします。
冊子体の出版年、つまり論文の刊行年を定めるのは出版社です。刊行年は巻号・ページとセットで決定されます。
昨今の出版社の大半は、論文が受理されると直ちにそれにDOIを付与します。
それに加えて多くの雑誌では、正式な出版前にDOIが与えられた論文をオンラインで先行公開します。
この時にはもちろん刊行年の数値情報もDOIデータベースに与えられますが、それは最終的なものではなく、仮の数値です。
論文の最終的かつ公式な刊行年は出版社が後日改めて定めます。
冊子形態を持つ雑誌であれば、冊子形態の出版年がその位置を占めるようです。
そして、その数値は論文の受理時にDOIのデータベースに与えられた刊行年と異なることがあります。
これが上述した不整合の原因です。
経験的に、論文の受理日が12月末に近い場合にはこうした事態が発生しやすいように見えます。
DOI情報を一元的に管理するのはCrossRefという組織です。
しかしDOIに付与される情報の信頼性を担保するのはそのDOIを申請して授与された側、つまり出版社です。
まともな出版社なら、後から改めて確定させた論文の書誌情報がDOI取得当時のものと異なることが分かった時点でCrossRefに通知し、DOI情報を更新してもらうことでしょう。
CfCAがウェブ公開している計算機共同利用者の出版論文はDOIのデータベースからスクリプトにより自動的に取得されており、しかも出版直後のものが多いです。
これにより、上記の刊行年の不整合を内包している可能性を否定できません。
この不整合の解消作業は手動になるので (全情報に関してスクリプトを動かし、結果を検証して修正する)、高頻度では行えません。
また、出版社がまともでない場合には(上記の更新作業をさぼっている)、いくら私達が作業しても不整合は解消されません。
けれども、兎も角もウェブページ上では各論文のハイパーリンクから出版社のサイトへ飛べることは間違いありません。
従って、こうした不整合があったとしてもそのための実害は極小であることをご理解いただければと思います。
(最終更新日 2024年以前)