5.2 総括班

総括班の役割

本研究の特長のひとつは,異なる分野間の有機的連携を図りながら新分野を開いていこうとするものであり,各チームをまとめる「総括」の役割に加えて,地球史全体の研究を見渡すいくつかの機能を総括班に持たせる.

  1. ひとつのまとまった分野として研究上の連携がとれるようにするため,さまざまな異なった言語をもつ多くの文化圈(分野)の間の「情報流通」を積極的にはかり,新しい概念構成をうながす触媒の機能を果たす「情報流通担当」をおく.情報流通担当者は異なる分野の班員だけでなく,班員以外の専門家とも適宜連絡を取ってシンポジウム,ワークショップなどを企画し,当面の計画課題研究と公募研究との連携推進をはかる.更にデータベース構築も担当する.
  2. 本研究はさまざまな新しい研究方向を生みだすと予想されるが,それが将来どのようなところから始まるか,また始めるのがよいのか,必ずしも予測できない.これは本研究における発見や基礎研究の進展状況,周辺関連分野の発展,テクノロジーの進歩などにも大きく依存する.しかしそれをいち早く見いだして手を打つのはわれわれの洞察力と行動力にかかっている.そこで「将来計画担当」をおいて組織的なサーベイを行なう.
  3. 地球上に残されている記録から天文学的宇宙物理学的な諸要素を読み取るには,地球の物質科学的研究の現場に,相応のセンスを必要とする.そこで「宇宙担当」をおいて,さまざまな可能性,予測などについての情報を積極的に供給し,発見を見逃がさないようにする.
  4. 多量の試料から質的に新しいデータを取得し,かつそれを適切に処理して有用な結果を得るには,必要なテクノロジーを常時刷新しつつ導入していく必要がある.これに対処するために,「技術担当」をおく.
  5. 地球多圏相互作用は本質的には多自由度非線形複合系である.それをできるだけ実直な「物理的フルモデル」で扱う「もでる班」を支援するため,「非線形通訳担当」をおいて「人間にわかるモデル」によって相互作用をわかるようにする.
  6. 本研究が独善に陥らないように,また本研究の重要性を学界の指導的な立場の人に認識して頂けるように,そのような方々に評価委員をお願いする.各種の資料,ニュースレターなどをお送りするとともに,ワークショップ,シンポジウムなどにお招きして御意見を出していただく.

総括班の組織

班長 熊澤峰夫  名古屋大学理学部    教授  固体地球惑星科学
    (代表者,総括)
幹事 瀬野徹三  東京大学地震研究所  助教授  固体地球物理学
    (総務,もでる班担当)
幹事 丸山茂徳  東京工業大学理学部  教授   地質学
    (とる班担当,将来計画担当)
幹事 大江昌嗣  国立天文台地球回転系 教授   測地学
    (とけい班担当)
幹事 川上紳一  岐阜大学教育学部   助教授  固体地球惑星科学
    (よむ班, 将来計画担当)
幹事 濱野洋三  東京大学理学部    教授   固体地球惑星物理学
    (技術担当)
幹事 内藤勲夫  国立天文台地球回転系 助教授  気象学
    (情報流通担当)
幹事 大野照文  京都大学理学部    助教授  古生物学
    (生物学担当)
   高野雅夫  名古屋大学理学部   学振研究員 固体地球惑星物理学
    (総務補佐)
   桜井邦朋  神奈川大学工学部   教授   宇宙太陽物理学
    (宇宙担当)
   伊東敬祐  神戸大学理学部    教授   固体地球惑星科学
    (非線形担当)
   甲斐昌一  九州大学理学部    教授   非線形力学
    (非線形担当)
   安成哲三  筑波大学地球科学系  教授   気候学・気象学
    (気候学担当)
   半田暢彦  名古屋大学大気水圏研 所長   有機地球科学
    (有機物質担当)

評価委員(敬称所属略  われわれがお願いしたいと考えている方のリスト).
国内: 秋本俊一 上田誠也 海野和三郎 大島泰郎 小嶋 稔 小田 稔
    木村資生 北野 康 古在由秀  久城育夫 酒井 均 清水幹夫
    富永 健 浜田隆士 原田 馨  樋口敬二 増田彰正 松野太郎
    森本雅樹
    
国外: A. Berger,  W. S. Broecker,J. Eddy,真鍋淑郎,都城秋穂,G. Williams

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