参加者・概要リスト (敬称略)

[氏名 (ABC順)]

[講演タイトル]

[概要等]


相澤 洋二 (Aizawa, Yoji) 早稲田大学理工学部応用物理学科

ハミルトン系のカオス

クラスター形成・多体系の緩和など統計力学へのコメントを与えたい.
(口頭 50分, 全日程参加)


荒木田 英禎 (Arakida, Hideyoshi) 弘前大学大学院理学研究科物理学専攻量子論講座

(発表はしない, 全日程参加)


Eliani Ardi (エリアーニ) 京都大学理学部宇宙物理学教室

Reformulation of Scattering Problem in an Expanding Universe
Eliani Ardi, Toshio Tsuchiya, Shogo Inagaki

We reformulate the scattering problem so that the effect of cosmic expansion can be taken into account in evaluating scattering cross section and relaxation time of galaxies. We calculate numerically the orbits of encounters to various sets of orbital parameters specifying initial states of encounters : initial separation, impact parameter and initial relative velocity between two galaxies. Combining results of these studies, we obtained the two-body relaxation time as a function of relative velocity $v_o$ at the initial epoch and number density $n$ of galaxies within proto-clusters of galaxies. The relaxation time is roughly the free-fall time for relative velocity $v_o \leq 300~\rm km s^{-1} {(m / 10^{11} M_{\odot})}^{1/3} {(11/[1+z])}^{1/2}$, while is proportional to ${v_o}^3$ for high relative velocity. Effects of the cosmic expansion make the relaxation time longer than that in non-expanding systems especially for proto-clusters of galaxies with the number density $n < 3 \times 10^3~\rm Mpc^{-3}~(10^{11}M_{\odot}/m){([1+z]/11)}^3$ where $m$ is mass of a galaxy and $z$ is its redshift. We conclude that our numerical results based on reformulation of scattering problem enable us to determine the relaxation time of pre-virialized system of galaxies. Effect of expansion should be taken into account in determining the relaxation time in the formation of both rich and poor system of galaxies.
(口頭 20分, 全日程参加)


台坂 博 (Daisaka, Hiroshi) 東京工業大学理学部地球惑星科学科

Angular momentum transport in dense, self-gravitating particle system

土星リングに代表される惑星リングは多くのリング粒子からなっており、 これらの粒子が直接衝突や重力相互作用をすることで進化する。 リング系の性質、進化を決める要素として、どのようにして粒子群の角運動量が どれくらい輸送されるかを理解することは重要である。 我々は局所系のN体計算を行ない、自己重力不安定による構造が形成される 場合の角運動量輸送について調べた。 本講演では、リング粒子の自己重力が角運動量輸送におよぼす影響について議論する。
(ポスター,全日程参加)


福島 登志夫 (Fukushima, Toshio) 国立天文台天文情報公開センター

超陰(super-implicit)線形多段法

高次の対称線形多段法公式では、特性多項式の不要根の存在のために、 問題に内在される周期との非線型共鳴現象により数値不安定が起きる。 これを克服する方法として、超陰(super-implicit)公式を採用する。超陰公式とは、 時間軸上で1ステップ進むときに、過去、現在、未来の情報を必要とする公式の 総称で、通常使われる陽公式(現在の値を求めるのに過去の情報のみ用いる)と 陰公式(現在の値を求めるのに過去と現在の情報を必要とする)のいずれとも異なる。 特に注目すべきは対称型の超陰公式である。この場合、特性多項式はz-1となって、 その根が主要根(z=1)のみの単根であるため、高次公式であるにもかかわらず、 同じ次数の対称陽公式や対称陰公式における数値不安定が起きない。 もちろん、超陰公式は陰公式の一種なので陽には解けず、初期解を想定して 逐次近似により解くことになる。初期解の推定が必要なのと逐次近似が収束する ことが必要なことから、一般の問題に適用できるわけにはいかないが、これは以前 発表したピカール積分法の範疇に入るため、逆に並列化・ベクトル化により大幅な 高速化が期待できる。
(口頭 20分, 3月3日〜4日朝まで参加)


船渡陽子 (Funato, Youko) 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系

Are we observing a chaotic Universe ?

最近の遠方のtype Ia supernovaの観測によると、遠方にいくほど type Ia supernovaの明るさが暗くなっていくことが発見されている。 この原因については、現在、 宇宙定数のある宇宙モデルで説明しようという試みが主流である。 重力レンズ効果から説明しようという試みもあるが、 その効果は無視できるほど小さいとされている。 しかし、従来のestimationではcoherentな散乱が正しく考慮されていない。 我々は、光子の軌道のcoherentな散乱を正しく考慮すると、 遠方でのtype-Ia supernovaの明るさがどう変化するか、 従来の重力レンズ効果の大きさのestimationがどう変わるか、 について調べたのでその結果について報告する。
(ポスター,全日程参加)


布施 哲治 (Fuse, Tetsuharu) 総合研究大学院大学/国立天文台

太陽系外縁部における共鳴構造

太陽系外縁部の力学的構造を議論する際にキーとなる共鳴構造についてまとめる。
(口頭 20分, 3月4日晩〜5日に参加)


原岡 和生 (Haraoka, Kazuo)

N体力学モデルによる摩擦検討

摩擦の動学モデルによるアプローチは、 古くはKorsofら、最近ではPersonの数値実験まで色々なやり方で試みられている。 本報告においては、簡単な一次元N体系を想定し、 計算方法として、2次のシンプレクティック法を用いて 「摩擦に良く似た」現象の数値実験を行った。 そして現象のスケール依存性、つまりN依存性を解析した。 また、N体系の相互作用の非線型性の効果についても解析を行い、報告する予定である。
(ポスター, 3月4日〜5日に参加)


林 啓治 (Hayashi, Keiji) 金沢工業大学 高度材料科学研究開発センター

サブマイクロメートルスケールの機構部品における弾性接触動摩擦法則の 分子動力学シミュレーションによる探究

動摩擦系を単純化した原子論的な2次元モデルに基づいて 様々な実験条件でシミュレーションを行ない動摩擦法則を見出した. この法則性の原子論的な由来として以下の仮説を提案した. 弾性接触条件下の滑り摩擦の様に 界面での結晶格子間の相互作用が充分弱い状況では, 滑りに伴い2つの結晶格子それぞれが滑り速度に比例した振動数で 強制振動を受けると捉えることができる. 結晶を構成する粒子が強制振動によって得た運動エネルギーは 粒子間ポテンシャルの非調和性を介してその粒子の属する結晶格子における 様々なノーマルフォノンモードに分配され, このエネルギー散逸に呼応して動摩擦力が現れる. それぞれの結晶格子において,平衡粒子間距離からの粒子間距離のズレが 大きいほど粒子間ポテンシャルの非調和性が顕著に効き エネルギー散逸レートが増し,動摩擦力は大きくなる. 例えば強制振動の振動数に一致した固有振動数を持つノーマルフォノンモードが いずれかの結晶に存在する場合には, 共鳴により粒子の変位が大きくなり,動摩擦力も増大する.
(口頭 20分, 3月4日16時〜5日に参加)


平田 光司 (Hirata, Kohji) 総合研究大学院大学教育研究交流センター

加速器における集団非線形現象の例

加速器のビームは荷電粒子から成り、クーロン力で相互作用している。 この力の影響で、ビームの集団運動が生じ、加速器の性能を決定する要因ともなる。 この現象のなかから、ビーム・ビーム相互作用を中心に紹介する。
(口頭PC利用 20分, 全日程参加)


平田 吉博 (Hirata, Yoshihiro) 名古屋大理学研究科物理教室R研

2n-次元シンプレクティック写像における n-次元安定・不安定多様体の交差

安定・不安定多様体が交差的に交わる事によって生じる、 双曲的不動点近傍のホモ(ヘテロ)クリニック構造は、 ハミルトン系のダイナミクスを理解する上で重要である。 その解析の方法として、メルニコフ積分は1つの強力な道具である。 一方、標準写像や速い周期外力のある系などでは、 その交差は微小パラメータに対し指数的に小さな依存性を示し、 正則摂動論に基づくメルニコフ積分では取り扱う事ができない。 しかし近年、級数総和法を用いた特異摂動法により、 2次元シンプレクティック写像の指数的に小さな交差を解析する方法が考案された。 我々はこれまでに、この方法を4次元シンプレクティック写像に拡張し、 2次元安定・不安定多様体の指数的に小さな振動項を求め、 その交差角を計算する事に成功している。 本講演では、この手法が 2-n次元写像に拡張できる事を報告する。
(ポスター, 3月3日〜4日に参加)


井口 修 (Iguchi, Osamu) お茶の水大学理学部物理学科森川研

自己重力系のクラスター展開

自己重力系の不安定な統計力学をクラスター展開法を発展させて解析する。 特に輪近似など非摂動的な手法を用いて、プラズマ物理からの解析接続を試みる。 系の不安定性を表現する自由エネルギーの虚部を計算し、 不安定系での比熱などの熱力学的諸量について考察する。 また、2点相関関数などの統計量についても考察する。
(口頭 20分, 全日程参加)


石橋 延夫 (Ishibashi, Nobuo) 神奈川大学理学部情報科学科

重力多体系の超高精度解法

質点の運動を、任意次数のB-スプライン関数で近似する事により、 任意次数の陰的解法と等価の精度で軌道計算をする事が出来る。 また、誤差の上限を解析的におさえる事に成功した。 この方法では、高次(実用範囲では〜45次程度)の近似も可能になる為、 結果として有効桁数-2〜4程度の高精度でN体の重力相互作用による運動を 解く事が可能となる。(4倍精度であれば31桁程度)
(ポスター, 3月3日〜4日に参加)


伊藤 孝士 (Ito Takashi) 国立天文台 天文学データ解析計算センター

軌道要素の連動と原始惑星系の安定性

天体間のいわゆる orbit-orbit resonance は 惑星-衛星系や衛星-環系についてよく議論されて来た。 本講演では特に、secular な orbit-orbit resonance に着目し、 原始惑星系でのその発現に関して実験と観察を行った。 実験によれば、木星型惑星の摂動を受けた 地球領域原始惑星の離心率と近点経度は良く連動する。 このことは原始惑星系の安定性を増す方向に作用する。 しかしいずれこの連動は崩れ、系は不安定へと向かう。 講演では、Innanenら(1997)によって見出された 連星系内の惑星系(sタイプ軌道)の特徴的現象である 力学的剛体(dynamical rigidity)との関連についても議論する。
(ポスター, 全日程参加)


河合 雅司 (Kawai, Masashi) 富山商船高等専門学校

静止衛星の軌道解析に関する研究−V. −観測距離と計算距離の残差に関する考察−

静止衛星の軌道解析における観測距離と計算距離の残差(O-C)には、12時間周期の 変動の他に24時間周期の変動が存在している場合があることが確認出来た。 この24時間周期の変動は潮汐力とは無関係であり、 大気の湿度変化と相関があることから、電波伝搬経路の湿度変化に伴い 電波伝搬遅延量が変化することにより生じている可能性が強いと考えられる。
(ポスター, 3日夕方〜5日朝まで参加)


川合 敏雄 (Kawai, Toshio) 千歳科学技術大学

惑星系の生成とボーデ則

1万体の微惑星が重力相互作用して散乱・衝突合体の末 1億年かけて10コの惑星にまとまり,太陽からの距離がボーデ則に従うことを示した. 2次元モデルである点以外は,数学上・計算上の仮定を必要とせず, 2万回のevent計算ですむ現象の特徴を利用した定式化である.
(口頭 20分, 4日夕方〜5日に参加)


川瀬 成一郎 (kawase, Seiichirou) 通信総合研究所

静止衛星の相対運動推定の諸方法

増えつづける通信・放送衛星により、静止軌道が混雑するようになった。 この問題に対処する基本は、衛星どうしの相対運動を正しく知ることである。 このような相対運動推定のための観測手段と、軌道推定の方法について、CRL による研究開発を中心にレビュー紹介する。
※ 世話人注:CRL とは通信総合研究所 (Communications Research Laboratory) のこと.
(口頭 15分, 全日程参加)


木村 淳 (Kimura, Jun) 茨城大学 理工学研究科 自然機能科学専攻 宇宙物質学講座 M1

(発表はしない, 全日程参加)


木村 和宏 (Kimura, Kazuhiro) 郵政省通信総合研究所 鹿島宇宙通信センター

VRによる衛星軌道運動の可視化

人工衛星の軌道解析や軌道設計を行う際に、 数値として得られた結果を見ただけでは軌道運動を把握するのは困難である。 VRシステムを用いて軌道運動を立体映像で可視化することにより、 直感的に軌道運動を把握でき、効率的な軌道設計が可能になる。 通信ビームの動きや通信サービスエリアの移動、 仰角を表す円等の付加的な情報も合わせて表示することが可能である。 このシステムの概要を示すとともに、デモンストレーション映像の実演を行う。 ※世話人注:VRとは「バーチャル・リアリティ」のこと。 VRシステムは研究本館2階マルチメディア実験室にある。
(ポスター・3D映像のデモンストレーション, 全日程参加)


木下 宙 (Kinoshita, Hiroshi) 国立天文台

古在共鳴運動の解析的表現とその応用
木下 宙・中井 宏 (国立天文台)

在共鳴は軌道離心率、軌道傾斜角が大きい力学系の 長期の運動を調べるときに考慮しなければならない効果である。 古在共鳴は短周期項を消去して得られる永年方程式で議論できる。 この方程式の自由度は1であり解析解は求積で求められる (第30回天体力学研究会,79-84). 今回は昇交点経度と平均近点離角の運動について議論する。 昇交点経度と平均近点離角は ヤコビの楕円関数を含む積分(第3種楕円積分)で表現できる。 しかし第3種楕円積分が入ってくる解析表現から 永年成分と周期成分を分離するのは困難であるので、 昇交点経度と平均近点離角のフーリエ展開表示を解析的に求めた。 ここで得られた結果を彗星を除いて衛星で太陽系最大の離心率を持っている 海王星の衛星であるネレイドに適用し, 数値積分で得られた結果とMignard(1975,1981)が求めた摂動解との比較を行う。
(口頭 20分, 全日程参加)


小林 泰三 (Kobayashi, Taizo) 立命館大学物理学教室池田研究室

自発的合金化に於ける熱浴効果

ナノメートルサイズの微小クラスターが示す特異な現象の一つとして自発的合金化現象 が知られている。本講演ではその理論研究のうち、クラスターと周辺環境との相互作用 に焦点を当てて紹介する。
(ポスター, 全日程参加)


古在 由秀 (Kozai, Yoshihide) ぐんま天文台

(発表はしない, 全日程参加)


倉橋 肇(Kurahashi, Hajime) 佐野富士光機株式会社

(発表はしない, 3月4日〜5日に参加)


牧野 淳一郎 (Makino Junichiro) 東京大学教養学部

疑似粒子多重極法とその展望

Barnes-Hut ツリー法と高速多重極展開法はいずれも 1980 年代後半に提案さ れ、大自由度粒子系の数値計算を実用的な時間で可能にする有望な方法として 注目されてきた。しかしながら、実装の繁雑さや、高精度を要求すると急速に 計算量が増加すること、さらに専用計算機 GRAPE を使う場合にはダイポール までしか計算出来ないことなどのために、高精度の計算に使うのは従来困難で あった。
我々は、疑似粒子を使って多重極展開を表現する方法を定式化した。この方法 を使うことで、実装を単純化するだけでなく GRAPE を使って多重極展開を高 速に計算することが可能になった。本講演では、この方法(疑似粒子多重極法) の原理について報告した後、Barnes-Hut ツリー法、 GRAPE-4 と組み合わせた 場合の性能について報告し、並列化、独立時間刻み等の適用の可能性について 議論する。
(口頭 20分, 全日程参加)


丸尾 剛 (Maruo, Tuyosi) 名古屋大学理学研究科 理学部物理教室 R研

2重の対称性をもつ近可積分写像系における周期点分布

一般の可逆写像系について、その系の写像から 包合写像(Involution)というものを構成できるとき、 系の位相空間における運動の対称性や周期点の分布などを 見出せることが知られている。 さらに、いくつかの2次元シンプレクティック写像、特に標準写像においては、 2種類の包合写像が構成できることが知られている。 今回、2種類の包合写像を構成できる近可積分写像系において、 1つの共鳴領域にあるn周期点が 4n個以上存在しなければならない場合があることが分かったので、その報告を行う。 また、現在知られているタイプの包合写像とは異なる、 未知のタイプの包合写像が存在する可能性についても述べる。
(ポスター, 全日程参加)


眞崎 良光 (Masaki, Yoshimitsu) 千葉大学 (学生)

(発表はしない, 全日程参加)


Seppo Mikkola (セッポ ミッコラ) 国立天文台 客員教授、ツルク大学天文台(フィンランド)

Efficient symplectic integration of satellite orbits

(口頭 20分, 全日程参加)


中井 宏 (Nakai, Hiroshi) 国立天文台 天文情報公開センター 暦計算室

カイパーベルトにおける共鳴と軌道の安定性
中井 宏・木下 宙 (国立天文台)

太陽系天体の軌道には様々な共鳴があり軌道の安定性に重要な働きをしている。 軌道長半径によって各種の共鳴が軌道の安定にどう関係するかを検討した。 n:n+1平均運動共鳴(n=1,2,3,4)付近でnが大きくなると、 軌道が安定となるei空間の領域が狭くなり、 異なる2重、3重の共鳴状態の軌道の割合が高くなる。 各共鳴はカイパーベルト天体が海王星に大接近しないように作用し 軌道の安定化機構となっている。 しかし、共鳴の境界付近では軌道長半径、離心率、軌道傾斜角が大きく変化するので、 他の天体の摂動により共鳴が崩れた場合や共鳴境界付近の軌道は カオス的で不安定となる。
(口頭 20分, 全日程参加)


中村 健 (Nakamura, Takeshi) 岡山商科大学

平面二等辺三体問題におけるカオス軌道の解説

Sitnikov運動におけるカオス軌道は V.M.Alekseev (1968), J.Moser (1973) な どにより明確にされた。しかし、平面二等辺三体問題に対しては、3体衝突があ ることから、彼らと同じ方法でその軌道の存在を説明することはできなかった。 ところが、最近 K.Zare と S.Chesley (1998) が他の方法で、数値的ではあるが うまく説明したので、その結果を解説する。
(ポスター, 4日午後〜5日に参加)

自由落下三体問題における正三角形型平衡点の近くのEscape領域

質量がどうであろうと、3質点を正三角形の頂点に置き、手をぱっとはなして自 由落下させると、それらは同時衝突する。正三角形から少しずれた位置から自由 落下させるとどうなるであろうか。非常に接近し、近いままで様々な相互作用を し、その後はなれて行く。この様子を昨年は質量3,4,5の場合について調べた。 今年は m1 = m2 = 1 とし m3 を変化させて調べてみた。m1 = m2 なのに、昨年 のものよりもっと複雑な運動、Escape 領域が出てきた。
(ポスター, 4日午後〜5日に参加)


中村 士 (Nakamura, Tsuko) 国立天文台

カイパーベルト天体の発見条件と垂直方向分布

約90個のカイパーベルト天体(KBO)について、発見時の観測条件を調べた。 このデータに基き、観測バイアスの推定を行なった。 軌道傾斜角 (i) の観測バイアスを補正すると、黄道面に垂直な分布は i=0°から〜30°までほぼ一様に分布していることが判明した。
(ポスター, 4日〜5日に参加)


丹羽 洋智 (Niwa, Hiro-sato) 農林水産省水産工学研究所 水産情報工学部 行動生態研究室

(発表はしない, 全日程参加)


尾崎 真理 (Ozaki, Mari) 茨城大学 理工学研究科 自然機能科学科 宇宙物質学講座 M1

(発表はしない, 全日程参加)


Saad Abdel-naby Saad (サード) 総合研究大学院大学天文科学専攻

AN ANALYTICAL THEORY ON A SATELLITE MOTION WITH HIGHLY ECCENTRIC ORBIT

In this paper, we offer an analytical theory for the motion of a satallite with highly eccentric orbit. The solution of the equations of motion is given using Lie transformations approach in Hori's version. The secular and periodic perturbations are obtained up to the fifth and fourth order respectively. The solar perturbations effects are taken into account. The disturbing function is developed in powers of the ratio of the mean motions of the sun to that of the satellite and put in a closed form with respect to the eccentricity. An application on the second satellite of Neptune is considered. The comparison with the numerical integration of the equations of motion gives an accuracy of the theory on the level of 200 m in the semi-major axis and 0.0036 arc second in the angular variables over 500 years interval.
(口頭 20分, 全日程参加)


佐野 光貞 (Sano, Mitsusada) 京都大学 総合人間学部 基礎科学科 情報科学論講座 計算理学分野

一次元多体系の統計的振舞

一次元上で隣の粒子と弾性衝突を通して相互作用する粒子系の 統計的な性質について調べた結果を報告致します。
(ポスター, 全日程参加)


関口 昌由 (Sekiguchi, Masayoshi) 木更津工業高等専門学校

平面三体問題を記述するMcGhee的変数とその応用

三体問題における「谷川の命題」、すなわち 「二体衝突に至る軌道の集合の共通集合は三体衝突に至る軌道である」 を証明するために、三体問題を平易に記述する変数を導入した。 この変数はMcGheeによる三体衝突の正則化方法を模倣したものであり、 三体衝突特異点をブローアップして滑らかな多様体を貼り付けた相空間を実現する。 新たに貼り付けられた多様体は三体衝突多様体と呼ばれ、 この多様体の上の流れは扱いやすい。 この流れを詳しく解析することにより、目標の命題を証明する。
(ポスター, 3日〜4日のみ参加)


仙石 新 (Sengoku, Arata) 海上保安庁水路部

ミサイルの軌道を推定する一手法

ミサイルに関する情報はほとんど明らかにされないため、 ミサイルの軌道や性能に関する推定は一般に困難であるが、 発射地点、落下地点などがわかればミサイルの軌道や推進力について ある程度知ることができる。
(口頭 20分, 全日程参加)


志田 晃一郎 (Shida, Koichiro) 武蔵工業大学

サーマルクリープ流は多ロール構造を作るか?

重力のあるレイリー・ベナール流は、系の縦横比の大小によって 対流のクール数がかわることが知られている。 一方、両端の壁のみが駆動源で、重力が役割を果たさない、 分子動力学的サーマルクリープ流では、壁が直接駆動しない領域に 多重クールが現れるかどうかは明らかでない。 今回はこれを二次元剛体円盤サーマルクリープ流計算で調べ、 弱い活動ロールを検出した。

※世話人から事前質問「Q.サーマルクリープ流とは?」
Ans. 二次元でも三次元でも良いですが、分子流体と壁を考えます。 壁に温度勾配を持たせて、壁にぶつかった分子が壁のその部分の 温度にしたがって減速されたり加速されたりして等方的に 散乱するとします。すると、壁の冷たい方から熱い方へ流れが生じる、 というのがサーマルクリープです。
壁のある部分に注目すると、より冷たい方からやってくる分子は遅く、 より熱い方からやってくる分子は速いので、壁は正味冷たい方へ運動量を もらいます。その反作用として、流体は冷たい方から熱い方へ流れるのです。
興味深い点としては、可動部なしの熱機関であることと、 閉じた領域では無重力で、レイリーベナール流に類似した 対流を起こす点です。これまでの計算は、ここに出しました。
Koichiro Shida and Wm. G. Hoover, "Maxwell's thermal creep in two space dimensions", J. Phys. Soc. Jpn., Vol. 67, No. 7, pp. 2277-2280 (1998).
(ポスター, 全日程参加)


椎塚 詰仁 (Shiidsuka, Kouji) 東京工業大学地球惑星科学科 中沢・井田研究室 (D2)

Formation of Protoplanets in the Region of Terrestrial Planets

近年の惑星集積のN体計算により、微惑星集団から形成される複数の原始惑星が、 互いに10倍ヒル半径程度の軌道半径の間隔を保って成長していく(寡占的成長) ことがわかっている(Kokubo & Ida 1998,1999)。 しかしこれらの計算は軌道半径の狭い領域に限られたものであり、 軌道半径によって成長時間が大きく異なるような広い領域で 原始惑星がどのように成長し、分布するのかは明らかではない。
我々は3次元のN体計算により、 多数の微惑星集団から少数の準安定軌道の原始惑星が形成されるまでの過程を調べた。 ここで微惑星集団は1.5AU間隔程度の広い範囲に分布させた。 計算の結果、一番内側の領域で始まった原始惑星の暴走成長が外側へと伝搬し、 最終的に同程度の質量の原始惑星が10倍ヒル半径程度の間隔で並ぶ ということがわかった。
(ポスター, 全日程参加)


杉本 大一郎 (Sugimoto, Daiichiro) 放送大学

(発表はしない, 4日に参加)


武田 隆顕 (Takeda, Takaaki) 東京工業大学 地球惑星科学専攻 中沢・井田研究室所属 M2

原始月円盤から月への集積過程

ジャイアント・インパクト説に基づく原始月円盤からの月の形成時間は、 直接的なN体計算によれば、1ヶ月から1年程度と非常に早く起こることが 知られている。 ただし、N体計算では計算速度の制限から、 1つ1つの粒子が非常に大きな粗い計算しか実行できない。 今回、GRAPE−4を使ってより高精度の計算を行ない、 同時に原始月円盤内の角運動量の輸送を解析した。 その結果、月の形成時間は初期の粒子の大きさにはあまり影響を受けず、 さらに高精度のN体計算を実行しても月の形成時間は変わらないであろうことを示す。
(ポスター, 全日程参加)


谷川 清隆 (Tanikawa, Kiyotaka) 国立天文台 理論天文学研究系

(ポスター, 全日程参加)


立川 崇之 (Tatekawa, Takeyuki) 早稲田大学理工学部物理学科 前田研究室

フラクタル的初期密度ゆらぎと構造形成

現在の観測から銀河、銀河団には二点相関関数が距離のべきに従うといった、 スケール則が見い出されている。一方で宇宙背景輻射のゆらぎがフラクタル 的であるという解析も存在する。これは初期にフラクタル的な密度ゆらぎが あり、現在のフラクタル的な大規模構造に成長した可能性を示唆する。そこ で一様・等方宇宙におけるフラクタル的な密度ゆらぎから成長した構造のフ ラクタル性、特にフラクタル次元の時間変化について解析する。 今回は簡単なモデルとして、一次元シート系における構造形成を取り扱う。
(口頭 20分, 全日程参加)


戸田 幹人 (Toda, Mikito) 京都大学理学部物理第一教室

化学反応論とカオス

化学反応論のミクロなダイナミックスは、非線形力学と量子論の 境界領域の典型例である。本講演では、多自由度ハミルトン系の カオスとして見た反応のダイナミックスについて、問題の所在を 報告したい。オリジナルな仕事というよりは、問題提起を含んだ レビューになると思う。
(口頭 20分, 全日程参加)


藤平 威尚 (Tohei, Takehisa) 東京理科大・理・応用物理

(発表はしない, 全日程参加)


土屋 俊夫 (Tsuchiya, Toshio) 京都大学理学部宇宙物理学教室

1次元シートモデルによる重力多体系の緩和過程の研究

大自由度系のダイナミクスの中で緩和は最も重要な概念であるが、自由度が大き いにも関わらず、カオスがあまり強くない系では遅い緩和などの異常な現象が見 られる。1次元重力系はこのような弱いカオスの系であり、これまでの我々の研 究で、この系は2段階の異なる緩和現象を経由した遅い緩和を示すことを明らか にした。本講演ではこれまでの結果の簡単な紹介と、数値的に発見した緩和とカ オスを特徴づける力学量との間の関係、重力系以外の系との比較などについて議 論する。
(口頭 50分, 全日程参加)


筒井 潔 (Tsutsui, Kiyoshi) 慶応大学理工学部

二次元ランダム環境中のランダムウォークにおけるレプリカ対称性の安定性

二次元ランダムウォークの有効理論は セントラルチャージc=0の共形場理論(CFT)である. 我々の興味の対象である環境にランダムネスがあるときのランダムウォークは、 c=0 CFTにランダムネスを加えて得られる. 一般に、0<c<1のユニタリー・ミニマル模型では レプリカ対称性は「自発的」には破れないと思われているが、 c=0 CFTではその結論は自明ではない. 今回、クーロンガス表示を介してレプリカ対称解は不安定であるとの結果を得たので 報告する. N人のランダムウォーカーの場合の交差確率を特徴づけるユニヴァーサル 指数についての考察も行いたい.
(ポスター, 全日程参加)


梅原 広明 (Umehara, Hiroaki) (a) 通信総合研究所 鹿島宇宙通信センター

3体近接遭遇の判定
梅原 広明, 谷川 清隆 (国立天文台)

ゼロ角運動量の3体問題において,3体近接遭遇を厳密に定義する. 3体問題のカオスを考える場合, 時間の指標として3体近接遭遇の回数を取り上げることが多い. 従来では,慣性モーメントが臨界値以下になっている場合に 3体近接遭遇が定義されていた. しかし,軌道を数値観測した結果, 見かけ上3体が近接しているのに3体近接と判定されていない状態があるなど, 定義に不備のあることがわかった. そこで,他の物理量を3体近接遭遇の指標に加え 3体近接遭遇の定義を見掛け上と一致させる.
(ポスター, 全日程参加)

多数人工衛星の高効率制御の試み

現在,様々な分野で人工衛星を活用する機会が増え, 限られた静止軌道上にできるだけ多数の衛星を収容することが望まれている. しかし,多数の衛星を従来の方針で個々に制御した場合, ニアミス防止・電波障害の回避等による制約から, 制御が繁雑になることが予想される. そこで,発想の転換をはかり,衛星群を一括して制御するために, あえて衛星間に相互作用を引き起こすような制御を加え, 集団を保つ運動を探索する. さらに,作業効率・燃料消費量の低減にむけた制御法の探索も試みる.
(ポスター, 全日程参加)

静止軌道近傍の光学観測
鷲尾智幸 (豊橋科学技術大学), 木村和宏, 梅原広明○, 川瀬成一郎

鹿島宇宙通信センター宇宙制御技術研究室所有の光学望遠鏡を用い, 静止衛星やスペースデブリの位置観測結果を報告する.
(ポスター, 全日程参加)


梅野 健 (Umeno, Ken) 通信総合研究所光通信技術研究室

多次元可解カオス写像の構成方法

1947年にUlam、von Neumann によって得られた陽なエルゴード的な 不変測度を持つカオス(エルゴード)写像の結果を、 最近の楕円関数の加法定理から導出された可解カオス写像(K.U.PRE,1997)の Skew Product Transformationとして、 任意次元の可解なカオス写像が構成できることを示す。 また、そのマルコフ情報源としての情報論的性質についても述べ、 その将来の情報通技術への応用可能性についても言及する。
(口頭 20分, 全日程参加)


鷲見 治一 (Washimi, Haruichi) 湘南工科大学

太陽圏外圏の研究及び教育
鷲見 治一, 三堀 太平 (湘南工科大学)

現在パイオニア及びボイジャー探査機は 太陽圏外圏(太陽風プラズマと星間ガスとの境界領域)をめざして飛行中である。 この人類未知の領域を対象としてMHD(電磁流体的)解析をしているが、 これについて簡単に紹介(※1)し (太陽圏外圏の研究は海外で盛んですので、その簡単な紹介も入れます)、 更に、学部4年生の卒業研究教育として行なっている 太陽近傍(10光年程度)での微小天体の軌道計算(ルンゲクッタ)にて、 いくつかの恒星の重力圏を通って太陽圏内に到達する ’さすらいの隕石’の軌跡の解析を紹介する(※2)。
(口頭 20分, 5日のみ参加)

※1: MHD自体はこの会議には特に関係はないかもしれません。 ただ、天体力学の彗星の軌道計算に関係して 太陽系外部の状態の科学に関心をお持ちの方がいるならば 国際的な太陽圏外圏の動向をお話しするのは意味があるのかなと思った次第です。 もう一つの理由はMHDで磁場配位が求まるので、宇宙線の軌道計算が出来、 これは参加者の中に興味をもつ方もいらっしゃるではと考えた次第です。
※2: 学生の軌道計算は専門家から見ればちゃちなものと思います。オールトの雲を かんがえなくても’さすらいの隕石’で結構、彗星の話が進むのではという シロウト考えが動機となっています。従って、こちらが教えてもらうことの方が 主だと思います。


山口 喜博 (Yamaguchi, Yoshihiro) 帝京平成大学情報システム学科

ねじれ写像におけるKAM曲線の崩壊

ねじれ写像の代表的な例であるStandard Mappingを利用して、 KAM曲線が崩壊する臨界状態のKAM曲線の構造を調べた。 我々は「臨界状態のKAM曲線はC^1級であるが、1階微分が有界変動でない」 という結果を得たので報告したい。 この結果は、他のねじれ写像においても同様に成立していることを確認した。 講演では、
(1)臨界状態におけるKAM曲線上の写像点の度数分布の異常性、
(2)Denjoyの遊走集合が出現できるかどうかの問題、
(3)KAMに漸近している安定ならびに不安定多様体の構造変化
についても述べる。
(口頭 20分, 全日程参加)


山口 義幸 (Yamaguchi, Y., Yoshiyuki) 立命館大学総合理工学研究機構

リアプノフスペクトルで見る相空間の構造

多自由度ハミルトン系のリアプノフスペクト ルは系のカオスの強さによって普遍的な形を 取る。横軸にリアプノフ数の番号、縦軸にそ の値をとったグラフを描くと、各粒子がラン ダムに運動しているとみなせる程強いカオス 系においては直線形になり、中間的な強さの カオスにおいては曲線になることが知られて いる。ここで、中間的な強さのカオスとは、 1/f のパワースペクトルが得られるほど長時 間相関を持つが、ほとんどのKAMトーラス が崩壊している系であり、二次相転移の臨界 点近傍はこのクラスに含まれる。近可積分系 とは違い、このクラスにおける相空間の構造 はいまだ明らかになっていない。そこで、本 講演では中間カオス系におけるリアプノフス ペクトルの普遍性を産み出す原因を考察する ことにより、相空間の構造の理解を試みる。
(口頭 20分, 全日程参加)


山本 一登 (Yamamoto, Tadato) 京都産業大学大学院理学研究科物理学専攻 M1

(発表はしない, 全日程参加)


吉田 二美 (Yoshida, Fumi) 福岡教育大学天文学教室

スバル望遠鏡による微小小惑星のサーベイ観測計画:真の分布の推定法

小惑星サーベイは、主に観測時間と望遠鏡の性能により、 制限された視野、有限の等級までという制限された観測であるため、 得られるデータの解釈には観測の偏りを補正する必要がある。 ここでは、スバルでも小惑星サーベイを想定して、 得られる観測データの観測選択効果を補正する方法と補正量を検討した。 観測選択効果の補正は、小惑星帯のpopulationを人工的に生成、 それらが観測視野及び限界等級内に入るかどうかの確立を計算することによって行う。 まず、軌道要素を人工的に発生させ、 その軌道要素をもつ小惑星の位置を位置推算プログラムで計算す る。そして、その小惑星が観測視野内でかつ限界等級内であれば、その小惑星を発見 したものとしてカウントする。 ここでは軌道傾斜角(i)、軌道長半径(a)、離心率(e)、に関して補正量を計 算した。計算によれば、例えばi=5°付近の小惑星の心の分布に対して0.1%し か発見されない。
(口頭 20分, 全日程参加)


吉田 淳三 (Yoshida, Junzo) 京都産業大学理学部

(発表はしない, 3日のみ参加)


吉田 春夫 (Yoshida, Haruo) 国立天文台,位置天文・天体力学研究系

非線形Schrodinger方程式に対するsymplectic解法
吉田春夫, 佐々成正 (日本原子力研究所)

無限自由度のHamilton系と考えられる非線形Schrodinger方程式を含む 一連の偏微分方程式に対する(mixed variable) symplectic解法を開発 した.1次の解法は「split-step擬Fourier法」として知られる既知の ものである.高次の陽的解法も簡単に構成でき高速で高精度の数値計算 を可能にする.
(口頭 20分, 全日程参加)


湯浅 学 (Yuasa, Manabu) 近畿大学理工学総合研究所

力学系の再構成におけるChaosとNoise

主成分解析法を用いた新しい方法により、 Henon-Heiles の力学系の再構成を行なった。 再構成した微分方程式系の係数誤差は、 エネルギーの増加とともに増大しChaos軌道の出現と良い相関が見られる。 また、データにNoiseをかぶせた場合の係数誤差への影響も解析した。
(ポスター, 4日午後のみ参加)


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