「全地球史解読春の学校」
at 千葉県茂原市 4/4−4/6
縞縞学セッション案
セッションの目的
- 新しく全地球史解読計画に入ってきてくれた学部生や修士学生に、縞縞学のもってい
る問題意識、おもしろさ、研究としてアプローチするときの基礎知識・考え方を知っても
らう.また、縞縞学の教科書を作る種にする.
- 全地球史解読の縞縞グループ以外のメンバーにも、縞縞学的アプローチの中身を詳し
く知ってもらって、その「できること」、「しようとしていること」と同時に限界を明ら
かにし、相補的な研究協力ができるようにする.
セッションの特徴
- 第1部では、縞縞学の「こころ」をその創始者たちに語ってもらい(熊澤、川上、古
本)、これが新しい自然の「見方」を提案しようとするものであることを明らかにする.
高野の講演は、この「こころ」をどう具体的な研究として実現させていけばよいか、とい
うことについて全地球史解読における研究戦略・戦術をのべて、第2部へのインターフェ
イスをつける.
- 第2部では各分野の専門家の皆さんに、縞縞学的アプローチをするときに避けて通れ
ない基礎的事項を語ってもらう.スキームとしては、「順問題」を解いて(解こうとして
)、しかるのちに「逆問題」を解こうとするという考え方でセッションを構成した.
- 「順問題」(伊藤、阿部、一部福沢)
- 地球システムに対する外力として、天体力学的リズム(ミランコビッチサイクルなど)が
存在する
−>地球表層システムがシステム内部の力学の外力への応答として、リズムをもつ
−>そのリズムの結果として海底や湖底に縞縞堆積物ができる
- 「逆問題」(福沢、岡庭)
- −>実際の縞縞堆積物をとってきてはかる
−>そこから地球のリズムやイベントを解読する
4/4(金)午後
第1部 縞縞学ってなんだろう?
熊澤峰夫(名大)「全地球史解読のめざすもの」45分
注文:学部生・修士学生にヨコシマ学のこころを語ってもらう.研究者の入り口にいる人
間を、全地球史解読とはなにかを語ることを通して、cultivate(畑を耕す)してもらい
たい.かれらにわかることばでお願いします.
川上紳一(岐阜大)「縞縞学入門:地球システムのリズムとイベント」60分
注文:これまでの縞縞学的研究のレビューをしてもらって、皆さんに具体的なイメージを
つかんでもらう.と同時に、これらの研究をさして「縞縞学」と名づけた意義、つまり、
われわれは新しい自然の見方を提起しているのだというところを、強調してもらう.(畑
に種をまく)
古本宗充(金沢大)「縞縞学入門:宇宙と地球の相互作用」45分
注文:地球は宇宙にたいしてひらかれている、というよく考えれば当たり前だが、よく考
えなけば意識できない考え方を提起してもらう.「縞縞学」の名付け親にわれわれのこち
こちの発想をほぐして、銀河までひろげてもらう.(畑に肥料をやる)
高野雅夫(名大)「全地球史解読における縞縞学的アプローチ」45分
注文:全地球史解読において、縞縞学をどう具体的な研究として練りあげるか、その構想
を明らかにする. (収穫用の鎌を砥ぐ)
4/6の巡検の内容と意義についても少し解説する。
4/5(土)午前
第2部 縞縞解読ってどうやるの?
伊藤孝士(国立天文台)「ミランコビッチサイクルとは何か」60分
注文:ミランコビッチサイクルとは何かを原理的に解説してもらう.特にIKダイアグラ
ムをどうやってかいたかについて、最小限の数式を使って解説してもらう.
阿部彩子(気候センター)「気候システムの応答と縞縞堆積物の形成」60分
注文:地球表層システムを全体としてとらえる考え方(モデリングの仕方)とそのツボを
解説してもらう.また第4紀や未来代の具体的な気候変動モデルのさわりを解説してもら
って、地球表層システムがどいういうリズムやイベントをもっているかを解説する.また
、こういう気候変動があるから、こういうところにこういう堆積物(物的証拠)が残って
いるはずである、というような問題提起をしていただけると、最高.
福沢仁之(都立大)「海底・湖底堆積物からよむ地球のリズムとイベント」60分
注文:実際の海底・湖底堆積物から地球表層システムのリズムとイベントを読む努力を具
体的に示してもらう.学生に「こうやるのか」というイメージをもってもらう.
4/5(土)午後
岡庭輝幸(名大)「太古代・原生代の縞縞堆積物をどうよもうとしているか」45分
注文:全地球史解読の中でどう具体的な研究をすすめているか、どこまで進んでいるか、
という点をvisualに解説してもらう.
高野 雅夫/Masao TAKANO
名古屋大学理学部地球惑星科学教室/Earth & Planetary Sci., Nagoya Univ.
e-mail: masao@eps.nagoya-u.ac.jp
Date: 31 Mar. 1997
HTML edited by: 増田 耕一/Kooiti MAUSDA
東京都立大学理学部地理学科/Geography, Tokyo Metropolitan Univ.
e-mail: masuda-kooiti@c.metro-u.ac.jp
Date: 3 Apr. 1997
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