太陽系外惑星の発見と研究の現状 伊藤孝士 (国立天文台 天文学データ解析計算センター) 1995年に最初の発見がなされて以来、太陽系以外の惑星系いわゆる太陽系外惑星系 の発見は加速度を増しており、2001年2月現在でその数は60個近くにも及んでいる。 本稿では現在までに発見された太陽系外惑星の特徴や主要な観測方法について簡単 に触れ、そこから派生した現状の問題点についてまとめてみたい。本稿には太陽 系外惑星系研究のごく基本的な事項のみを記してある。が、参考文献を多目に挙げ ておいたので、より深い関心を持った読者はそれらの文献に直接当たることをお薦 めしたい。 太陽系外惑星の発見とその定義 1995年に Mayor と Queloz によって最初の発見がなされて以来[31]、太陽に似 たスペクトル型を持つ他の恒星の周りに惑星が次々と発見され始めた[3,51,41,30, 28,29]。G. Marcyらを中心としたexoplanets.org のウェブサイトにあるデータを もとにして、太陽系外惑星系の軌道半長径と軌道離心率および質量の関係を図示し たのが図1である。白丸で示された私達の太陽系の木星型惑星 (木星・土星・天王 星・海王星) と比べると、太陽系外惑星の姿が実に多様であることがすぐにわかる。 惑星の質量は木星の質量の0.16倍から17倍と大きくばらついている。惑星の軌道半 長径はどれも3.5AU (AU=天文単位) 以内に収まっているが、特筆すべきは0.1AUよ りも小さな軌道半長径を持つ惑星が非常に多いということである。即ち、木星に匹 敵する巨大な質量を持つ惑星が主星の極く近傍を短い周期で公転しているという描 像が得られているのである。また多くの場合、惑星の軌道離心率は私達の太陽系惑 星のそれに比べてかなり大きい。これらの事実より、太陽系外惑星系の姿は一般に 私達の太陽系とは大きく異なることがわかり、時には異形という形容で表現される ことすらある。 けれども図1に示されるような太陽系外惑星の描像には、その観測方法と観測限 界に依存する選択効果が大きく寄与していることに留意する必要がある。太陽系外 惑星の検出は現在のところ、主として中心星の視線方向速度の変化によるスペクト ル線のドップラー変位を観測することによってなされている。この視線速度変化の 振幅は、惑星の質量が大きく且つ軌道半長径が小さい (=公転周期が短い) ほど大 きい。即ち、上述されたような中心星の近傍を周回する巨大惑星は、観測的に最 も発見されやすい種類の天体なのである。 ところで太陽系外惑星とはどのように定義される天体であろうか?実のところ厳 密な意味での太陽系外惑星の定義は存在しない。本稿では以下の三種類の性質を満 たす天体を便宜的に太陽系外惑星と呼んで話を進める。(1)主星である恒星の周り を回っており、(2)自分では光を放っておらず、(3)質量が13木星質量以下の天体。 太陽系外惑星と区別が難しい天体に褐色矮星というものがある。褐色矮星は恒星と 木星型ガス惑星の中間的な性質を持つ天体であり、太陽系外惑星同様に多くの発見 がなされ続けている[54]。本稿では木星質量の13倍というところに惑星と褐色矮星 を区別する線を引くことにするが、その境界は明確ではなく、曖昧な部分がある。 図1の右図には質量が木星の13倍より大きな天体も描かれているが、この辺りは まさに惑星と褐色矮星の境界に相当する領域である。 太陽系外惑星の観測 太陽系外惑星の観測方法は幾つかある。すぐに思い付くのは、惑星を直接に望遠 鏡で撮像してしまおうというものである。原理的にはとてもわかりやすい方法だが、 これを実現するのは非常に難しい。一般に惑星と主星は明るさのコントラストが非 常に大きく(惑星は暗く主星は明るい)、その割に惑星は主星の近傍に存在するので、 撮影された画像から惑星の像を分離するのが簡単ではないためである。現在のとこ ろ、太陽系外惑星を直接撮像した明快な例は未だに報告されていない (cf. [44])。 但し惑星よりも大きな褐色矮星については直接撮像に成功しており[34,37]、太陽 系外惑星の直接撮像が実現されるのも時間も問題であろうと予想されている。 天球上に於ける主星の位置変化を観測することによっても太陽系外惑星の存在を 検証することは可能である[24]。惑星と主星は厳密に言えばその共通重心の周りを 回っている。但し惑星は暗く、主星は明るい。従って、直接見える明るい主星の位 置変化を精密に観測すれば、主星の周囲にどのような惑星がどのような軌道で周回 しているのかに関する情報を得られるはずである。現在のところこの方法で発見さ れた太陽系外惑星は未だないが、主星の運動の振幅変化を統計的に解析することに より、他の方法で発見された太陽系外惑星の質量に上限値を与える方法として用い られた例がある[33,50]。 また、MACHOs (Massive Astronomical Compact Halo Objects) の発見手段とし て用いられる重力マイクロレンズ効果を利用して、かなり遠方にある太陽系外惑星 系を発見する試みも行われている[2,12,1,39]。重力マイクロレンズとは、遠方に ある光源天体(銀河やクェーサー) からの光が手前にあるレンズ天体(この場合には 太陽系外惑星系) によって集光される現象のことである。この時、観測者から見る と光源天体の明るさが時間的に大きく変化する。この光源天体の明るさの時間変化 を詳細に分析することにより、レンズ天体が惑星を持っているかどうかを判断する ことも可能となる。この方法は他の方法と異なって再現性に乏しく、一度観測され たレンズ天体の追跡観測はほぼ期待できない。けれども重力マイクロレンズ現象は 全天を見渡せば非常に高い頻度で発生しており、また、レンズ天体までの距離も長 い。全天で発生する重力マイクロレンズ効果を常に観測し続けることにより、大き なスケールの宇宙空間に惑星系がどのくらいの頻度で存在するのかという統計的な 帰結を導くことができるかもしれない。 このほか、主星の前面を惑星が通過することによる主星の光度曲線の減衰を観測 するという方法でも太陽系外惑星の存在が確認されている[10,8,15,18,32]。 主星のドップラー変位観測 太陽系外惑星系の数ある観測方法の中でも現時点での主流になっているのは、主 星の視線方向速度変化によるスペクトル線のドップラー変位を検出する方法である [13]。前述したように、惑星の運動によって主星も共通重心の周りを振り回される。 位置天文観測が主星の位置変化を観測する方法であるのに対し、ドップラー変位観 測は惑星運動による主星の速度変化を観測する。と言っても主星の運動をそのまま 検出できるわけではないので、主星からの光を分光し、主星の視線方向の運動に起 因する光のドップラー変位を測定し、そこから視線方向の主星の運動速度を推定す るのである。主星の速度変化と言っても、実際に検出できるのは観測者から見て視 線方向に投影された見掛けの速度という一次元情報に過ぎない。従ってそこから得 られる情報は、惑星の公転周期、軌道半長径、質量の下限値、離心率、近点経度の みである。けれどもこの方法は多数のスペクトル線の変化の足し合わせにより S/N (signal/noise) 比を向上させられるため、他の観測方法に比べて相対的に精度が 高い。G. Marcyらのグループは米国カリフォルニアの Lick 天文台やハワイの Keck 天文台らの大型望遠鏡で長期間にわたる観測を行い、膨大なドップラー変位 データの中から多くの太陽系外惑星を発見している。図1に示された太陽系外惑星 のデータはすべてがこのドップラー変位観測を用いてなされたものである。 ドップラー変位観測のデータから得られた典型的な主星視線速度の変化例を図2 に示した。黒丸が実際の観測データであり、主星の周囲に惑星が存在すると仮定し た理論的な力学モデルを作って主星の視線速度変化をシミュレートした結果が実線 である。図2に示した四例ではどれも観測データと理論的な惑星系のモデルが非常 に良い一致を示している。これは即ち、観測された主星の視線速度変動が惑星の存 在によってうまく説明され得るということを意味している。図2を見てすぐにわか るのは視線速度の極めて正確な規則性であり、これはそのまま惑星の公転周期を反 映している。公転周期が判明すれば、ケプラーの第三法則を用いることで惑星の軌 道半長径がわかる。一方、惑星の軌道が完全に円ならば視線速度変動はきれいな正 弦曲線になるはずである。HD 195019, τ Boo などは純粋な正弦曲線に近く、周回 している惑星の軌道離心率がほぼ 0 に近いことを窺わせる。それに対して 16 Cyg B や 70 Vir の場合には視線速度変化の曲線が正弦曲線とは大きく異なっており、 惑星の軌道離心率が大きいことを意味している。惑星の軌道が円ではなく楕円の場 合、惑星の運動速度は近点で大きく、遠点で小さい。主星の移動速度の大きさもこ れに比例するので、惑星が近点付近にいる場合には主星の視線速度変化が大きくな り、遠点付近にいる場合には視線速度変化が小さい。この事実に基付いて上述の理 論的力学モデルと観測データとの比較を行うと、ドップラー変位のデータから惑星 の軌道離心率と近点経度(惑星の近点がどの方向にあるのか)を知ることができる。 惑星の質量に関する情報は図2の縦軸の値、即ち主星の視線速度変動の振幅から得 ることができる。 図2の τ Boo や 70 Vir は惑星の公転周期が数日から数十日と比較的短いので、 惑星の公転周期の何倍の期間にもわたって主星の視線速度変化を追い掛けることが 可能である。それに対して HD 195019 や 16 Cyg B の場合には惑星の公転周期が 数ヶ月から数年であり、追跡観測にはとても長い時間を要する。ちなみに私達の太 陽系を遠方からドップラー変位観測で眺めてみたとする。太陽の相対運動を励起す る最大の惑星は木星であり、その公転周期は約12年である。また、現在までに発見 されている太陽系外惑星に比べると木星は小さい方であり、主星からの距離も遠い。 これは即ち、太陽の視線速度変化の大きさ(10数m/秒) が他の太陽系外惑星系に比 べても小さいものになることを意味する。従って太陽という星の周りに惑星が存在 するかどうかは、この小さな変動を少なくとも12年以上にわたって連続観測しなけ ればわからない。太陽系外惑星が多く見付かってはいるもののなかなか私達の太陽 系と似たような姿の惑星系が発見されないのは、このような観測的制約に依る所が 大きい。逆に言えば、今後の精密かつ長期間の観測によって私達の太陽系と類似し た惑星系が次々と発見される可能性が高いということである。既に土星質量 (木星 質量の1/3弱) 程度の小さな惑星も検出されるようになっており[46]、今後は更に 質量の小さな太陽系外惑星が次々と確認されて行くものと期待される。 なお、主星本体の視線速度変化のみならず、惑星が放つ主星の反射光のドップラー 変位を計測することで、惑星表面のスペクトルの分光に成功したという報告も既に ある[7,9,42]。この報告自体は 100% の確度を持ったものではないようだが、ドッ プラー変位観測の高い精度を示す好例と言えよう。 ドップラー変位観測の欠点 このように現時点では独擅場の様相を呈するドップラー変位観測であるが、短所 が無いわけではない。最大の欠点は、ドップラー変位観測で得られる情報が所詮は 視線方向に投影された一次元情報であり、惑星の軌道面が視線方向に対してどのく らい傾いているかを知ることができないということである。主星の視線速度変化を ドップラー変位によって観測する場合の模式的状況を図3に示した。観測者は地球 上に居り、惑星の軌道面と視線速度の法線方向の成す角度(i)が幾らであるかを直 接に知る術は無い。地球上から観測できるのは唯一、惑星の運動によって主星が振 り回される運動速度を視線方向に投影した成分のみである。これにより、主星の運 動の視線速度成分は単純に惑星の質量 m に依るのみならず、惑星軌道面と視線速 度の法線方向の角度 i の効果を含んだ m sin i という量に依存することがわかる。 ドップラー変位の観測によっては惑星軌道面の傾き i を知ることはできないので、 i の不定性は惑星質量に押し付けられた形で公表される。即ち図1(右側)で示され た太陽系外惑星の質量はすべてこの m sin i の値ということになる。今、主星の 視線速度成分の大きさを一定であると仮定すると、私達が太陽系外惑星系を真横か ら見ている、即ち i = 90°に近い状況の場合には sin i = 1 であり、惑星の質量 m は下限値となる。逆に私達が惑星系を真上から見る形 (i〜0) の場合には sin i〜 0 となり、同じ大きさの主星視線速度変化を産み出すためには惑星の質量 m が非 常に大きくある必要がある。要するに、ドップラー変位の観測による惑星質量の見 積もりには常に 1/sin i の不定性が付き纏うのである。これはドップラー変位観 測の宿命的な短所であり、この方法を採用する限り取り除くことが出来ない本然的 な性質である。ちなみに天文雑誌や解説書あるいは専門誌に掲載された論文などで も、太陽系外惑星の質量見積りに関するこの不定性について「質量には m sin i の不定性が付随するが、これはせいぜい 0 < sin i < 1 の大きさなので、平均的 には 0.5 くらいだと思えば良い。」などという書き方がされている場合がある。 これは大きく誤解を招く表現である。上述したように惑星質量の不定性は sin i ではなく 1/sin i であり、その範囲は 0 から 1 ではなく 1 < 1/sin i < ∞ な のである。この 1/sin i の不定性を取り除くためには、位置天文観測など他の観 測手法あるいは理論的な数値計算を併用する以外になく、今後の太陽系外惑星研究 に於ける大きな課題である。 新世紀の太陽系外惑星系研究 複数の惑星を持つ太陽系外惑星系 最初の発見から早 6 年、新しい世紀を迎えて太陽系外惑星系の研究も新たなる 局面を迎えつつある。太陽系外惑星の研究に於ける近年の重要な進展のひとつは、 複数の惑星を持つ太陽系外惑星系が発見され始めていることである。1999年までに 発見された太陽系外惑星系はすべて主星と単独の惑星から構成されたものであった。 しかし1999年の初め、以前から一個の惑星の存在が確認されていたアンドロメダ座 ウプシロン星 (υ Andromedae) に実は三個の惑星が存在することが確認された [6,4,26,17]。長期間のドップラー変位観測データの蓄積により、主星の運動の原 因を複数の惑星の影響に細かく分離することが可能になった結果である。図4には υ Andromedae 惑星系の概略を私達の太陽系と比較して図示している。この他にも Gliese 876, HD 168443 の各星の周りにもそれぞれ二個ずつの惑星の存在が確認さ れている。 前述したように、主星の視線速度変化によるドップラー変位の観測からは惑星質 量の下限値しか求めることができない。けれども υ Andromedae のように複数の 惑星がある系に於いては、理論的な手法によって 1/sin i の不定性を取り除き、 惑星質量に対して上限値を与えられる可能性がある。惑星が単独で存在する場合と は異なり、複数の惑星が相互作用している系は無限の時間で安定にはいられない。 しかも、その安定時間スケールは一般に惑星の質量が大きいほど短いことがわかっ ている。そこで各種の sin i, すなわち各種の惑星質量を初期値として惑星達の軌 道進化を理論的に追ってみれば、ある値よりも質量が大きい場合には惑星系は主星 の年齢以短の時間スケール(υ Andromedae の場合には約30億年) で不安定化し、 瓦解するという結果が期待される。その時の値が惑星質量の上限値である。著者ら の数値計算によれば、υ Andromedae の惑星系は sin i < 0.7 であれば高い確率 で主星の年齢以短の時間で不安定化するという結果が得られている[21,22]。従っ て、この場合の惑星質量の最大値は最小値の 1/0.7 〜 1.4倍程度と見積もること ができる。ドップラー変位観測精度の向上に伴って発見が相次ぐと思われる複数惑 星の系は、このような理論的研究の併用によって更にその姿を明らかにされて行く ことであろう。 様々な環境での惑星系の存在 これまでの太陽系外惑星探査は、主として太陽と似たスペクトル型の単独星に関 して行われて来た。太陽型恒星の周りの探索に於ける惑星発見の確率は実に10%近 くにのぼっており、宇宙には惑星系が普遍的なのではないかという期待を抱かせて くれる[5]。しかし宇宙にある星は太陽と似たようなものばかりではない。何より も星は単独で存在する場合よりも連星として存在する場合の方が圧倒的に多い。連 星系の周囲あるいは内部に惑星が存在するかどうかは全宇宙に於ける惑星系の絶対 的存在度に関わる重要な問題であり、理論的研究と並行して今後中心的に推進され るべき問題である[48,19,47,20,36]。一方、太陽系外惑星の存在は直接検出や主星 の運動の観測のみならず、主星の周りに漂うダスト円盤を観測することでも成され 得る。星周ダスト円盤自体は既に多数が観測されており、その中に惑星存在の痕跡 を探る試みも近年になり盛んに行われ出している[53,25,40,38,45]。 パルサーの周りに惑星系が存在するという話は太陽系外惑星系の発見以前からあ り、現在でもその研究は盛んに行なわれている[23,49]。最近では白色矮星の周囲 に惑星を探そうという試み[11] や、いわゆる惑星状星雲(本来は惑星とは無関係で あると思われていた) の中に太陽系外惑星を探そうという試み[43] も発表されて いる。そればかりではなく、宇宙には主星を持たない惑星──「系」から逸れてひ とり空間を漂う惑星も存在しているらしく[44,14]、今後はそのような「漂流惑星」 が多く発見され始めるという可能性も無いではない。 今回は紙面の都合で触れるに至らなかったが、太陽系外惑星についての研究はそ の理論的な側面からも活発に行われている。とりわけ、現在見られるような多様な 姿の惑星系の形成過程に関する研究が中心となっている。だが、こちらの方は難航 していると言わざるを得ない。惑星形成過程の現在の標準理論と呼ばれるものは私 達の惑星系の起源と進化を説明するのが主目的である。然るに現状ではその目的す らも十分に達成されているとは言えず、況や太陽系外惑星系への適用には不十分で ある。巨大惑星が主星の近傍に形成する要因、大きな離心率の起源、更には地球型 の岩石惑星が生命の発生と進化にとって 「ほどよい」 位置に長期間安定して存在 できる可能性の探索[27] など、太陽系外惑星系の理論的研究に対して与えられた 課題は非常に多い。観測精度の更なる向上に伴い、今後の発展が大きく期待される 分野である[52]。 太陽系外惑星系研究の今後 太陽系外惑星系研究の究極の目的は、地球と似たような惑星を発見してそこに生 命存在の証拠を見い出すことであろう。現在の観測精度は残念ながら地球程度の大 きさの惑星を検出するにはまだまだ至っていない。だが、既に太陽系外の地球型惑 星発見に向けた計画は着々と進みつつある。例えば ESA の Darwin 計画[16]や NASA の TPF 計画[35]では直径数メートルの望遠鏡群を人工衛星に塔載して宇宙空 間に打ち上げ、光や赤外線の干渉計を構築することによって大幅に分解能を向上さ せようとしている。この種の計画では地球型惑星の存在を確認するのみならず、惑 星表面の分光観測を行うことによってオゾンを始めとする生命活動起源 (と予想さ れる) 分子の検出をも目論んでいる。天文学の究極の目標のひとつである "SETI (Search for Extra-Terrestrial Intelligence)" に向けて、太陽系外惑星の研究 は今まさにその黄金時代を迎えようとしているのである。 参考文献 [1] Albrow, M.D. et al. 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