土星のFリングと羊飼衛星の起源を解明

【概要】

神戸大学大学院理学研究科の兵頭龍樹さん(博士後期課程2年)と大槻圭史教授は,土星のFリングとその羊飼衛星が,土星衛星の形成過程の最終段階で,自然な副産物として形成されることを初めて明らかにしました.この研究成果は8月18日,Nature Geoscienceにオンライン掲載される予定です.

詳しくは神戸大学プレスリリース(2015年8月18日):土星のFリングと羊飼衛星の起源を解明をご覧ください.



 

図:衛星同士の衝突破壊過程のシミュレーション結果 密度の高い核を持つ二つの衛星が,現在のFリングの位置で衝突した場合の結果を示す.衝突後,核は破壊されずに残って二つの羊飼衛星となり,ばらまかれた粒子のうち二つの衛星に挟まれた軌道に分布するものがFリングを形成する.(Hyodo & Ohtsuki, Nature Geoscience, 2015, Fig.2 より改変)

【論文】

掲載雑誌:Nature Geoscience
タイトル:Saturn's F ring and shepherd satellites a natural outcome of satellite system formation.
著者:兵頭龍樹,大槻圭史(神戸大学)
DOI:10.1038/ngeo2508

【使用された計算機について】

本研究では国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics:CfCA)が運用をする,重力多体問題専用計算機 GRAPE(GRAvity PipE) が計算の一部に使用されました.GRAPE は重力多体問題でもっとも計算量が大きい粒子間の重力相互作用を高速に計算するために開発された計算機です.本研究で用いられたのは GRAPE-DR とよばれる機種になります.GRAPE-DR の1台あたりのピーク性能は単精度で1.6Tflops,倍精度で0.8Tflopsです.高い性能を誇る一方で電力効率に優れ,GRAPE-DRを用いた国立天文台と東京大学のスーパーコンピュータシステムが2010年に電力効率世界一を達成しました.

【用語解説】

羊飼衛星:細い惑星リングのすぐ側や,幅広いリングの外側に軌道をもち,重力作用によってそのリングの形状を保つ働きをしていると考えられる衛星のこと.羊が群から逃げないように番をする羊飼いにたとえて,羊飼衛星と呼ばれている.今回のリリースでとりあげた土星の衛星の他に,天王星のεリングの側をまわる衛星コーディリア,オフィーリアなどがある.

【関連リンク】

神戸大学 大学院理学研究科 惑星学専攻 / 理学部 惑星学科