巻頭言

天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics, CfCA)は、 2006年4月に国立天文台天文学データ解析計算センター が「天文データセンター」と「天文シミュレーションプロジェクト」に分割・ 改組され発足したものです。従来のデータ解析計算センターの中で「大規模シ ミュレーション運用グループ」と呼ばれていた、理論シミュレーション用スー パーコンピューターと重力多体問題専用計算機 GRAPE の共同利用をおこなって きたグループが母体となっています。

2007年度末には計算機システムがリプレースされ、 VPP5000 が NEC SX-9 と Cray XT4 の複合システムとなり、演算能力で50倍の増強を実現しました。また、 GRAPE-7 システムも運用を開始し、従来の GRAPE-5 システムに比べると30倍の 計算能力の増強を実現しました。

2009年度も、この年報にある通り多くのユーザーが利用し、素晴らしい研究成 果をあげたことはプロジェクト長として嬉しい限りです。

今年度は新システムの運用の2年目となり、1年目に比べてハードウェア・ソフ トウェアのトラブルも減少し、ユーザーの皆様にご迷惑をおかけすることも少 なくできたのではないかと思います。また、大量のデータを出すユーザーのた めにファイルサーバの増強も進めています。今後も、多くのユーザーが有効に 研究に利用でき、素晴らしい研究成果をあげられるシステムを提供すべく努力 を続けていきたいと考えています。

11月には国家プロジェクトの次世代スーパーコンピュータープロジェクトの 「仕分け」が大きな話題となりました。 CfCA も筑波大学計算科学研究セン ター、KEK 計算科学センターと共同で次世代スーパーコンピュータ戦略プログ ラムへの採択を目指して準備を進めています。このような方向からも、 大規模・高速な計算機の資源の拡大とシミュレーション天文学の一層の振興を 推進していきます。皆様の御協力をお願いいたします。

2010/6/17
天文シミュレーションプロジェクト プロジェクト長 牧野淳一郎


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