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矮小銀河におけるストロンチウムの起源

【概要】

 理化学研究所の平居悠(ひらい ゆたか) 基礎科学特別研究員らの研究チームは矮小銀河の化学進化シミュレーションによって,ストロンチウムのような重元素が形成される様々な過程を明らかにしました.研究チームは,矮小銀河で観測されている元素組成を説明するには,少なくとも4種類の天体現象が必要であることを示しました.
(この記事は,理化学研究所のウェブサイトに掲載された「RIKEN Research: Simulation of dwarf galaxy reveals different routes for strontium enrichment」を理化学研究所の許諾のもと日本語に翻訳したものです)

双曲線軌道を描く天体の起源 ―恒星間天体か? それともオールトの雲からか?

【概要】

 2017年に発見されたオウムアムア天体(1I/’Oumuamua)や、2019年に発見されたボリソフ彗星(2I/Borisov)など、近年極端な双曲線軌道を描く天体が立て続けに発見され、太陽系外から飛来したと話題になっています。これらの天体がほんとうに太陽系外起源なのか、天体軌道の進化と分布に着目した研究が、国立天文台の樋口有理可 特任研究員と小久保英一郎 教授によって行われました。その結果、これらの天体は太陽系外起源である可能性が高いことがわかりました。この研究成果は、英国王立天文学会月報オンライン版に2019年11月11日に公開され、2020年2月号に掲載されました。

詳しくは国立天文台 RISE 月惑星探査プロジェクトからのプレスリリース「双曲線軌道を描く天体の起源 ―恒星間天体か? それともオールトの雲からか?」(2020年1月17日)をご覧ください。

スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」の解説パネルが設置されました

国立天文台水沢キャンパスに,スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」解説パネルが設置され,2019 年 12 月 14 日,お披露目セレモニーが執り行われました.設置されたのはスーパーコンピュータ室東側の道路脇,見学コースに面した場所です.パネルの大きさは高さ 160 cm(パネル部分 90 cm),幅 180 cmで,スパコン室内で稼働を続けるアテルイⅡの計算能力や名前の由来,天文学研究における役割などの解説が日本語と英語で記載されています.暖かな日差しの中で行われたセレモニーでは,多くの方々に見守られながら,関係者による解説パネルの除幕が行われました.( 2019 年 12 月 27 日 掲載)

隕石中に小惑星の氷の痕跡を発見

【概要】

東北大学院理学研究科の松本恵 助教と国立天文台科学研究部の片岡章雅助教らによる共同研究チーム(京都大学、立命館大学、海洋研究開発機構、高輝度光科学研究センター、産業技術総合研究所、ロンドン自然史博物館など)は、理化学研究所のSPring-8による放射光X線CTを使って、炭素質コンドライトの一つAcfer 094隕石の内部を観察し、氷が抜けてできたと考えられる小さな空間を多数発見しました。
太陽系形成初期に原始惑星系円盤の低温領域で形成した小惑星は、形成当時に氷を含んでいたと考えられています.小惑星由来の隕石には、氷が融けて生じた水と岩石との相互作用によって形成した含水鉱物が多く見つかっています。しかし、水の素となった氷の存在や分布を示す直接的な証拠は、これまではっきりと示されていませんでした。
本研究では、小惑星の氷の痕跡である氷が抜けてできた空間とその分布を、隕石中で初めて直接的に示しました。空間を作り出した氷は、惑星の素となる塵が太陽からの熱を受けることで “氷とケイ酸塩粒子の塊” となって小惑星に取り込まれます。その後、さらに太陽からの熱を受けることで氷部分が融けて無くなり、今回観察されたマイクロメートルサイズの空間が生じたと考えられます。

地球型惑星形成に関する新たな制約条件の解明

【概要】

近畿大学総合社会学部のソフィア・リカフィカ・パトリック准教授と国立天文台天文シミュレーションプロジェクトの伊藤孝士助教からなる研究グループは、太陽系の地球型惑星である水星・金星・地球・火星の軌道配置や質量分布を解明するため、これまで広く受け入られてきた原始惑星系円盤モデルから出発して惑星が形成されるまでの過程を、詳しい数値シミュレーションで検証しました。その結果、従来言われて来た円盤モデル(例えば「グランド・タック」モデルと呼ばれるものなど)から出発したのでは太陽系の地球型4惑星の形成を十分満足には再現できないことが分かりました。そしてこの結果より、地球型4惑星の形成に対する新たな制約条件(初期の円盤は現在の金星-地球軌道間の狭い領域において大きな面密度を持ち、その内外には低密度の領域を伴う、など)が与えられました。
(2019年10月11日掲載)

重力波天体追跡観測チームの研究者らが文部科学大臣表彰の科学技術賞を受賞

 国立天文台のすばる望遠鏡やスーパーコンピュータ「アテルイ」を用いた研究などで業績をあげた研究チームの研究者が、平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞(研究部門)を受賞しました。受賞者は、国立天文台ハワイ観測所長の吉田道利(よしだみちとし)教授、東北大学の田中雅臣(たなかまさおみ)准教授、スタンフォード大学の内海洋輔(うつみようすけ)物理科学研究員です。
 受賞対象となった業績は「中性子星合体重力波現象の光赤外線対応天体の研究」です。表彰式は、2019年4月17日に文部科学省 (東京都千代田区) にて執り行われました。

ニュートリノや宇宙プラズマのシミュレーション精度が飛躍的に向上 -ブラソフ方程式の高精度数値解法を開発

【概要】

筑波大学計算科学研究センター 田中 賢研究員、吉川耕司講師、海洋研究開発機構 簑島 敬研究員、東京大学大学院理学系研究科/国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 吉田直紀教授らは、ニュートリノや宇宙プラズマの運動を記述する基礎方程式「ブラソフ方程式」の高精度数値解法を開発しました。ブラソフ方程式は、宇宙に広がる様々な粒子の運動を記述する重要な方程式です。ところが、ブラソフ方程式を用いたコンピュータ・シミュレーションには莫大なメモリ量が必要で、3次元空間での実行は不可能と考えられてきました。今回、高精度数値解法を開発したことにより、現実的なメモリ量でシミュレーションの精度を飛躍的に向上させることができます。この研究成果は2017年11月13日に筑波大学、東京大学よりプレスリリースされました。(2017年12月1日 掲載)