地上に残された大規模衝突クレーターの分布や,スターバーストと呼ばれる銀河における星形成のエピソードにも約20億年周期があることがわが国の研究者によって明かにされている(上図).衝突によって生じたクレーターは時間とともに風化や侵食,造山運動によってかき消されてしまうが,大規模なものは今日まで痕跡をとどめているものがある.この図から衝突クレーターの形成に約20億年の周期性がある.この周期性は大小マゼラン星雲が我々の銀河へ接近する周期と一致しており,マゼラン星雲の潮汐作用によって小天体の軌道が乱され,地球への衝突頻度が高くなったのではないかと考えられている.
私たちの銀河は渦巻構造をなしている.銀河中心に対する太陽系の公転周期は約2〜3億年と推定されており,その間に銀河の腕や分子雲と遭遇すると考えられる.太陽系は銀河面に対して約3千万年ごとに銀河面を通過するような上下運動をしている.太陽系が分子雲,銀河の腕,銀河面を通過するときに重力的な摂動を受け,小天体の軌道が乱れて惑星に衝突する頻度が高くなり,これがきっかけで環境の激変や生物の大量絶滅が引き起こされたとするシナリオも提案されている.大規模衝突による全地球規模でしかも急激な変動は,クレーター地形や構造だけでなく堆積物中のイリジウムの異常濃集のような物的証拠としても記録されている.