中性子星の連星をつくる、外層が大きく剥がれた星の超新星爆発を発見
【概要】
2017年、連星を成す二つの中性子星の合体現象が、重力波と電磁波を用いた観測によって世界で初めて捉えられました。実は、中性子星どうしの連星が作られる条件はたいへん難しいと考えられており、その形成過程はこれまで明らかになっていませんでした。この問題を解決するために、国立天文台理論研究部の守屋尭 特任助教らの研究チームは、次のような理論が唱えてきました。中性子星と連星を成している星の外層が大きく剥がれ、その状態で超新星爆発を起こすと、結果、中性子星どうしの連星が作られるという説です。そしてついに、この理論で予測された外層が大きく剥がれた超新星とよく一致する特徴を示す超新星が、過去の観測データからこのたび発見されたのです。これは、中性子星どうしの連星を形成すると考えられる超新星爆発を、世界で初めて捉えた観測と言えます。(2018年10月12日 プレスリリース)
東京大学と京都大学を中心とする研究グループ(テキサス大学天文学専攻の平野信吾 日本学術振興会海外特別研究員、京都大学理学研究科の細川隆史准教授、東京大学大学院理学系研究科/国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)主任研究員の吉田直紀教授ら)は、「アテルイ」をはじめとするスーパーコンピューターを用いたシミュレーションを行い、ビッグバン後の超音速ガス流から太陽の 34,000 倍もの重さをもつ巨大ブラックホールが誕生することを明らかにしました。この巨大ブラックホールが成長することで、これまでの観測で見つかった最遠方の宇宙に存在する超大質量ブラックホール(モンスターブラックホール)の起源と成長を説明することができます。本研究成果はアメリカ科学誌 「Science」 のオンライン版で9月29日に掲載されました。(2017年9月29日 プレスリリース)
千葉大学大学院理学研究院 松本洋介 特任准教授、東京大学大学院理学系研究科 天野孝伸 准教授、星野真弘 教授、国立天文台天文シミュレーションプロジェクト 加藤恒彦 専門研究職員の研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を使った超大規模数値実験により、 超新星爆発等によって発生する強い天体衝撃波の 3 次元構造を世界で初めて明らかにしました。約 1 兆個のプラズマ粒子の運動を追跡することで、「冷たいプラズマがどうやって宇宙線のエネルギーまで加速されるのか?」という宇宙線誕生過程の解明に大きく近づくことができました。本成果はアメリカ物理学会が発行する Physical Review Letters 誌に掲載されました。(2017年 9月 25日 プレスリリース)