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星間ガスの物理




分子雲形成

  1. Kazunari Iwasaki, Kengo Tomida, Tsuyoshi Inuoue, and Shu-ichiro Inutsuka, ApJ, 873, 6 (2019)

中性水素原子ガスのダイナミクス

銀河系には希薄で温かいガス(摂氏6000度程度)が広がっているが, 高密度になると冷却が効いて低温高密度な雲(摂氏-100度程度)になる。 温かい相と冷たい相は圧力平衡の下で隣接して存在している。 下の動画は,二相星間ガスで乱流が駆動されている様子を表している。 青い領域は冷たい相、赤い領域は温かい相を表している。 乱流を外力で駆動させていないにも関わらず、乱流が駆動され続けることがわかった。 乱流エネルギーの元は外部から飛んでくる光子による加熱である。 加熱により二相構造が維持され,二相間の熱伝導が乱流駆動に重要な役割を果たしている。 具体的には,熱伝導による温かい相から冷たい相への相転移の際に, 同時に運動エネルギーが輸送される事によって乱流が駆動・維持される(Iwasaki and Inutsuka 2014)。


二相乱流(動画)


  1. Kazunari Iwasaki and Shu-ichiro Inutsuka, ApJ, 784, 115 (2014).
  2. Kazunari Iwasaki and Shu-ichiro Inutsuka, MNRAS, 428, 3638 (2012).
  3. Kazunari Iwasaki and Toru Tsuribe, A&A, 508, 725 (2009).
  4. Kazunari Iwasaki and Toru Tsuribe, MNRAS, 387, 1554 (2008).


星周円盤形成


  1. Yusuke Tsukamoto, Kazunari Iwasaki, Satoshi Okuzumi, Masahiro N. Machida, Shu-ichiro Inutsuka, MNRAS, 452, 1. 278 (2015)
  2. Yusuke Tsukamoto, Kazunari Iwasaki, Satoshi Okuzumi, Masahiro N. Machida, Shu-ichiro Inutsuka, ApJL, 810, 2, article id. L26 (2015)
  3. Yusuke Tsukamoto, Satoshi Okuzumi, Kazunari Iwasaki, Masahiro N. Machida, and Shu-ichiro Inutsuka, PASJ, 69, 6, id.95 (2017)
  4. Yusuke Tsukamoto, Satoshi Okuzumi, Kazunari Iwasaki, Masahiro N. Machida, and Shu-ichiro Inutsuka, ApJ, 868, 1, article id. 22, 19 pp. (2018)


数値流体計算手法の開発


Smoothed Particle Hydrodynamics法の磁気流体への応用

Smoothed Particle Hydrodynamics(SPH)法は、 流体を粒子の集合体として解く粒子法である。 完全ラグランジュ法であるために, 高密度領域に自動的に粒子が集まり解像度が高くなるため, 大きな密度差のあるガスが混在する問題に有利である。 そのため、宇宙物理学において広くSPH法が用いられてきた。

SPH法の最大の欠点として宇宙におけるガスにおいて 重要な役割を果たす磁場が扱えないという問題があった。 SPHを磁気流体へ適用する試みはなされてきたが, 原始的な人工散逸を用いており,アルフベン波や不連続面などが精度良く解けないなどの 問題があった。そこで本研究では,"物理的な最小限の散逸"を取り入れる ために,有限体積法で標準化しているゴドノフ法と呼ばれる手法をSPHに適用する方法を 編み出した。 我々の計算法は高精度かつ安定にMHDの波動と 不連続面(衝撃波面,回転不連続面)を捕らえることができる。 以下は二次元コードでのテスト計算例である。


Orszag-Tang渦 (動画)

有名な磁気流体力学(Magnetohydrodynamics, MHD)のテスト計算。 SPH粒子を点としてプロットしている。色は密度を表す。 計算には256x256個の粒子を用いている。




rotor (動画)

回転する円盤に一様な磁場が横に突き刺さった状況を初期条件として時間発展を追う。 回転によって磁場が曲げられ、磁場の変動がアルフベン波として外側に伝わると共に, 向心力がないので円盤は遠心力により膨張する。その結果、 下の図のように「目」のような構造ができる。

SPH粒子を点としてプロットしていて、左図が密度、右図が圧力を表している。 86968粒子用いている




星形成時に放出されるアウトフロー
分子雲の中の高密度な領域(分子雲コア)が自己重力により収縮して 原始星が誕生する過程を解明した磁気流体力学数値シミュレーションの 結果。我々が開発した粒子法を用いている。 まず、10AU程度の大きさの第一コアが形成され、その中で再度動的収縮 が始まり、最終的に太陽半径程度の大きさの第二コア(原始星)が形成される。 それぞれの天体の形成に伴い、両極(回転軸)方向に高速ジェット状のガスが 噴出し、角運動量を輸送する。この計算は第一コアからのアウトフロー放出 を表している。赤い線は磁力線を表している。


  1. Kazunari Iwasaki and Shu-ichiro Inutsuka, MNRAS, 418, 1668 (2011).
  2. Yusuke Tsukamoto, Kazunari Iwasaki, and Shu-ichiro Inutsuka, MNRAS, 434, 2593(2013).
  3. Kazunari Iwasaki and Shu-ichiro Inutsuka
    Astronomical Society of the Pacific Conference Series, Volume 474, p.239 (04/2013)
  4. Kazunari Iwasaki, Journal of Computational Physics, 302, 359 (2015).


電離領域膨張と誘発的星形成過程


大質量星は分子雲と呼ばれる冷たいガス雲(摂氏-263度)の中で形成される。 大質量星は強い紫外線を放出し,周囲の分子雲を電離する。 電離領域は膨張しながら周囲の分子雲を掃き集め,強く圧縮されたシェル状のガス層を作る。 このシェルに十分な質量のガスが集まると重力不安定を起こし、次の世代の星形成を誘発する(模式図参照)。


我々は,線形解析と多次元数値シミュレーションを駆使して,誘発的星形成過程の 研究に取り組んでいる。 下の動画は粒子法であるSmoothed Particle Hydrodynamics法を用いた 三次元シミュレーションの結果である。

膨張シェルの自己重力的分裂の三次元シミュレーション結果(動画)

  1. Kazunari Iwasaki, Shu-ichiro Inutsuka, and Toru Tsuribe, ApJ, 733, 17 (2011).
  2. Kazunari Iwasaki, Shu-ichiro Inutsuka, and Toru Tsuribe, ApJ, 733, 16 (2011).
  3. Kazunari Iwasaki and Toru Tsuribe, PASJ, 60, 125 (2008).