秋の学校の口頭講演

講演者と内容


小埜恒夫(水産庁・中央水産研究所)
「人類による地球環境の変化」
我々は現在いろいろな所で地球環境の変化を起こしています。 これらは確かに「現代社会」にとってはオオゴトですが、 「地球史」的に見たらどのくらい重みを持っているのでしょうか? 「二酸化炭素の増加」の例を中心に、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

田近英一(東京大学・理・地質)
「物質循環と地球環境の変化〜モデリングによるアプローチ」
地球史においてはさまざまな時間スケールで 気候が「変動」していることが知られています。 一方、地球環境は長い目で見れば「安定」であるといわれています。 それでは、「安定」と「変動」はどのような関係にあるのでしょうか? 気候変動の支配要因のひとつであると考えられている炭素循環を基礎に モデリングの立場からこうした問題について考えてみたいと思います。

岩森光(名古屋大学・理・地球化学)
「火成作用からみた地球惑星内部のダイナミクス」
地表に噴出するマグマの分布や性質(化学組成、温度など)は、 地球惑星内部の物理的、化学的構造やダイナミクスについて 定量的な情報を与えてくれる。例えば海嶺玄武岩の解析から、 海嶺はマントル深部の熱境界層に由来する高温上昇部ではなく、 何らかの理由でプレートが引き裂かれるときの受動的な運動に 対応しており、より深部の対流とプレートテクトニクスはその意味で 独立に進行していると考えるべき根拠を提出している。
火成作用から地球惑星内部のどのようなことが読みとれるかについて レビューを行ない、また私見を述べる。

奥地拓生(東京工業大学・理・地球惑星科学)
「化学的核マントル相互作用」
全地球ダイナミクスの動力源は、基本的には地球中心の持つ熱および 化学エネルギーである。この核のエネルギーをマントルに伝える変速機が 核マントル相互作用であるが、これについては現在のところ、熱的相互作用が 議論の中心であり、一方の化学的相互作用についてはほとんど理解されていない。
本講演では後者の重要性を、私が最近行なった高温高圧実験の結果に基づいて指摘したい。 金属鉄と比較して10%密度が低い地球の外核には、実は大量の水素が溶解していて、 その酸化反応がマントル上昇流の駆動力となっている可能性がある。

坂元尚美(東京都立大・理・地理)
「Project "KAME"〜データからみる地球環境〜」
古環境の推定は、気候モデルなどに代表される物理的アプローチと 化石の分布などに代表される博物学的アプローチの二つの手法が 考えられる。この二つの研究手法は古環境の推定という意味で同じ 方向性を持ちながらも、実際には、結果として出力する形式 (物理的アプローチでは気温や気圧などの物理変数、博物学的手法では 氷痕の広域分布など)の違いから、相互に互換性のない結果を提示 している。
ここでは、物理的アプローチと博物学的アプローチの両方を同時に 行なって結果を検討することにより、この2つのアプローチの結果を 相互に互換性のあるものとするために必要な要素を検討した。


講演タイトルは変更する可能性があります。

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全地球史解読「秋の学校」実行委員会
岡庭輝幸
deep-aki@geog.metro-u.ac.jp
[HTML更新: 箕輪はるか、1997-10-08]

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