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長周期彗星が作るもう一つの黄道面

彗星(すいせい)のうち公転周期が長い長周期彗星は、あらゆる方向からまんべんなくやって来るのではなく、その軌道の向きは特定の二つの面に集中しているようです。この特徴が解析的手法を用いた研究で予測され、さらに数値計算と彗星カタログからも確認されました。今後の太陽系小天体の観測的研究を大きく飛躍させる可能性のある成果です。(2020年9月29日)

スーパーコンピュータ「アテルイ」による研究が日本天文学会2019年度欧文研究報告論文賞を受賞

東北大学の田中雅臣 准教授(論文出版時 国立天文台 理論研究部/CfCA)らによる研究論文が,日本天文学会2019年度欧文研究報告論文賞を受賞しました.
受賞対象となった研究論文は,2017年10月16日付けで『日本天文学会欧文研究報告(Publications of the Astronomical Society of Japan)』に掲載された,Tanaka et al., “Kilonova from post-merger ejecta as an optical and near-Infrared counterpart of GW170817”(合体後放出物質からのキロノバ放射:GW170817の可視光線・近赤外線対応天体)です.この研究では,2つの中性子星の合体により重元素が大量に作られるという現象を,観測とシミュレーションによって初めて明らかにしました.(2020年9月11日 掲載)

庄田宗人研究員が国際天文学連合博士論文賞を受賞

国立天文台 太陽観測科学プロジェクトの庄田宗人(しょうだ むねひと)日本学術振興会 特別研究員が,2019年の「国際天文学連合 博士論文賞」を太陽・太陽圏部門において受賞しました.この賞は,前年に出版された天文学研究の博士論文の中から国際天文学連合(International Astronomical Union,IAU)が優れたものを選び,各部門1名の研究者を表彰するものです.庄田研究員は受賞対象となった論文「減衰不安定とアルフベン波乱流により駆動される高速太陽風」で,2019年に東京大学大学院 理学系研究科において博士号を取得しました.

守屋尭 助教が第9回自然科学研究機構若手研究者賞を受賞

天文シミュレーションプロジェクトの守屋尭 助教が第9回自然科学研究機構若手研究者賞を受賞しました.この賞は若手研究者の育成を目的としたもので,新しい自然科学分野の創成に熱心に取り組み,萌芽的研究連携を促進して成果をあげた優秀な若手研究者に送られます.守屋氏の研究テーマは「超新星で明らかにする大質量星の断末魔」です.2020年6月14日に自然科学研究機構ウェブサイトで,守屋氏の受賞記念講演動画が公開されます.(2020年6月12日 掲載)

矮小銀河におけるストロンチウムの起源

【概要】

 理化学研究所の平居悠(ひらい ゆたか) 基礎科学特別研究員らの研究チームは矮小銀河の化学進化シミュレーションによって,ストロンチウムのような重元素が形成される様々な過程を明らかにしました.研究チームは,矮小銀河で観測されている元素組成を説明するには,少なくとも4種類の天体現象が必要であることを示しました.
(この記事は,理化学研究所のウェブサイトに掲載された「RIKEN Research: Simulation of dwarf galaxy reveals different routes for strontium enrichment」を理化学研究所の許諾のもと日本語に翻訳したものです)

双曲線軌道を描く天体の起源 ―恒星間天体か? それともオールトの雲からか?

【概要】

 2017年に発見されたオウムアムア天体(1I/’Oumuamua)や、2019年に発見されたボリソフ彗星(2I/Borisov)など、近年極端な双曲線軌道を描く天体が立て続けに発見され、太陽系外から飛来したと話題になっています。これらの天体がほんとうに太陽系外起源なのか、天体軌道の進化と分布に着目した研究が、国立天文台の樋口有理可 特任研究員と小久保英一郎 教授によって行われました。その結果、これらの天体は太陽系外起源である可能性が高いことがわかりました。この研究成果は、英国王立天文学会月報オンライン版に2019年11月11日に公開され、2020年2月号に掲載されました。

詳しくは国立天文台 RISE 月惑星探査プロジェクトからのプレスリリース「双曲線軌道を描く天体の起源 ―恒星間天体か? それともオールトの雲からか?」(2020年1月17日)をご覧ください。

スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」の解説パネルが設置されました

国立天文台水沢キャンパスに,スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」解説パネルが設置され,2019 年 12 月 14 日,お披露目セレモニーが執り行われました.設置されたのはスーパーコンピュータ室東側の道路脇,見学コースに面した場所です.パネルの大きさは高さ 160 cm(パネル部分 90 cm),幅 180 cmで,スパコン室内で稼働を続けるアテルイⅡの計算能力や名前の由来,天文学研究における役割などの解説が日本語と英語で記載されています.暖かな日差しの中で行われたセレモニーでは,多くの方々に見守られながら,関係者による解説パネルの除幕が行われました.( 2019 年 12 月 27 日 掲載)

隕石中に小惑星の氷の痕跡を発見

【概要】

東北大学院理学研究科の松本恵 助教と国立天文台科学研究部の片岡章雅助教らによる共同研究チーム(京都大学、立命館大学、海洋研究開発機構、高輝度光科学研究センター、産業技術総合研究所、ロンドン自然史博物館など)は、理化学研究所のSPring-8による放射光X線CTを使って、炭素質コンドライトの一つAcfer 094隕石の内部を観察し、氷が抜けてできたと考えられる小さな空間を多数発見しました。
太陽系形成初期に原始惑星系円盤の低温領域で形成した小惑星は、形成当時に氷を含んでいたと考えられています.小惑星由来の隕石には、氷が融けて生じた水と岩石との相互作用によって形成した含水鉱物が多く見つかっています。しかし、水の素となった氷の存在や分布を示す直接的な証拠は、これまではっきりと示されていませんでした。
本研究では、小惑星の氷の痕跡である氷が抜けてできた空間とその分布を、隕石中で初めて直接的に示しました。空間を作り出した氷は、惑星の素となる塵が太陽からの熱を受けることで “氷とケイ酸塩粒子の塊” となって小惑星に取り込まれます。その後、さらに太陽からの熱を受けることで氷部分が融けて無くなり、今回観察されたマイクロメートルサイズの空間が生じたと考えられます。

CfCAの研究者が参加するブラックホール観測研究チームがブレークスルー賞を受賞

ブラックホール観測の国際的な研究チーム,イベント・ホライズン・テレスコープ(Event Horizon Telescope,以下EHT)が2020年の基礎物理学ブレークスルー賞を受賞しました.
ブレークスルー賞は,生命科学・基礎物理学・数学の分野において重大な問題を解決した研究成果に対して与えられる賞で,ブレークスルー賞財団と設立出資者によって授与されます.EHTチームは,世界の8か所の電波望遠鏡をつないで観測することで,世界で初めて巨大ブラックホールが作り出す「ブラックホールシャドウ」の撮影に成功しました.このことが「ブラックホールはどのように見えるか?」という問いに対する重要な成果と評価され受賞にいたりました.2019年4月に発表されたブラックホールシャドウ観測に関する6本の論文の著者347人が受賞対象となり, EHTチームに参加する天文シミュレーションプロジェクトの川島朋尚 特任助教も受賞者に含まれています.