CPDASは平成12年度をもって終了しました。

現代天体力学セミナー (CPDAS)

CPDAS(Contemporary Problems in Dynamical Astronomy Seminar)では、メジャー
雑誌の最新号におけるDynamical Astronomyの論文をレビューすることに
より、この業界に於ける最新の問題意識に追随することを目的とします。 対象は欧文のmajor journalsに限り、以下のようなものに絞ります。 また、最新の論文ではなくてもDynamical Astronomyに関連する近年の
論文で是非紹介または勉強したいというものがあったら、それを読んで
発表することも可能です。やる気のある方の参加を歓迎します。

紹介された論文のリスト(ほぼ時系列昇順)


title	From interstellar gas to the Earth-Moon system
author	A.G.W.Cameron
journal	Meteoritics and Planetary Science
volume	36
pages	9-22
year	2001
report	農澤健太郎
date	26/03/2001

giant impact による月形成シュミレーションパラメータは
protoearthとimpactorの合計質量は0.65(現在の)earth mass
protoearthとimpactorの質量比7:3 粒子数10万個。
角運動量 1.10 1.15 1.20 の3つのモデルについておこなった。
ケプラ─軌道での集積、衝突による粒子の合体を扱うが、まぎらわしい。
それは集積している間のtidal stripping と loss and gain of particles
を考慮していないためである。またprotoearthの回転面が大きいので、軌道は
nonkeplerian になる。 この計算で、リアルタイムで1週間ほど扱い、
月は現在の質量の半分以上集積した。これは期待できる結果であるが、
giant impact のパラメータはまだまだ研究されていない。

title	How many rubble piles are in the asteroid belt?
author	A. Campo Bagatin, J.-M. Petit, P. Farinella
journal	Icarus
volume	149
pages	198-209
year	2001
report	中村士
date	12/03/2001

Abstract: Impact strength(衝突強度)が物質強度による(strength regime)か、
重力で決まるか(gravity regime)か等のrealistic なscaling-law modelに
基づいてシミュレーションを行い、どの位の割合でrubble pileが生成するかを
直径の関数として求めた。結果はinput parametersにかなり依存するが、
全体として10km-100kmの小惑星は、30%-100%がrubble pileになっていることが
分かった。ただし、Durda et al.(1998)のscaling lawではrubble pileは
出来なかった。これはこのモデルの欠陥のせいらしいと著者らは主張する。

title	Analytical and Numerical Results on the Stability of a Planetary Precessional Model
author	Gabriella Della Penna
journal	Celest. Mech. Dyn. Astr.
volume	75
pages	103-124
year	1999
report	セバスチャン ブキヨン
date	29/01/2001

(概要未投稿)

title    Celestial Reference System and Frame
author   IERS
book     1999 IERS Annual Report
pages    83-101
year     2000
report   相馬 充
date     19/02/2001

1972年1月から2000年4月までの月レーザー測距観測を,1つの方法では歳差・
章動理論に最近の解析理論を用い,もう1つの方法では IERS が主に VLBI 観測
から ICRS に対して定めた極位置を用いて解析し,両者の比較から,ICRSに対す
る J2000 の平均赤道と黄道の位置関係を定めた.解析方法は Chapront et al.
1999: A&A 343, 624-633 と同じである.主な結果は,

  黄道傾斜角:J2000平均赤道に対して 23°26' 21.40564"±0.00006"
              ICRSの基準面に対して  23°26' 21.41100"±0.00005"
  黄道のICRS基準面とJ2000平均赤道に対する昇交点間の角距離  43.5±0.4 mas

黄道には Le Verrier 流と Newcomb 流の2種がある (詳しくは Standish 1981:
A&A 101, L17-L18 と Kinoshita & Aoki 1983: CM 31, 329-338 参照) が本論文
で用いている黄道は Le Verrier 流の方である.

上記の結果から ICRS の極位置に対する J2000平均極の位置も求められるが,本
論文ではそれについては触れずに,VLBIの観測から定めた極位置について述べて
いる.両者の間に矛盾がないかについて議論が欲しいところである.

title	The Disturbing Function in Solar System Dynamics
authors	K.M. Ellis and C.D. Murray
journal	ICARUS
volume	147
pages	129-144
year	2000
report	木下宙
date	00/12/25

2体間の摂動関数の解析的展開を2つの形式で与えている。
1)α(2天体の軌道長半径の比)を小さいとしてαで展開した形式
2)αでは展開せず、離心率と軌道傾斜角が小さいとして
これらについて4次までの展開式(論文の最後にテーブルの形で
まとめられている)。この論文での基準面は慣性系。従来の教科書
(例えばBrouwer and Clemence)で与えられている展開式は
摂動天体の軌道面を基準としている。
1)の展開式は複雑すぎて使い物にならない。
何故こんなに複雑になるのか不明。第一著者が導出についての
論文を書くとはいっているが、レフェリーがある雑誌では
受理されるとは考えられない。

2)の展開式は上に述べたように基準面が慣性系なので
応用範囲が広い。

ここまで書いたところでMurray and Dermotの教科書
Solar System Dynamicsの第6章(The Disturbing Function)
を見てみると、論文とほぼ同じ内容が記載されている。
上記2)のテーブルは全く同じものが巻末の付録に
入っている。また1)の展開に関してはもっと簡潔な
表現式が与えられいる。inclination function
の公式(6.37)は間違っていることは確か(なぜなら
この式に虚数が入っている)。

title	Planetesimal Accretion in Binary Star Systems
authors	F. Marzari and H. Scholl
journal	ApJ
volume	543
pages	328-339
year	2000
report	小久保英一郎
date	00/12/18

連星系における微惑星の速度進化を原始惑星系円盤からのガス抵抗と微惑星ど
うしの衝突がある場合について調べた。
伴星からの永年摂動とガス抵抗の組合せにより、微惑星の離心率と近点経度は
そろう。
この場合、微惑星間の相対速度は、離心率ではなくケプラーシアーで決まること
になり、小さくなる。 
そのために離心率が大きくても微惑星どうしの合体が可能になる。
離心率と近点経度の同調化について解析的に議論し、数値計算をして確認した。
連星系のモデルとしてはα Centaruiを用いた。

title	Luminous effeciency in hypervelocity impacts from the 1999 Lunar Leonids
authors	L.R. Bellot Rubio et al.
journal	The Astrophysical Journal
volume	542
pages	L65-L68
year	2000
report	私市成実
date	2000/12/11

衝突現象でのキーパラメータは運動エネルギーを光放射に
変換する比率(発光効率)ηである。今まで低速度の衝突実験は
行われてきたが、Leonidの72km/sような高速度を再現するのは
非常に難しい。従って、このような高速度現象の知識の基礎となるのは
数値シミュレーションである。しかし、数値シミュレーションによる
結果は信頼できないものであったで、この問題を解決するために
1999年のLeonidの月面衝突による発光の解析から発光効率を予測した。
Leonidの衝突速度分かっているので発光効率が分かれば、
その質量の予測も出来る。

観測結果から、nominal modelでは、η=2×10-3が最もマッチしていた。
mass index を2にした時のモデルでは、η=2×10-2が最もマッチしていた。
従って、データ上の誤差は1orderと考えられる。
そこでη=2×10-2,2×10-2の場合で考えてみると、どちらも物理的考察の結果、
発光効率には適していないと判断できた。以上の結果より、
η=2×10-3であるという結論に達した。

title	A hybrid symplectic integrator that permits close encounter between massive bodies
author	Chambers,J.E.
journal	Mon. Not. R. Astron. Soc
volume	304
pages	793-799
year	1999
report	伊藤孝士
date	2000年11月27日

天体力学の分野でよく用いられる混合変数型シンプレクティク数値積分法を発展
させ、天体間の近接遭遇が発生した場合にも対応できるような方法を実装した。
相互作用ハミルトニアンの中で近接遭遇している天体に関係する項を抜き出し、
ケプラー運動分のハミルトニアンに組み込んでしまうことで、ハミルトニアンの
大きさの比を常に 相互作用/ケプラー << 1 とできる。この場合、ケプラー運動
ハミルトニアン麾下の時間進化を解析的に解くことはできなくなるが、補外法など
を用いて数値的に解くことで対処している。この方法であれば、近接遭遇の起こら
ない領域では従来の方法と同じ計算速度を保つ。幾つかの試験計算を実施し、
この方法が有効であることを示した。

2000年5月15日の CPDAS で紹介した SyMBA (SYmplectic Massive Body Algorithm)
では、symplecticでありつつも天体同志の近接遭遇を扱う方法を実装した (Duncan
et al. 1998)ので、本論文はその姉妹篇とも言える。数値積分法の機能としても
SyMBAとほぼ同等のものである。しかしその実装は SyMBA より遙かに簡単に見える。

1. Introduction -- シンプレクティク数値積分法の発展史

2. Theory of symplectic integrators -- シンプレクティク数値積分法の理論
    混合中心座標 (mixed-centre coordinate, いわゆるDH)を用いた定式化。

3. Close encounters -- 近接遭遇
    天体同志の近接遭遇が発生する場合、関連する項をケプラーハミルトニアンから
    取り除いてしまう手法の紹介。ケプラー運動ハミルトニアン麾下の時間進化が
    解析的には解けなくなるが、BS補外法などを用いて数値的に解くことで対処が
    可能である。本論文の中心的主題である。

4. Practical details -- 実際の計算を行う際のあれこれ
    近接遭遇を判定する切り換え関数 (changeover function) の関数形, 切り換えの
    距離、多項式補間を用いて近接遭遇を予想する方法など、実装の際の技術的
    詳細に関する重要な記載。

5. Test integrations -- 試験的積分
    SyMBAの試験計算に準じた様々な実験を行っている。質量を増やした木星型惑星系、
    制限三体問題、惑星胚、周期彗星Otermaの軌道などに関した実験結果の記載。
    基本的には良い結果を得ていると述べられている。

6. The MERCURY integrator package -- 数値積分パッケージMERCURY
   ここで述べられた方法を含んだ重力N体計算用の数値解法パッケージ化の紹介。

title	Modern Numerical Ephemerides of Planets and the Importance of Radar Observations for Their Creation
author  E. V. Pitjeva
journal	Celest. Mech. Dyn. Astr. in press
year	2000(?)
report	荒木田英禎
date	2000年11月20日

数値的に作り上げられた天体暦としては JPL の DE シリーズが有名で、
世界的にも広く普及しているが、本論文ではロシアで
作成されている、天体暦EPM(Ephemerides of Planets and the Moon)に
ついて、その暦作成における流れと、JPL の DE との比較を行っている。
EPM の特徴としては、EPM87(初期のバージョン)を除くと光学観測データを
用いず、近年大変観測精度の向上した Radar、LLR、VLBI や lander の
データを元に作成されている点である。実際近年の Radar 観測の精度は
数メートルのオーダーであり、Lander、Pathfinder などのデータは
惑星における topographic な影響がないため、非常に高精度なデータが
得られている。

JP Lの DE との比較において、DE と EPMで小惑星の惑星への摂動の
モデルの違いによって、両者に若干の違いが現れると報告している(特に火星)。
最新の EPM2000 では太陽、9惑星、月、300個の小惑星を同時に数値積分
している。(しかし、EPM と実際の観測データとの "O-C" については
触れられていない。)

さらに、Radar、LLR、VLBI や lander のデータを元に、
天文単位の決定、precessional rate を含む火星の rotation parameters、
木星、Celes、Pallas、Vesta の質量決定、相対論の PPN parameter の決定
および重力定数 G の変化率を求めている。

参考までに、Hilton (1999)と Pitjeva の求めた Celes、Pallas、Vesta の 
質量を以下に示す。(Mは太陽質量)

-------------------------------------------------------------
        |         Hilton         |         Pitjeva          |   
-------------------------------------------------------------
Celes   | (4.39+/-0.04)x10^-10 M | (4.808+/-0.012)x10^-10 M |
Pallas  | (1.59+/-0.05)x10^-10 M | (0.996+/-0.004)x10^-10 M |
Vesta   | (1.69+/-0.11)x10^-10 M | (1.364+/-0.010)x10^-10 M |
-------------------------------------------------------------

title	Direct N-body Simulations of Rubble Pile Collisions
author	Z. M. Leinhardt, D. C. Richardson and T. Quinn
journal	Icarus
volume	146
page	133-151
year	2000
report	吉田二美
date	11月13日(月)

太陽系での多くの km サイズの天体が rubble pile 天体であるという証拠が増加
している.そこで2つの rubble pile を衝突角、速度、質量比、はねかえり係数、
スピンを変えて衝突させる一連のN体計算を行った。rubble pileを作るところから
はじめるのがこの論文のポイントです.

計算結果の一般的な傾向:
(1)衝突角が大きいほど、細長い、より速い自転の remnant をもたらす;
(2)高速衝突ほど、質量損失が大きく、2つのrubble pileの構成粒子はよく混合される;
これらの結果は系の全エネルギーと角運動量に関係がある。

Catastrophic impact に対する衝突速度と衝突パラメータの関係は Gaussian 関数に
よってよく fitting されることに気付いた。
このことから、粒子の速度分布が与えられれば、衝突の結果として impactor が
質量を得るか、失うを見積もることが可能になる。

2つの同じサイズで自転をしていないrubble pileどうしが衝突するとき、降着より
侵食が優勢であることがわかった.これは惑星形成初期のプラネテシマルが rubble
pile であったとすれば、惑星が形成されないことを意味する.ただし、大きさの
異なる rubble pile どうしの衝突では衝突角、速度を変えたほとんどのケースで
降着が起こったので、rubble pile や rubble pile を構成する粒子にサイズ分布を
持たせて計算すれば,上の結果は変わってくるだろう.

title	Momentum Transfer in Oblique Impacts: Implications for Asteroid Rotations
author	YANAGISAWA, M. and HASEGAWA, S.
journal	Icarus
volume	146
page	270-288
year	2000
report	柳澤正久
date	10月30日(月)

実験室での高速度衝突実験で、衝突破壊に到らずクレーターが出来るような衝突では、
衝突体の運動量がターゲットにどのくらい輸送されるかを調べた。その結果、ター
ゲットが衝突時に受ける力積(運動量の変化)は衝突角によらずターゲットの面に
ほぼ垂直であることがわかった。これを小惑星の自転進化モデルに当てはめると、
形が球形から離れた小惑星ほど速く自転することになる。

title	Chaos and Secondary Resonances in the Mimas-Tethys System
author	S.Champenois and A.Vienne
journal	Cele.Mech.
volume	74
page	111-146
year	1999
report	Y.MASAKI
date	Oct.23, 2000

Mimas-Tethys系の2:4 (incli-incli type)平均運動共鳴について、角引数
    2*long_M - 4*long_T + Omega_M + Omega_T
が一定値のまわりを秤動している。この秤動は振子の振動と同様の方程式を
用いて (実際にはこの秤動周期(~70yr)より長い周期(~200yr)で振動する
摂動を加えて) モデルをつくることができる。この論文では、
秤動モデルを通してMimas-Tethys系が共鳴に捕獲されてから今日に至るまで、
どのような進化過程を辿ってきたかについて述べている。

特に共鳴系に捕獲されてから現在に至るまでのMimasの軌道傾斜角や
Tethysの離心率の進化について見積った。この共鳴系の力学進化を考えるに
あたっては、Allan(1969)により言われた「Tethysの離心率0」の仮定を
見直すべきである。

title	Opposition Effect of Asteroids
authors	I.N. Belskaya and V.G. Shevchenko
journal	Icarus
volume	147
pages	94-105
year	2000
report	Budi Dermawan
date	16/10/2000

This paper talks about the Opposition Effect (OE) parameter, which relates
to some physical properties of asteroids. OE is the sharp increase in
asteroid brightness near opposition.  33 asteroids are used in this study
and the authors suggest Shevchenko function rather than the HG standard
for describing the brightness curve (phase curve) of asteroids.  OE
amplitude is measured at phase angle 0.3 deg relative to the extrapolation
of linear part of the phase curve. Amplitude of OE is non-monotonic with
the maximum for moderate albedo.  Coherent-backscatter may explain the OE
and contribute 20-60% for low albedo and 80-90% for high and moderate
albedo. The phase curve in phase angle 5-25 deg correlates linearly with
albedo.  Possible correlation of OE amplitude with U-B colors has been
found, but no dependence of OE amplitude with asteroids diameter and
distance from the Sun.

title	Size and Shape of Trojan Asteroid Diomedes from Its Occultation and Photometry
authors	Isao Sato, Lenka Sarounova and Hideo Fukushima
journal	Icarus
volume	145
pages	25-32
year	2000
report	林悟
date	25/09/2000

1997年11月7日に起きたトロヤ群小惑星(1437)Diomedesによる恒星HIP014402Aの掩蔽
の観測結果とDiomedesの測光観測結果から、Diomedesの大きさや形状、自転軸の向き
等を見積もっています。

title	Langernus: Transient illuminations on the Moon
authors	Audouin Dollfus
journal	Icarus
volume	146
pages	430-443
year	2000
report	農澤健太郎
date	18/09/2000

偏光観測によるラングレヌスクレーターでの発光の
原因は 月面の傾斜やアルべドによっておこったのではない。
月面粒子が内部からのガス放出により上昇し、薄い雲をつくる。
この雲が偏光と強度を強める。

発表で使用しましたアルファ線濃度図で 豊かの海 といっていました
エリアは やはり月の裏側エリアでした。 このときの観測では豊かの
海では アルファ線は観測されていませんでした。

粒子の雲 以外では 放出ガスそのものが光る、 放電により光る、があります。
報告されている場所では ラングレヌス、アリスタルコス、アルフォンザス、
プロクルス 等のクレーターがあります。

title	On the size distribution of asteroid families: The role of geometry
authors	Tanga, P. et al.
journal	Icarus
volume	141
pages	65-78
year	1999
report	中村士
date	11/09/2000

 小惑星サイズ分布の原因となる衝突破壊現象では、衝突する物質の物質強度などが
サイズ分布に関係すると考えるのが常識であり、実際、実験室実験や小惑星のタイプ
別のサイズ分布でもそのように解釈される。しかし一方、物性などの物理特性には
依存しない、もっと根源的(数学的?)な過程によってサイズ分布が支配されている
という側面も確かにある。ここでは後者に関係する論文を2篇紹介した。

1.Tanga, P. et al. (1999): On the size distribution of asteroid 
families: The role of geometry, Icarus 141, 65-78.

Abstract: 
・Familiesのサイズ分布(累積度数分布)はnon-family asteroidsに比べてsteep 
slopeを持つ。
・このようなsteep size distributionは衝突実験から得られる標準的なpower-law
モデルでは得られない。
・母天体、fragmentsがfinite size、fragmentsの形がconvex shapeという制約の
もとに、幾何学的な条件だけを課したsimulationsを行ない、familiesに特徴的な
steep slopeを得た。
・このモデルはf=(最大破片の質量)/(母天体質量)がパラメータなので、
観測された小惑星familiesの分布にモデルをfitしfを決めることで、母天体の
質量も推定できた。


2.Y. Hayakawa(早川美徳)(1996): 衝撃破壊の統計則、岩波『科学』、Vol.66,
No.12, 845-852. 

Abstract:
・自然界の衝撃破壊では、多様な現象であるのもかかわらず、
破壊片のサイズ(質量)分布に、はっきりした統計的規則:ベキ乗分布、
が見られる。(例):チョークを折る、ガラスの破片、小惑星サイズ分布、
月クレータのサイズ分布。

・ベキ乗分布(累積度数分布): 
mass 分布のベキ: b
size 分布のベキ: b'
----------------------
b        b'
----------------------
2/3      2.0
5/6      2.5(Dohnanyi)
----------------------

・Oddershade et al. (1993): Phys. Rev. Lett., 71, 3107:
落下実験(sphere, cube)、物質によらず(石膏、せっけん、ジャガイモ、
パラフィン)b=2/3に非常に近い値を得た(図1)。

・Meibom & Balslev (1996): Phys. Rev. Lett., 76, 2492.
同種の実験:――>Slopeは試験サンプルの形状等によるのではなく、
“サンプルの次元だけに依存する”。

・ Hayakawa, Y. (1996): Phys. Rev. Lett., 53, 14828.
3-dim質点格子、ばねとダッシュポット(damper)による質点同士の結合モデルで
衝撃破壊を数値シミュレーション――> b= 2/3に近い分布を得た。
・ 外部から与えるパラメータで分布が決まるのではなく、「自己組織臨界現象」
(系が自らを臨界的な状態に調整した結果として、ベキ乗分布が達成される)らしい。
・ ベキ乗分布の関数形を予め仮定し、最大破片サイズ(破片の特徴的長さ)と
質量保存を前提すると、――>  b = 1-1/D (D: 次元数)。
 D=3 : b = 2/3 (b'=2.0)。

title	The formation of the Oort cloud and the primitive Galactic environment
authors	J.A. Fernandez
journal	Icarus
volume	129
pages	106-119
year	1997
report	谷川清隆
date	24/07/2000

簡単にOortの論文(1950)のエッセンスを紹介します。

title    Improved lunar ecliptic ephemerides
author   Byron W. Soulsby
journal  J. Br. Astron. Assoc.
volume   100
pages    293-305
year     1990
report   相馬 充
date     17/07/2000

昨夜(2000年7月16日の夜)の皆既月食は継続時間が1時間47分0秒というかなり
長いものでした.これを越える皆既月食は次は3787年7月13日になります.また
理論的な皆既最長時間は月の運動理論における引数が D=180°,F=180°(この2
つは月食の際に月が影の中心を通るという条件),l=180° (月が遠地点にあって
速度が遅くなるという条件;この場合,影は小さくなるが速度が遅くなるという
効果の方が大きい),l'=180°(地球が遠日点にあって月における地球の影が大き
くなるという条件;この場合,影が月を追いかける速度は遅くなるが影が大きく
なる効果の方が大きい) を満たす場合で,1時間47分19秒になる.この月食に関
連して,月食の予報計算に関する上記の論文を紹介した.
現在の天体暦における月食の予報では,地球の半径として緯度45°における値を
用い,影の偏率を無視し,影の拡大率として2%を採用して計算している.この論
文では,1974年から1989年までの18回の月食中に観測された月のクレーターの影
接触時刻を解析し,影の拡大率と偏率を求めた.その結果,月食の予報には影の
拡大率として2.09%を,偏率として1/102を使用するよう提案している.しかし,
拡大率については,月食毎のばらつきが大きいことから,現在の採用値の 2% を
2.09% に変更せよというのは余り説得力がないように思われる.

title	Propagation of the Discretization Error in the Two-Body Problem
authors	H.Kinoshita
journal	PASJ
volume	20
pages	1-23
year	1968
report	木下宙
date	10/07/2000

少し前に軌道の数値積分の誤差のことが話題になりましたので、
これに関する基本的な論文を紹介します。この論文での誤差解析を
摂動論(Gauss型惑星方程式)の立場から再構築した話もします。

title	Are earthquakes responsible for the excitation of the FCN and/or of the FICN ?
authors	Degryse, K and Dehant, V
journal	Phys. Earth Planet. Inter.
volume	94
pages	133-143
year	1996
report	白井俊道
date	26/06/2000

章動には、月や太陽などのトルクによる強制章動と地球が流体核を持っているこ
とによって起こる自由章動のふたつのもーどがある。
自由章動はFreeCoreNutation(FCN)と呼ばれている。
VLBIデータの解析によるとその周波数の付近に有意なピークがある。

この論文では、地震がその主な励起源となりうるかを調べた。
そのメカニズムは、地震が起こると地球の質量分布が変わり,
地球の慣性モーメント( A,B,C)が変化する。
その結果流体核にトルクが発生して、FCNが励起されるというものである。

簡単な地球モデルにのっとりその励起の強さを解析的な表現し、
実際に起こった大地震でどれくらい励起されるかを調べた。
最も大きい励起(Chile,Alaska)でも数マイクロセコンドのオーダーしかなかっ
た。VLBIの観測によれば、FCNの振幅は0.1ミリアークセコンドの
オーダーである。よって地震はFCNの主な励起源とは考えられない。

title	The Dynamics of Tadpole and Horseshoe Orbits I. Theory
authors	Stanley F. Dermott and Carl D. Murray
journal	Icarus
volume	48
pages	1-11
year	1981
report	小久保英一郎
date	19/06/2000

tadpoleとhorseshoe軌道の特性を解析的手法と軌道積分を用いて調べた。
粒子と衛星の軌道長半径の差によって軌道がどうなるかを示した。
また粒子の軌道とその軌道に付随するゼロ速度曲線の関係を示した。
また、どのような場合にtadpoleよりhorseshoe軌道が期待されるかを示した。
さらに数値計算によって連続するencounterによって粒子の軌道要素がどう変
化するかを求めた。

title	Planetary orbits in the elliptic restricted problem IV. The ADS 12033 system
authors	D. Benest
journal	Astron. Astrophys.
volume	332
pages	1147-1153
year	1998
report	茶亜度
date	12/06/2000

I'll discuss the series of papers by D. Benest (Nice Obs., France ):

Planetary orbits in the elliptic restricted problem
I. The alpha Centauri system
Astron. Astrophys. 206, 143-146(1988).
 
Planetary orbits in the elliptic restricted problem
II.The Sirius system
Astron. Astrophys. 223, 361-364(1989).

Planetary orbits in the elliptic restricted problem
III. The eta Coronae Borealis system
Astron. Astrophys. 314, 983-988(1996).

Planetary orbits in the elliptic restricted problem
IV. The ADS 12033 system
Astron. Astrophys. 332, 1147-1153(1998).

A comparison with the work of Rabl & Dvorak (1988) and Holman & Wiegert (199
9) will be considered.
You may find their papers in:
Astron. Astrophys. 191, 385-391(1988).
The Astronomical. J. , 117, 621-628(1999).

Abstract:
-------
Numerical simulations are made within the frame of the elliptic plane restri
cted three-problem, in order to search if stable orbits exist for planets ar
ound one of the two components in double stars. The ADS 12033 system is inve
stigated here. Large stable planetary orbits, already known to exist (more p
recisely, known to be possible from the dynamical point of view)   through a
 systematic exploration of the circular model and for several cases of the e
lliptic model (Sun-Jupiter, alpha Centauri, Sirius and eta Coronae Borealis)
, are found to exist around ADS 12033 A and ADS 12033 B up to distances from
 each star of the order of more than half the binary's periastron separation
. Moreover, nearly circular stable planetary orbits are found to exist in th
e so-called "habitable zone" around each star.
-------------------
 A comparison with the work of Holman & Wiegert (1999) indicates that:
* In case of alpha Centauri system, the stability limits are given by

                           alpha Cen A      alpha Cen B
Benest (1988)       ac=0.23 ab        ac=0.19 ab
Holman&Wiegert    ac=0.12 ab        ac=0.11 ab
(1999)

where 
            ac: Critical semi-major axis
            ab:  Binary semi-major axis

It is noted that:
     Benest's result  ~ 2x Holman & Wiegert's result.

* Holman & Wiegert used  time scale 10000 revolutions of the binary and full
  range of eccentricities and mass ratios of binaries (0=< e =<8, 0.1=< mu =<
  0.9). 

Summary of D. Benest's Work:
--------------------------
* Planar Case only.
* Integration time scale (100 revolutions of the binary) is very short com-
  pared to the lifetime of stars.
* Considered orbits for a single planet in an isolated binary. The mutual per-
  turbations between stars and any body are not taken into account.
* Close encounters (collisions) are not taken into account.
* S-type only.
* Limited range of eccentricities and mass ratios of the binaries.

title	A multiple time step symplectic algorithm for integrating close encounters
authors	Duncan,M.J., Levison,H.F., and Lee,M.H.
journal	Astron.J.
volume	116
pages	2067-2077
year	1998
report	伊藤孝士
date	15/05/2000

天体力学の分野でよく用いられる混合変数正準変換型数値積分法を発展させ、
天体間の近接遭遇が発生した場合にも対応できるような multiple time step
方式へと拡張を行った。この方法は近接遭遇の起こらない領域では従来の方法と
同程度の速度を保ちながら、近接遭遇が発生すると自動的に刻み幅を小さくし、
しかも symplecticity を失わない。幾つかの試験計算を実施し、この方法が
惑星形成過程の各種数値実験に有効であることも示した。具体的な内容は以下。

 1. シンプレクティク数値積分法の概要
     基礎知識としてシンプレクティク数値積分法。混合変数的方法の概略など。

 2. Multiple time stepの概念
     ポテンシャルの分割を利用することでシンプレクティク数値積分法に
     multiple time stepを持ち込む。この段階では具体的な実装までは至らない。

 3. Democratic Heliocentric method
     Jacobi座標を使わない混合変数型シンプレクティク数値積分スキームの構築。
     上記2.の multiple time step の項目とは一応独立である。

 4. Symplectic Massive Body Algorithm (SyMBA)
     ポテンシャル分割によるmultiple time stepスキームをDemocratic
     Heliocentric methodに適用し、惑星N体系に於けるmultiple time step
     シンプレクティク数値積分スキームを構築する。

 5. SyMBAの試験
     幾つかの実際的問題にSyMBAを適用し、結果を比較する。結論: SyMBAは使える。

title	On Planetary Companions to the MACHO-98-BLG-35 Microlens Star
authors	S. H. Rhie, et al
journal	ApJ (または astro-ph/9905151)
volume	533
pages	378-391
year	2000
report	荒木田英禎
date	24/04/2000

太陽系外の惑星はこれまでドップラー観測、惑星の主星面通過の観測
によって木星質量程度の惑星が発見されて来た。

しかし数年来、重力マイクロレンズ効果によっても系外惑星が発見される
可能性が指摘されていた。もし、1つのレンズ天体によるマイクロレンズ
効果であれば、観測される光度曲線は時間対称な形を描く。しかし、
レンズ天体が惑星を持っているならば、惑星の重力場の影響によって
観測される光度曲線は時間対称な形にならない。
そして実際に Bennett et al (例えば astro-ph/9908038)は重力マイクロレンズ
効果によって MACHO-97-BLG-41 に木星質量の3倍程度の惑星を発見したと
報告している。(これは初の連星系の周りを回る惑星の発見でもあった。)

そして、本論文で Rhie, et al は MACHO-98-BLG-35 にマイクロレンズ
効果によって惑星を発見したと報告した。今回の発見がこれまでと
異なる点は、観測から推定された惑星の質量が、主星との質量比を
e としたとき 4.0x10^{-5} =< e =< 2.0x10^{-4} と小質量の惑星で
あることである。これは我々の太陽系でいうと数地球質量 〜 海王星質量
程度の惑星であることに相当する。同時に初めて巨大ガス惑星を
持たない惑星系を発見したことになる。

今回の重力マイクロレンズ効果による惑星の発見は、観測者(地球)、
レンズ天体(主星と惑星)、そして光源がほぼ直線上に配置されたことに
よって光度の増幅率が A 〜 80 だったことが大きな要因といえる。
この増幅率はこれまで観測されて来たマイクロレンズ現象の中でも
最大のものであった。
しかし、この様な配置は非常に希な現象であるため、実際には多くの
マイクロレンズ現象を観測する必要があるが、重力マイクロレンズ効果によって
小質量惑星の発見が可能であることを示したといえる。

ちなみに MACHO-97-BLG-41 の惑星の発見は MPS と GMAN の2チーム、
今回の MACHO-98-BLG-35 は MPS と MOA の2チームで、両方に MPS グループは
関わっていて、Bennett と Rhie は2人とも MPS に所属しています。

また今日の e-print に G. Marcy らが土星クラスの系外惑星の候補を
ドップラー観測によって発見したという論文、Gaudi による系外惑星の
主星面通過の観測からの発見に関する論文(こちらは新たに発見したわけで
はなく、発見可能性を estimate しているようです)が post されていましたので
アブストラクトをつけておきます。

---------------------------------------------------------------------
Title: Sub-Saturn Planet Candidates to HD 16141 and HD 46375
Authors: G. Marcy, R. P. Butler, S. S. Vogt
astro-ph/0004326

Precision Doppler measurements from the Keck/HIRES spectrometer reveal 
periodic Keplerian velocity  variations in the stars HD 16141 and 
HD 46375. HD 16141 (G5 IV) has a period of 75.8 d and a velocity
amplitude of 11 m/s, yielding a companion having Msini = 0.22 Mjup and 
a semimajor axis, a = 0.35 AU. HD  46375 (K1 IV/V) has a period of 
3.024 d and a velocity amplitude of 35 m/s, yielding a companion with
Msini=0.25 Mjup, a semimajor axis of a = 0.041 AU, and an eccentricity 
of 0.04 (consistent with zero). These  companions contribute to the 
rising planet mass function toward lower masses. 

---------------------------------------------------------------------
Title: Planetary Transits Toward the Galactic Bulge
Authors: B. Scott Gaudi (Ohio State University)
astro-ph/0004324

The primary difficulty with using transits to discover extrasolar planets
is the low probability a planet has of transiting its parent star. 
One way of overcoming this difficulty is to search for transits in 
dense stellar fields, such as the Galactic bulge. Here I estimate the 
number of planets that might be detected from a monitoring
campaign toward the bulge. A campaign lasting 10 nights on a 10 meter 
telescope (assuming 8 hours of observations per night and a 5'x5' 
field of view) would detect about 100 planets with radius $\rp=1.5 
\rjup$, or  about 30 planets with $\rp=1.0 \rjup$, if the frequency and 
distribution of planets in the bulge is similar to that in
the solar neighborhood. Most of these planets will be discovered around 
stars just below the turn-off, i.e. slightly  evolved G-dwarfs. 
Campaigns involving 1- or 4-m class telescopes are unlikely to discover 
any planets, unless there exists a substantial population of 
companions with $\rp > 1.5 \rjup$. 


title	A search for large meteoroids in the Perseid stream
authors	Beech, M., and Nikolova, S.
journal	Meteoritics & Planet. Sci.
volume	34
pages	849-852
year	1999
report	柳澤正久
date	27/03/2000

この論文自身は大した物ではない. しかし, Referencesには興味深い関連論文が
たくさんある.

そこで References にあったいくつかの論文を読み「流星群中のメートルsizeの粒子」
に関する研究の現状を Review した.

(1)10^-20kgから10^15kgという広い質量範囲で, 地球に降り注ぐ
   粒子のfluxが見積られている.
(2)しかし, 10^4kgから10^5kg(メートルsizeの粒子)のfluxが
   よくわかっていない.
(3)満月ほど明るい流星では, Reynolds数, Magnetic Reynolds数が
   十分大きく, 地球磁力線が流星の尾に巻き込まれ低周波の電波を出す可
   能性があり, これは,流星に伴う「音」を説明するかもしれない.
(4)音がしたということから, 流星体の大きさの下限が推定出来る.
(5)メートルsizeの粒子を, cometの核からガスの流れで持ち上げ, 運び
   出すのは難しい. 塵とは核からの放出のメカニズムが違うかもしれない.

発表の中心となった論文は, 以下の三つである.

Ceplecha, Z., Influx of interplanetary bodies onto Earth, Astron.
  Astrophys., 263, 361-366, 1992.

Bronshten, V. A., A magnetohydrodynamic mechanism for generating radio waves
  by bright fireballs, Solar System Res., 17, 70-74, 1983.

Beech, M., and Nikolova, S., Large meteoroids in the Lyrid stream, Mon. Not.
  R. Astron. Soc., 305, 253-258, 1999.

title	Collisional Evolution in the Vulcanoid Region: Implications for
	Present-Day Population Constraints
authors	S.A.Stern & D.D.Durda
journal	Icarus
year	2000 (in press, astro-ph/9911249)
report	Budi Dermawan
date	13/03/2000

This paper examines the effect of collisional evolution to further
constrain the extent of any small-body population interior to
Mercury's orbit. The vulcanoid are hypothesized bodies that orbiting
through 0.06 to 0.21 AU (Vulcanoid Zone, VZ). Accretion of small
bodies may have ever been able to proceed in the VZ, but at least
accumulation did take place for a sufficient period some 4.5 Gyr
ago. The conclusions of this paper: 

- The collision and erosion must take place in the mean orbital
  eccentricity exceeds a critical value (e*) 

- The collisional evolution is so fast and high energy. Any former
  present-day VZ population at smaller distances was depleted by collisions 

- It is unlikely that more than a few hundred objects with radii
  larger than 1 km will be found in the VZ. The present-day VZ is likely
  to be either depleted or almost depleted of km-scale and larger objects. 

title	Planetary habitability and the origin of life
author	C. F. Chyba and D.P. Whitmire and R. Reynolds
book	Protostars and Planets IV (to be published in 2000)
date	21/02/2000
report	谷川清隆

遠隔探査に有用な生命の一般的定義は捕らえどころがないことがわかった. 
現実問題として, 生命の探索は, われわれの知っている生命の探索になる. 
それは液体水中の有機分子に基づく. 太陽系では有機体はありふれているから, 
液体水は系外生命探索の焦点になる. 近年, 地表下深くの生命圏が発見された. 
ここでは地表とまったく条件が異なる. 生命が地下条件で誕生したかどうかは
未解決問題である. けれども, それが可能であるとすると, 火星やオイロパに
あるのではないかと思われている深地底の液体水環境が地球外生命にとって
もっともらしい場所である. 
地球外の居住可能性環境として挙げられるもっとも保守的な要請は, 
地下ではなく, 地表に液体水が存在することである. 
「星周居住可能ゾーン」とは, 星または星系のまわりの空間体積であって, 
そこでは地球型の惑星が地表に液体水を維持できるところである. 
このようなゾーンは星の光度の変化に連れて変わるけれども, 太陽質量の
0.1から1.5倍の星の場合には, 何十億年も続く居住可能ゾーンがある. 
したがって, 居住可能性についての保守的な定義からしても, 他の星の
まわりに生命のための場所がたくさんあり得る. 地下の生命環境は生物学の
可能性をさらに広げる. 

title	Evidence for early stellar encounters in the orbital distribution of Edgeworth Kuiper Belt objects
author	S. Ida, J. Larwood, A. Burkert
journal	Astrophys. J.
volume	528
pages	351-356
year	2000
date	14/02/2000
report	中村士

・Proto-Sunがstar clusterの中で生まれ,まだその中にいる間にstellar 
  encounter(s)によって、high-e、high-iのscattered KOBs(>42AU)が
  生成されるというモデルを提案した。
・q〜100AUのflyby encountersのsimulation計算では、> 42AUでは
  high-e, -iにpump up、3:2 resonance(39.5AU)付近ではe, iは余り
  影響されない。つまり,適当なstellar encounter modelを仮定する
  ことで,scattered KBOsの軌道分布特性が実現されることを示した.
・今後観測されるであろう r>50AUでのSKBOsの軌道特性が本モデルの
  妥当性を判定する目安になる.
・r>50AUには実質的な質量を担うKBOsは存在しないと予想.

[紹介者の私見では,Duncan-Levison(1997)が提案した,Neptuneによる
46億年間のlong-range perturbationsよりも,井田モデルの方が色々な
点でより妥当である印象を受ける.例えば,現在のKBOsの発見統計からは,
少なくともD>200kmの通常のKBOsは,r>50AUに存在する可能性はほとんどない
ことが示せる.SKBOsが重力作用で作られた以上,その作用がサイズに
依存する理由はないから,D<200kmのKBOsもr>50AUには存在しないだろうと
いう気がする.これは井田モデルとconsistentである.
ただし,今後,井田モデルを精密化するには,例えば,
(1) Classical Oort cloudの形成とstellar encounterは矛盾しないか,
(2) Beta Picなどの円盤は数100AUまで拡がっているが,太陽系は特別なのか,
なども説明できる必要があるように思われる]

title	Population of the scattered Kuiper Belt
author	C.A. Trujillo, D.C. Jewitt, J.X. Luu,
journal	Astrophys. J. Lett.
volume	529
pages	103-106
year	2000
date	14/02/2000
report	中村士

・CHFT3.6m望遠鏡によるサーベイ観測で新たなScattered Kuiper Belt 
  objects(SKBOs)を3個発見した(それまでは1個で合計4個)。
・SKBOsの軌道特性は、e 大、a > 50AU、q 〜35 AU。
・発見条件と検出効率のsimulation計算によって、total populationを
  推定した。直径100km以上のSKBOs総数は、N = (3.1+1.9/-1.3) x 10^4 
 (全質量〜0.05Mearth)。これはr < 50AUに存在する通常のKBOsの総数とほぼ同じ。
[2000年1月半ば現在で、SKBOsは8〜9個見つかっている]。

<>:
 Duncan, M.J., Levison, H.F.: A disk of scattered icy objects 
  and the origin of Jupiter-family comets, Science 276, 1670-1672(1997).

title	Global and local bias in the FK5 from the Hipparcos data
author	F.Mignard and M.Froeschle
journal	Astron. Astrophys. (submitted)
year	2000
date	31/01/2000
report	相馬充

天文基準座標系には1997年の京都の IAU 総会で ICRS (International
Celestial Reference System) が採用され,電波源位置に基づく ICRF
(International Celestial Reference Frame) がそれを具体化したもの
として使用されている.可視域では ICRS に準拠しているとされる
Hipparcos 星表が基準座標系を与えるものとして,これまでの基本星表 FK5
に代わって使用されることになっている.この論文では FK5 と Hipparcos の
差について議論し,FK5 に準拠して観測された位置を Hipparcos 系に変換する
ための表を与えているが,FK5 の歳差定数の誤差との矛盾についての説明や
変換表の作成の仕方が実に雑で,とても実用にならないことを紹介する.
星表比較のための参考論文としては次を挙げておく.

Brosche P. 1966, Veroeff.Astron.Rechen-Inst. Heidelberg 17
Schwan H. 1988, A&A 198, 363-364

title	Disturbing function in the analytical theory of the motion of Phobos
author	Piotr Waz
journal	Astron. Astrophys.
volume	348
pages	300-310
year	1999
date	24/01/2000
report	Saad Abdel-naby Saad

   Since the discovery of Phobos and Deimos(1877), many authors have 
tried to construct an efficient theory of the motion of the Martian 
satellites. The first theory was constructed by Struve(1911).It takes 
into account only the secular perturbations due to the Sun and the 
oblateness of Mars. Shor(1975) followed Struve's theory with 
increasing the number of the Earth-based observations and considered 
the Laplacian plane as a reference plane of the motion. Born and 
Duxbury(1975) and Hildebrand et al (1979) are improved the Sinclair's 
theory (1972) by addition of some periodic terms induced by the Sun, 
the zonal harmonics of Mars potential up to the order 4 and the 
sectorial harmonics C2,2.  The accuracy is about 900 m on the 
positions of Phobos. Born and Duxbury fit only imaging observations 
from the Mariner 9 spacecraft, while Senclair and Shor based their 
orbits on fits to various sets of Earth-based observations. 

   Chapront(1988, 1990) constructed a semi-analytical theory for the 
motion of Phobos and Deimos(ESAPHO and ESADE).  The perturbing forces 
taken into account are due to the solar effects, attraction by all the
planets(except Pluto), coriolis forces induced by the reference frame
motion(the basic plane, Martian mean equator of date  performs a 
precession relative to the ecliptic E2000) and the Phobos' figure. The
accuracy reached to 200 m for a time span 20 yr around 1985 or for 
350 m for a time span of one century. 
Emelianov et al (1989, 1993) constructed an analytical theory based on
an intermediate orbit which is the solution of the generalized  two 
fixed center problem. Perturbing forces are due to the Sun(Keplerian 
orbit), Mars(all the harmonics up to the 12th order), periodical 
disturbances due to the non-inertial nature of the co-ordinate system,
secular perturbations in the orbital elements of Phobos and Deimos 
due to non-spherical character of the satellites and an empirical term
in the satellite's longitude which is quadratic in time. The accuracy
of the theory is in good agreement with that by Sinclair(1989). 
Sinclair(1989) improved his theory(1972) with the addition of a few 
further periodic terms and some terms due to the tesseral harmonics C2,
2 and S2,2. He also added some solar perturbations of order e^2 (e for
 Mars). The precision of Sinclair's theory reached to  the level 0.32 
km for Phobos and to 0.82 km for Deimos over 4000 days.

   Piotr(1999) introduced a new analytical theory of the motion of 
Phobos based on the two fixed gravitational centers problem. The 
perturbing forces taken into account are due to the oblateness of Mars,
the interaction of Phobos with the Sun, with Deimos and with Jupiter,
the tidal effects of the Sun and the disturbances due to the non-
inertial nature of the co-ordinate system. The zonal harmonics are up 
to the order 12th and the tesseral harmonics up to the 6th order. The 
expected precision of this theory is about 1 m of the mean motion of 
Phobos over 1 year.

Main references:

Disturbing function in the analytical theory of the motion of Phobos
 Piotr Waz: Astron. Astrophys. 348, 300-310(1999).

The dynamics of Martian satellites from observations
 N.V. Emelianov, S.N. Vashkovyak, and L.P. Nasonova: Astron. Astrophys.
 267, 634-642(1993).

ESAPHO: a semi-analytical theory for the orbital motion of Phobos
 M. Chapront-Touze: Astron. Astrophys. 200, 255-268(1988).

The motions of the satellites of Mars
 A.T. Sinclair: Mon. Not. R. astr. Soc.(1972)155,249-274.

title	A General Theory of Motion for the Eight Major Satellites of Saturn: III. 他
author	Vienne,A. and Duriez,L.
journal	Astron. Astrophys.
volume	257
pages	331-352
year	1992
date	20/12/1999
report	木下宙

土星の衛星で平均運動共鳴にある衛星の運動理論について概観する。特に
Titan と 4:3 平均運動共鳴にあるHyperionの理論についてreviewする。

土星の衛星に働く摂動は衛星間相互作用、太陽摂動、土星のJ2、土星の輪である。
平均運動共鳴にある衛星に関しては衛星間相互作用が最大の摂動である。従って
摂動パラメーターεは衛星質量/土星質量である。ここでは平均運動共鳴にある
2衛星は同一平面上を運動している場合を考える。短周期消去後の系の自由度は
2である。ひとつの自由度は臨界引数、もう一つの自由度は2衛星の近土点経度の
差に対応している。この自由度2の系(永年摂動)は積分可能ではない。

Waltjer(1928)は永年摂動による変動が小さいとして運動方程式を線形化し、線形
微分方程式の係数を調和解析の手法を用いて数値的に求めている。またこの理論は
εに関して1次である。

Vienne&Duriez(1992)は定数変化方程式を逐次近似で短周期摂動と永年摂動に分離し、
永年摂動に関しては数値積分を用いて数値的に解いている。

Message(1993)は正準変換を用いた堀methodで短周期項を消去し永年摂動方程式の解を
系の角変数でFourier展開し、その係数を未定係数法で決定している。

Vienne&Duriez(1992とMessage(1993)の理論はεに関して2次である。現在のところ
観測との比較ではVienne&Duriez達の理論が優れているようではあるが、これから
より高精度の観測と長期の観測データが得られることを考えると、もう一桁理論の
精度を上げる必要がある。

[参考文献]
1928 Waltjer,G.,The Motion of Hyperion, Annalen van de Sterrewacht te Leiden,
 vol.16,pt3,1-139

1992 Vienne,A. and Duriez,L.,A General Theory of Motion for the Eight Major
 Satellites of Saturn:III Long-Periodic Perturbations, A&A,vol.257,331-352

1993 Message,P.J., On the Second Order Long-Periodic Motion of Hyperion,
 Celestial Mechanics & Dynamical Astronomy,vol. 56,277-284

title	Modeling the diversity of outer planetary systems
author	Harold F. Levison, Jack J. Lissauer, and Martin, J. Duncan
journal	Astron.J.
volume	116
pages	1998-2014
year	1998
date	13/12/1999
report	伊藤孝士

近年発見が相次いでいる太陽系外惑星系の最大の特徴はその多様な形態にあると言
える。この論文ではそうした多様性の原因解明を基本的な目的意識として配し、安
定な巨大惑星システムがどのような形態で存在し得るかを知るための数値実験を行
った。多数の惑星胚(原始惑星)から出発してそれらが衝突合体しながらガスを纏い、
質量を増やして行く様を再現しようとした大規模な bottom-up numerical simula-
tions である。実験の結果、幾つかの初期状態から開始して少なくとも10億年間は
安定に存在できる惑星系が出来上がったが、それらは非常に広い多様性を示すこと
がわかった。その中には私達の木星型惑星系とよく似た姿を持つものもある。最終
的な惑星の数は1個から7個の中に収まった。惑星質量の典型は天王星程度のもので
あった。中には、大局的な軌道の変化(離心率と軌道傾斜角の大きな変動)を示しな
がら猶も10億年にわたって安定に存在し続ける惑星系が存在することも確認できた。

紹介者註・私達の惑星系の起源と太陽系外惑星の多様性に説明を与えようとする長
時間数値実験の先鞭として引用され続けるであろう論文である。地球型惑星の最終
形成過程を直接数値実験した Chambers and Wetherill (1998)と共に、その筋を目
指す大学院生には必須文献と言える。出版を急いだためと思われる誤植が多いのが
残念だが、内容は示唆に富んでおり、興味深い。但し、物理的洞察の深さに関して
はCW(1998)論文に及ばない。

Title	Orbital elements of the eight major satellites of Saturn determined
	from a fit of their theories of motion to observations from 1886
	to 1985
Author  G.Dourneau
Journal Astronomy and Astrophysics
Volume  267
Year    1993
Pages   292-299
Report  Y.MASAKI
Date    29/11/1999

土星の 8つの衛星について、1世紀近くにわたる観測(22000個程)を集めた。
(自らの観測も含む) 理論における軌道要素や各種係数値を観測と合うように
修正した。Kozai(1957)で提唱された Mimas の平均経度に見られる永年加速は
確証するに至らなかった。近年のRapaport(1977)などの暦より、とりわけ
Hyperion, Iapetus に関して、より正確になった。この新しい暦では、近年の
衛星位置について(天体写真観測と比較し)

  Enceladus-Titan     350- 500 Km
  Iapetus,Mimas       800-1000 Km
  Hyperion               ~2500 Km

の不確かさがある。観測データの期間を長くしたこの暦は長きにわたり精度を
保つと期待される。

Title	Masses and densities of the four inner major Saturn's satellites
Author	G.Dourneau and S.Baratchart
Journal	Astronomy and Astrophysics
Volume	350
Year	1999
Pages	680-684
Report	Y.MASAKI
Date	29/11/1999

土星の内側の 4つの衛星について、Dourneau(1993)に基づき決定した。
質量は(土星質量を 1として)

  Mimas         (0.651 ± 0.021)*10^(-7)
  Enceladus     (2.02  ± 0.54 )*10^(-7)
  Tethys        (1.094 ± 0.031)*10^(-6)
  Dione         (1.923 ± 0.057)*10^(-6)

ボイジャー号による半径の測定と合わせ、導かれる密度[g/cm^3]は

  Mimas         1.123 ± 0.047
  Enceladus     1.77  ± 0.48
  Tethys        1.032 ± 0.059
  Dione         1.494 ± 0.085

質量や密度をその決定方法の観点から議論すると、衛星の運動理論から求めた
ものは Enceladus を除き、かなり信頼できる値である。Enceladusに関しては、
Dermott&Thomas (1994)による惑星学的な観点から制限される値より決定精度が劣る。

Title	Linear Multistep Methods for Integrating Reversible Differential Equations
Authors	Evans, N.W. and Tremaine, S.
Journal	Astronomical Journal
year	1999
volume	118
pages	1888-1899
report	福島登志夫

力学によく現れる特殊な2階常微分方程式系(たとえば位置だけに依存する
ポテンシャルの下の軌道運動)の場合に、シンプレクティック積分法と同様に
「エネルギーに永年誤差なく、角度に時間比例誤差のみ」という好ましい性質を
示した対称線形多段法(Lambert & Watson 1976; Quinlan & Tremain
1990; Fukushima 1998, 1999)であったが、一般の1階常微分方程式系
(たとえば自転の運動方程式や軌道要素の変化方程式など)に対しては、
Cano & Sanz-Serna(1998)が示したように、一般に数値不安定であり、従って
使い物にならないと考えられてきた。本論文は、この「一般に数値不安定」
という結論の例外となる数値安定な公式の求め方を提示し、例として2つの
(従来から知られている)公式のほかに3つの新しい公式を発見したという報告
である。著者たちのお奨めは新公式の一つ、4次6点1パラメータ陽公式である。

Title	Occultation/Eclipse Events in Binary Asteroid 1991 VH
Author	P. Pravec,M. Wolf,L. Sarounova
Journal	Icarus
Volume	137
Year	1998
Pages	79-88
Report	林 悟
Date	15/11/1999

アポロ型小惑星である1991 VH の測光観測を行った。その光度曲線
(lightcurve)は, 2つの成分からなる。 1つは, 周期 Ps=(0.109327±
0.000003)d,光度振幅0.09magの自転によるものであり, もう1つは, 周期
Pl=(1.362±0.001)dごとの平均より0.16-0.19mag暗い極小値をもつ変化である。
そこで観測された光度曲線を満たすようにsecondaryとprimaryの直径比ds/dp=
0.40のoccultation(掩蔽)/eclipse(食)を起こすbinary asteroidのモデルを考
案した。このモデルでは, primaryの自転は軌道周期とは同期しておらず, 短
周期光度曲線(Ps)を作る。軌道周期は, Plである。軌道長半径はa=(2.7± 0.
02と見積もられた。1991 VH と1994 AW 1, そして(3671)Dionysusの光度曲線
の類似は,binary asteroidsは地球近傍小惑星によく見られるかもしれないこ
とを示している。これらの 3つの小惑星にはいくつかの共通する特性がみられ
る。それらの特性の大半は,binary asteroidsは"rubble piles"が地球への接
近時に潮せきにより破壊されることによって作られたという仮説で説明できる。

title	On the relativistic motion of (1566) icarus 
author	G. Sitarski
journal	Astronomical Journal
volume	104
pages	1226-1229
year	1992
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

1949 - 1987 年までの icarus の観測データを用いて、相対論の
効果を検証した。方程式のなかに含まれるパラメータ λ を決定し、
Schwarzschild 問題にもとづき、Painleve の座標で書かれた運動方程式を
用いた。また、非重力効果の決定も試みた。相対論的パラメータ λは
相対論の予測 λ = 1 に近く、0.985 +/- 0.033 <= λ <= 1.013 +/- 0.018
であった。

title	Mercury's perihelion advance : Determination by rader 
author	I.I Shapiro et al
journal	Physical review letters
volume  28
pages	1594-1597
year	1972
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

地球から水星に送られるレーダーエコーの遅れの観測によって水星の
近日点移動の正確な値を得た。太陽の四重極モーメントは無視でき、
パラメータ λは λ = 1.005 +/- 0.007 である。0.007 は統計標準誤差。

title	General relativity and the orbit of Icarus 
author	I.I Shapiro et al
journal	Astronomical Journal
volume	76
pages	588-606
year	1971
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

1968 年の大接近の時の観測データ342個を含む413個の写真観測のデータが
 Icarus の軌道決定を改良するためと相対論を検証するために
解析された。パラメータ λ について λ = 0.96 +/- 0.08 であった。

title	Icarus and determination of astronomical constants 
author	J.H Lieske  et al
journal	Astronomical Journal
volume	74
pages	297-307
year	1969
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

Icarus のレーダーと光学観測データは相対論の検証を試みるために
Schawarzschild 等方、非等方座標を用いて解析され、同時に
太陽の偏平、水星の質量、そして他のパラメータも推定された。
λは 0.87 +/- 0.08 <= λ <= 1.26 +/- 0.11 の範囲であった。
Icarus と地球の軌道の偏った観測が相対論を検証するのに影響している。

title	Icarus : Further confirmation of the relativistic perihelion precession
author	I.I Shapiro et al
journal	Physical review Letters
volume	20 p 1517 - 1518
year	1968
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

Icarus に対する非 Newton 的な近日点移動が光学観測データから導き出され
20%の不確かさで、相対論的効果による移動であることが分かった。
λ = 0.97 +/- 0.2。もし、Icarus が地球に最接近する1968年6月に観測されれば、
観測の不確かさは8%にまで減少する。

title	Determination of the PPN parameter γ with HIpparcos data
author	M Floeschle et al.
journal Proceedings of the ESA Symposium `Hipparcos - Venice '97', 13-16 May, Venice, Italy, ESA SP-402 (July 1997), 
pages	49-52
year	1997
report	荒木田英禎
date	08/11/1999

Hipparcos データの解析によって、相対論的効果による光の伝播が
初期の段階で計画に導入された。太陽からの星の位置の正確な測定の
蓄積によって、PPN パラメータ γ が相対論での値からどれくらい
ずれているかを確かめることが可能になった。
結果から、γは 0.3 %の範囲で γ = 0.997 +/- 0.003 である。
これは相対論の予想のように、1からの有意な違いはない。

title	Application of method of variation of parameter to KS-regularized equation of motion
author  Arakida,H. and Fukushima,T.
journal Celestrial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume  to be submitted
year    2000
report  荒木田英禎
date    08/11/1999

離心率の大きい天体の軌道を計算する場合、天体の大接近を避けるために
運動方程式を正則化することが望ましい。我々は軌道を積分する際の
誤差を抑えるために、KS 変換された運動方程式の作用・角変数に対して
要素変化法を応用した。
3次元円制限3体問題におおける数値実験は、この方法が、(1)3次元直交
座標系での運動方程式、(2)Encke 法、(3)Gauss 型惑星方程式そして
(4)KS 変換された運動方程式より精度が良いことを示した。
Jacobi 積分の誤差に関して、この方法は離心率依存性がほとんどなかく、
Jacobi 積分の時間依存性はほぼ時間の1乗に比例する。
また位置の誤差の時間依存性もほぼ時間の1乗であった。

title	Discovery of a moon orbiting the asteroid 45 Eugenia
author	Merline et al.
journal	nature
volume	401
pages	565
year	1999
report	柳澤正久
date	25/10/1999

ハワイの Adaptive Optics の付いた 3.6m 望遠鏡を使い、近赤外で小惑星
45 Eugenia (直径215km, 自転周期5.7h)を観測し、その衛星(直径13km, 
Eugenia からの距離1190km, 公転周期4.7d)を発見した. 衛星の軌道から
Eugeniaの質量を求め, さらに密度を計算すると 1.2g/cm^3 であった。

title	The Diameter Distribution of Earth-Crossing Asteroids
author	Poveda, A., Herrera, M.A., Garcia, J.L., Curioca, K.
journal	Planetary and Space Science
volume	47
pages	679-685
year	1999
report	Budi Dermawan
date	18/10/1999

Abstract:
  The luminosity function of Earth Crossing Asteroids (ECAs) and Main
Belt Asteroids (MBAs) are described using the absolute magnitude data
from Minor Planet Center and van Houten et el. (1970).
  This luminosity functions is consistent with the Dohnanyi's theory
(Steady-state distribution). The distribution of diameter, masses, and
energies of ECAs could be obtained considering 3 cases of the S and
C-type population.
  Frequency of impacts with the Earth can also be yielded by using the
mean probability collisions and impact velocity.

Conclusions:
# Distribution of absolute magnitude of ECAs is complete for H < 15.5
# The constant alpha is similar for ECAs and MBAs. It means that ECAs
  come from   MBAs. The value of alpha also supports the steady-state
  distribution of masses 
# The derived distribution of diameter, masses, energies, and the
  frequency of c  ollisions need further investigated.

title	Dynamics of some fictitious satellites of Venus and Mars
author	Tadashi Yokoyama
journal	Planetary and Space Science
volume	47
pages	619-627
year	1999
report	Saad Abdel-naby Saad
date	27/09/1999

The dynamics of some fictitious satellites of Venus and Mars are
studied considering only solar perturbation and the oblateness 
of the planet, as disturbing forces. Several numerical integrations 
of the averaged system, taking different values of the obliquity of 
ecliptic(epsilon), show the existence of strong chaotic motion, provided 
that the semimajor axis is near a critical value. As a consequence, 
large increase of eccentricities occur and the satellites may collide 
with the planet or cross possible internal orbits. Even starting from 
almost circular and equatorial orbits, most satellites can easily 
reach prohibitive values. The extension of the chaotic zone 
depends clearly on the value of (epsilon), so that, previous 
regular regions may become chaotic, provided (epsilon) increases 
sufficiently. 

We discussed the results of the following papers:

  Kinoshita, H. and Nakai, H., (1991), Cel.Mech. and Dyn. Astron. 52, 293-303.
  Laskar, J. et al., (1993), Nature 361, 615-617.
  Laskar, J. and Robutel, P., (1993), Nature 361, 608-612.
  Laskar, J., (1992), Physica D 56, 253-269.

Conclusions

* The combined effect of the obliquity and the semi-axis provides 
  important regions where chaos or large variation of the eccentricity. 
  For the region near the critical distance, the motion is chaotic 
  and the  eccentricity may reach prohibitive values.

* In case of the weak chaotic motion, the frequency analysis 
  technique is highly recommended than the usual computation of 
  Lyapunov exponents.

This reference is miss printed in the paper by Prof T. Yokoyama:

  Goldreich, P., (1966), Rev. Geophys., vol. 4, p. 411-439 (1966).

title	RDAN97: AN ANALYTICAL DEVELOPMENT OF RIGID EARTH NUTATION SERIES USING THE TORQUE APPROACH
author	F.Roosbeek and V.Dehant 
journal	Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume	70
page	215-253
year	1999
report	白井俊道
date	20/09/1999

現在、IAUで採用されている章動理論(IAU1980)は木下先生の剛体地球の
章動解(0.1mas以上の項, 106項)にWahrのTransfer-Functionにより非剛体
効果を畳み込んだものである。しかし、IAU1980と観測データの残差は大きく
10 mas のオーダーである。さらに、最近では VLBI などを使った観測精度は
0.01 mas のオーダーとなった。非剛体効果の誤差だけを考えるために剛体
地球の章動理論も改良する必要が出てきた。

RDAN97 では以下の方法で剛体地球の章動解の改良を行い、Longitudeで1529項、
Obliquity で984項の章動解を求めた。

1.月の暦の改善・・ELP2000-85(Chapront, 1988)の使用。
2.太陽の暦の改善・・VSOP87(Bretagnon, 1988)の使用。
3.惑星の摂動を考慮・・水星, 金星, 火星,木星,土星。
4.その他の摂動を考慮・・0.1μas 以上の項を考慮に入れる。

またこの論文では、RDAN97 の精度を確かめるために以下の最近の他の剛体
地球の章動理論との比較を行い、0.1mas のオーダーの違いがあることを確かめた。

1.Souchay & Kinoshita(REN2000)・・正準方程式、0.1μas以上の項。
2.Hartmann & Soffel(HS97)・・Spectral-Method、0.45μas以上の項。
3.Bretagon(SMART97)・・オイラー方程式、0.01μas以上の項。
4.RDNN97・・RDAN97と同じ方程式を DE403 と LE403 を使い数値的に解いたもの。

また、Transfer-Functionに関しても改良が行われている。(Dehant,Mathews,etc)

title	Planetary Impact Rates from Ecliptic Comets
author	H.F. Levison, M.J. Duncan, K. Zahnle, and L. Dones.
journal	Icarus
volume	submitted
year	1999 August
report	中村士
date	13/09/1999

Neptune-crossing orbitsから出発して10億年、KBO軌道を追跡した Levison and
Duncan (1997) に基づき、惑星と周期彗星との衝突頻度を再計算した。

・LD97でも計算しているが、LD97に比べて頻度は約4倍小さくなった。
  H<9のecliptic cometsと惑星のimpact rates:
  ---------------------------
  Planet  Impact rates(comets/yr)
  ---------------------------
  Jupiter       6.5 x 10^-4
  Saturn        2.7
  Uranus        1.6
  Neptune       3.5
  Mercury       6.1 x 10^-9
  Venus         5.4 x 10^-8
  Earth         8.0 x 10^-8
  Mars          1.8 x 10^-8
  ---------------------------

・KBOsが初めから大きな軌道傾斜角を持ってカイパーベルトを出発したとしても、
  衝突頻度は2倍弱増えるに過ぎない。
・木星衝突の場合、21%は直接衝突せずに(SL-9のように)一時的な捕獲軌道に入る。
・木星、土星、天王星では衝突の非等方性が見られた。
・上記のJupiter/Earthの比は8100, これに対して
  Nakamura-Kurahashi(1998)は7000で、両者よく合っている。

[コメント]
NK98は±3万年の計算であり、両者が合っていることは、周期彗星の集団は
1-2万年で定常状態になることを示唆する。また、この論文の計算は1万年と
いう粗いステップの出力しかしていないが、10億年という長い期間の計算で
あるために、様々な軌道状態が実現された結果、粗いステップでも正しい
衝突頻度を与えたと理解できる。

title	(1) Triple collisions in the one dimensional three-body problem
	(2) A detailed analysis of the one dimensional three-body problem
	via symbolic dynamics
author	Tanikawa,K. and Mikkola,S.
journal	Celestrial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume	submitted
year	1999
report	谷川清隆
date	26/07/1999

等質量の1次元三体問題に記号力学を応用する. 軌道に沿っての衝突の時系列を2つ
または3つの記号による記号列で表現する. 三体衝突軌道は異なる記号列の境界として
得られることが数値計算により判明した. また三体衝突に始まり三体衝突に終る軌道が
得られた. 実現されない記号列および周期記号列を系統的に求めた. 最後に, 数値
結果を前提として, 実現される記号列の集合がカントール集合をなすことを示す. 

title    1994-1996 CCD astrometric observations of Saturn's satellites
         and comparison with theories
author   Qiao RongChuan, Shen KaiXian, Liu JianRong, and D.Harper
journal  Astronomy and Astrophysics Supplement Series
year     1999
volume   137
page     1-5
report   相馬 充
date     19/07/1999

1994年から1996年にかけて,上海近くの Sheshan Station で CCD を用いて土星
の第1(Mimas)から第7(Hyperion) までの衛星の位置を観測した.いくつかの理
論に対する残差を求めたが,Tethys, Dione, Rhea, Titan の残差のrmsは 0.08"
前後で La Palma における Harper らの観測と同程度であった.

title    CCD astrometry of Saturn's satellites in 1995 and 1997
author   D.Harper, K.Beurle, I.P.Williams, C.D.Murray, D.B.Taylor,
         A.Fitzsimmons, and I.M.Cartwright
journal  Astronomy and Astrophysics Supplement Series
volume   136
year     1999
page     257-259
report   相馬 充
date     19/07/1999

この論文では,1995年と1997年に La Palma でCCDを用いて観測した第1(Mimas)
から第8(Iapetus) までの8個の土星の衛星の位置観測結果が発表されている.
Harper & Taylor (1993) の理論に対して,Tethys, Dione, Rhea, Titan の観測
位置残差のrmsは,1995年が 0.08",1997年が 0.10"であった.Iapetusの観測数
も多いが残差については書かれていない.Iapetus は理論のよる差が0.5"前後と
大きいので,その残差も見てみると面白いだろう.

title	Theoretical Description of Spacecraft Flybys by Variation of Parameters
author	J.D.Anderson and G.Giampieri
journal	ICARUS
volume	138
year	1989
page	309-318
report	木下宙
date	1999/6/28

直線運動を0次解とする定数変化法による運動方程式を導出する。
著者たちによれば、フライバイを利用するスペースミッション計画を立てる
ときにこの方法は簡便であり、また天体の重力場を決定するのにも
応用できる。

title	Some Unsolved Problems in Evolutionary Dynamics in the Solar System
author	S.J.Peale
journal	Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume	46
year	1989
report	眞崎良光
page	253-275
date	1999/6/21

現在の力学的な惑星の配置構成・衛星系へと導いた進化史において
未解明の問題を、以下のような点について議論する。

水星・金星が形成された頃に有していた自転運動に関する値の制限
金星逆行自転を安定化させている機構
地球・火星の起源問題
木星衛星Ioからの熱エネルギー流失過剰
土星衛星Enceladus、天王星衛星Ariel等に見られる
    衛星表面のresurfaceイベントと衛星間での共鳴現象
外惑星集積と原始星雲ガスに働くドラッグの作用

(注) 当論文はおよそ10年ほど前に発表された論文で、現在は進展している
     可能性があることを申し添えておきます。また項目によっては
     わずかな記述しかされていないものもあります。

title	Stability and chaos in the Upsilon Andromedae planetary system
authors	Gregory Laughlin and Fred C. Adams
journal	Astrophys. J. (probably)
volume	submitted
year	1999
report	伊藤孝士
date	14/06/1999

[概要]
Butler et al.(1999)に引き続き、Lick/AFOEのデータから決定された惑星の
軌道要素をもとに数値実験を行って Upsilon Andromedae 惑星系の安定性を
検証した。この種の研究では最初の論文と言うことで最内惑星の効果は無視し、
外側の二惑星の運動に絞って議論した。これによって極めて長期の軌道進化を
追うことができる。

[モデルなど]
・最内惑星は非常に太陽に近いためにHill半径が小さい。そのため、外側の
  二惑星間の相互作用に比べると最内惑星と外側二惑星との相互作用は弱い。
・最内惑星を無視することにより系全体の安定性は増すと思われる。外側の
  二惑星の影響は強く最内惑星に及ぶと考えられるからである。これらの効果に
  ついては以下のような連中が現在行っている多くの研究によって具体的になって
  行くだろう。Artymowicz (1999), Holman (1999), Lin et al. (1999),
  Lissauer & Rivera (1999), その他。いずれもin preparation である。

[計算結果]
まずは試験計算として sin(i)=1 で数値実験を行った。
・この論文で Lickと名付けられたデータセットは Butler のそれとはやや
  異なる。最外惑星の離心率が0.3まで下がっていることが重要である。
・主星の質量は 1.3 太陽質量とした。
・初期の相互軌道傾斜角をわずかに与えた。そのために進化は三次元の中で進む。

Combined Lick/AFOEデータセットに関して、補外法によって精密な計算をひとつ
行った。計算期間は 623 million years, すなわち 6.23×10^8年にわたる。
・この計算の最後数百万年間には中間惑星の離心率は非常に増大し、最終的には
  0.99までに至る。→不安定化
・最終局面では中間惑星は半径 0.06AU あたりを定期的に徘徊しており、最内惑星
  があれば近接遭遇を起こしている可能性がある。

LickデータセットとAFOEデータセットに関しては N-body mapをも用いた長期の
数値実験を行った。
・AFOEデータセットは明らかに不安定である(図はなし)。計算開始後500万年で
  中間惑星の離心率が非常に増大してしまう。Lissauer (1999, nature)の報告
  によれば更にドラマティックな不安定の開始が観察されたと言う。最内惑星を
  入れることによってわずか50万年以内に不安定化してしまうという報告が 
  Lissauer (1999)によってなされている。これについては後述する。
・改訂Lickデータセットは最も安定である。この系について本論文では1.5Gyrの
  数値計算を二セット行ったが、いずれも不安定は生じなかった。最外惑星の
  離心率が小さい(e〜0.3)ことが要因であろう。

[Time scales for trajectory divergence]
Lyapunov指数と似た量を計測することにより、この惑星系のカオス性が私達の
太陽系のそれに比べて非常に強いことがわかった。数値実験の数をかなり増やす
必要がある。

[パラメータを変えた数値計算]
惑星系の安定性の sin(i) 依存性を数値実験し、視線方向傾斜角について
何らかの制約を加えることを試みる。
・Figure 5: 1/sin(i)と安定性時間(survival time)の関係。明らかなトレンドが
  ある。sin(i)が大きい方が安定性が強い。
・しかし sin(i)=0.2 でもやたら長く生き残っているものがある。この軌道は
  ある種のnarrow protective resonanceにあるように見える(図なし)。こうい
  う軌道もたまにはあるだろうが、こうした安定な島は多くはないであろう。
・Figure 6: 最外惑星の軌道半長径を動かして安定性時間を計測した。星印が
  survival timeを表す。丸印はこの時間まで数値計算しても不安定化しなかった
  ことを示す。当然の如く、外側に行けば行くほど安定になる。

[地球達──Earths]
Upsilon Andromedae は太陽の三倍明るいので、habitable zone は 1.7AU(=1AU*√3)
付近であろうと思われる。このあたりに地球型惑星は存在できるか?数千個の試験
天体をこのあたりにばらまいて数値実験し、安定性時間を計測した。その結果は
実に "grim" であった。
・Figure 7: 試験天体の軌道半長径と生き残っていた時間。Habitable zone付近の
  天体はほとんど生き残る可能性がない。
・もしもhabitable天体があるとすれば最外惑星の衛星(=月)として周回している
  天体が可能性をわずかに持つであろう。凍った惑星と地球外生命体に関する
  議論については Laughlin and Adams (1999) のもう一方の論文 "Frozen Earth"
  を参照せよとある。

title	Evidence for multiple companions to Upsilon Andromedae
authors	R. Paul Butler et al.
journal	Astrophys. J.
volume	submitted
year	1999
report	伊藤孝士
date	14/06/1999

[概要]
アンドロメダ座ウプシロン星の周りに惑星が存在するという観測は以前から
あったが、継続観測によって惑星がひとつではなく、三個あるらしいという
ことがわかって来た。太陽系の外で複数の惑星のある系が発見されたのは
これが最初である。

[主星 Upsilon Andromedae]
・スペクトル型はF8で、太陽(G2)に近い。
・Hipparcos parallaxは74.25 masで、これは距離13.47パーセクに相当する。
・Vの絶対等級は3.45, 絶対光度は太陽の三倍。

[観測]
Lick国立天文台とAFOE惑星探査計画による独立な観測がある。

[ケプラー軌道解]
いずれのデータも三種類の惑星が周回しているというモデルにより良く説明できる。
内側から4.61日周期, 242日周期, 1269日周期(Lick dataの場合)。

[Astrometric Constraints]
視線速度のドップラー観測によって惑星の軌道要素が確定するが、惑星系の視線
方向傾斜角 i についての不確定性は残ってしまう。Hipparcos による位置天文
観測の結果はこの傾斜角 i について上限を与えるものである。すなわち、最外
惑星の真の質量は 4.61木星質量/sin(i) だが、sin(i)<0.4 の場合にはこの惑星の
影響による主星の位置変化が Hipparcos によって観測され得る。だが実際には
観測されていない。従ってこの惑星系の視線方向傾斜角 i は sin(i)>0.4 である。

[その他の説明]
今回の観測データが惑星の効果ではなく、主星本体の物理的要因や観測データ
処理の誤りによる産物として説明できるのかどうかを考える。どれについても
あまり可能性は多くなさそう、即ち三個の惑星があるというのは本当らしい。
・Radial Pulsations
・Rotational Modulation
・Nonradial Pulsations
・Magnetic Cycles
・Aliasing

[議論など]
この惑星系の形成過程については大雑把に二つの説が考えられる。
・各惑星は 4 AU 以遠の氷凝縮領域で形成し、何らかの要因により内側に移動
 (migration)して来たという説。移動させる要因として考えられるのは第四の
  巨大惑星, passing star, 原始惑星系円盤(protoplanetary disk)など。
・各惑星は今居るその場で出来たという説。少なくとも現在考えられている惑星
  形成の標準モデルによると、材料物質の不足により最内惑星のその場(in situ)
  形成は難しい。円盤の面密度がよほど大きかったか、ネビュラガスが外側から
  どんどん降って来たかの可能性を考える必要がある。

title	Imaging Observations of Asteroids with Hubble Space Telescope
author	A.Storrs, B.Weiss, W.Burleson, R.Sichitiu, E.Wells, C.Kowal, and D.Tholen
journal	Icarus
volume	137
year	1999
page	260-268
report	林 悟
date	31/05/1999

 この論文では, 主に以下の 2つの項目について, Hubble Space Telescope を
用いて高解像度での画像観測を行った。
1. 小惑星の衛星の探査
2. 小惑星の画像解析

 観測は, 10個の小惑星について, 未補正のWFPC1を用いて行った。(補正のた
め 1993年 12月2日シャトル打ち上げ)
 小惑星の画像解析には snapshot 観測が gyro control のもとで行われた。

 ここで, 観測で得られた画像には収差psf(point-spread function)により小
惑星の解析が困難となってしまうので, 最大エントロピー方式による反復復元
で収差の光を取り除く補正を行った。

 復元された画像から FWHM により小惑星の直径および等級を導き, TRIAD と比
較したところ, ほぼ一致する値となった。

 得られた画像より小惑星の衛星を探したが, 発見することはできなかった。
その理由には以下のことが考えられる。
(a) 衛星は存在しない
(b) 衛星は存在するが, 微小すぎるか, 小惑星に近すぎて観測できない
(c) 機器の力不足, 復元過程での妨げ

 小惑星の画像解析では 434 Hungaria を除く小惑星は点光源ではなく, 面光
源であることがわかった。
 また, 画像復元の際の効果とも考えられるが limb に沿って明るさの増大が見られた。
 また, 216 Kleopatra , 624 Hektor は連星あるいは衛星を持つ可能性がある。

 以上のことより, 次のことがわかった。 
1. 10個の小惑星の観測では衛星は見つからなかった。
2. 観測した小惑星は(434 Hungaria を除く)点光源ではなかった。
3. limb に沿って50〜100%の明るさの増大が見られた。

title	Determination of the lunar orbital and rotational parameters and of
	the ecliptic reference system orientaion from LLR measurements and
	IERS data
author	J.Chapront, M.Chapront, and G.Francou
journal	Astronomy and Astrophysics
volume	343
year	1999
page	624-633
report	白井俊道
date	24/05/1999

この論文においては、LLR及びIERSの観測データを使うことにより、つきの軌
道及びひょう動のパラメーターとレーザー光線反射鏡の座標決定と黄道座標の
位置づけを解析的理論により行なった。

LLRのデータを使った月の軌道及びひょう動のパラメーターとレーザー反射鏡
のの座標決定が行なわれたのはこれが初めてではない。最近では、1996年に
Willliamsがレーザー反射鏡の座標決定を行ない、Chapront自身らも1997年に
この論文とほぼ同じことをしている。

しかし満足のいく結果が得られなかったため、1997年のものにいくつかの改良
を加えたのが今回の論文である。その改良とは主に次の5つである。

1 相対論的補正の改良
2 対流圏の補正の改良
3 最小二乗法における重みの導入
4 月のひょう動理論の補正
5 LLRの観測データの増加

その結果、精度の良い結果を得ることができた。
特に4の改良の効果が大きかったようである。
 
その結果、それぞれの座標系における,"rotational"な春分点と"inertial"な
春分点を求めた。その二つの春分点といくつかの座標系の赤経の原点をを比較
し、その結果 "inertial"な春分点を採用することを提案した。

title	US NAVAL OBSERVATORY EPHEMERIDES OF THE LARGEST ASTEROIDS
author	James L. Hilton
journal	Astronomical Journal
volume	117
year	1999
page	1077-1086
report	荒木田英禎
date	17/05/1999

15の大きな小惑星に対する1800年から2100年までの天体暦が製作された。
暦の不確かさは平均黄経 λ において 7 Iris の 0".05 から 65 Cybele の
0".22、平均運動において 4 Vesta の 0".02/century から 511 Davida の
0".14/century の範囲である。これは、JPL の DE200 における外惑星に
ついての誤差と同程度である。

しかしながら、小惑星は惑星に比べて相対的に小さい質量を持ち、他の
小惑星の摂動を受けるので、平均運動における実際の不確かさは数十
arcsecond/century である。

暦の改良点として、1 Ceres, 2 Pallas, 4 Vesta の新しい質量と密度を決定した。

この結果、1 Ceres の質量は以前に決定されていた値に比べて小さくなった。
これは、1 Ceres の質量と  2 Pallas の質量の間に縮退が存在し、2 Pallas の
質量が増加したことが直接の原因である。

1 Ceres の密度は分類学上同等な 253 Mathilde より大きい値となった。これは、
1 Ceres が大変圧縮しているか、C タイプ小惑星(Mathilde) と G タイプ小惑星
(Ceres) の間の違いが現れているものと考えられる。

1 Ceres, 2 Pallas, 4 Vesta の観測の残差については systematic な偏りが
見られないのに対して、3 Juno の1839年以前の観測の残差には、モデル化
されていない小惑星の摂動による systematic な偏りが見られる。

title	Making the terrestrial planets: N-body integrations of planetary
	embryos in three dimensions
authors	Chambers,J.E. and Wetherill,G.W.
journal	Icarus
volume	in press
year	1999
report	伊藤孝士
date	29/03/1999

[概要]
地球型惑星形成過程の後期を重力N体計算によって再現した。木星と土星の
効果も考慮している。孤立化した初期条件から開始すると原始惑星たちはや
がて不安定を起こし、遅くても 3×10^8年の間には数個の地球型惑星が形成
することで落ち着く。木星と土星の影響により小惑星帯はきれいに掃除され
る。形成される惑星の個数と間隔はかなりばらばらであり、離心率も大きい。

[結論]
・初期の孤立していた planetary embryos は、相互の軌道が交差するようになると
  全体がさっさと力学的に励起される。この段階で (e,i) は急速に上昇する。

・Embryoの孤立化が克服されると、(e,i) の進化は close encouter ではなく
  永年共鳴によって支配される。Embryo相互の永年共鳴、および木星・土星との
  共鳴が見られる。

・原始惑星の進化に於いては gravitational focusing が効いているが、
  成長は秩序的である。粒子数は少ないが dynamical friction も効果を持つ。

・ディスクの内側ほど衝突頻度は高く、集積は早い。a>2AU ではほとんど
  衝突はしないが、木星型惑星との平均運動共鳴および永年共鳴によってその
  あたりの天体が除去される。

・1.2AU < a< 2AU にある embryos は外側に散乱されて共鳴により除去されるか、
  内側に散乱されて集積する。その場で集積するものは多くない。火星はその
  辺りで生き残った非集積経験天体かもしれない。

・木星と土星を入れた数値実験全体の 60% が 10^8 年以内に完了した。
  残りの 40% も 3×10^8 年以内には完了した。木星と土星を入れない
  実験については 10^8 年後にも未だに crossing orbit にあるものがある。

・もっとも common な結果としては、一組(a pair)の大きな惑星が 2AU 以内に
  形成するというものである。時には遠くに大きな天体が残ることもある。生き
  残った惑星の (e,i) は現在の地球や金星のものよりだいぶ大きい。

・生き残る惑星の個数と間隔は、実験の最終段階での平均的な (e,i) の値に
  よってほぼ決定されている。

title	Resonances and instabilities in symmetric multistep methods
authors	Quinlan,G.D.
journal	astro-ph
volume	08/02/1999
year	1999
report	福島登志夫

線形対称多段法は、天文分野への紹介(Quinlan & Tremaine, 1990, AJ)の後、長らく
省みられてこなかった。その一つの理由は、この積分法でケプラー運動などの非線型
振動問題を解くときに、奇妙な数値不安定現象が起きるという噂があったからである。
本論文は、著者が10年来の沈黙を破って、この人工的な現象(共鳴もしくは不安定
と著者は呼んでいる)の全容を明らかにしたものであり、今年はじめに(AJ?に)投稿
したばかりでまだ受理されてはいないが、その内容を簡単に紹介したい。

そもそも対称多段法の「売り」は、ケプラー運動(およびそれに近い軌道運動)を
数値積分するとき、(他の多段法と違って)位置の誤差に時間の2乗に比例する項が
現れない、という点である。これはシンプレクティック積分法と同様の性質であり、
長期間積分において威力を発揮する。シンプレクティック法と比較したときの
有利な点は、高次の公式が容易に作れる点にある。

しかしながら、対称多段法には欠点があるようである。(銀河モデルで有名な)
Alar Toomreが1990年の論文の発表直後に発見した、この数値不安定現象は、
対称多段法で積分する際に採用する(固定)刻み幅に依存しており、ほとんどの
刻み幅では、上述のような良い結果が得られるものの、特定の刻み幅では誤差が
急速に成長して積分結果が使い物にならなくなる。例として、1990年に
著者らが与えた10次の陽公式でケプラー軌道を積分すると、円軌道であっても
60ステップ/回転の刻み幅(これは、線形安定領域に十分入っているのだが)
のときに不安定が起きる。離心率が少しでもあると、不安定を示す刻み幅が
離散的(ある場合は有限の幅を持つ帯状に)現れる。

一定期間後の積分誤差を採用した刻み幅の関数として描くと、カウエル法など
では誤差が刻み幅の滑らかな曲線として表現される(=連続スペクトル?)が、
対称多段法では、特定の刻み幅にスパイク状に大きな誤差が現れる(=線ス
ペクトル?)。この理由は、本論文でも完全に明らかにはされていないが、
現象的には、対称線形多段法積分公式に内在する固有周波数と、問題に固有
な周波数(公転周期など)が尽数関係にあるときに生じることが確認されて
いる。

本論文では、これらの数値不安定をなるべく避ける公式を探す努力をした結果、
8次陽公式についてまあまあ満足できる公式を発見した。が、10次以上の場合は
不成功に終わっている。これらのことと多体問題での数値実験の結果から、
著者は、対称多段法を使うときはなるべく低次(高々8次)の公式を選び、
不安定現象に注意して使用するように勧めている。

title	Terrestrial Planet and Asteroid Formation in the Presence of Giant
	Planets I. Relative Velocities of Planetesimals
authors	Kortencamp,S.J. and Wetherill,G.W.
journal	Icarus
volume	submitted
year	1998
report	伊藤孝士
date	30/11/1998

[概要]
原始太陽系星雲の直接不安定によって GGPPs (Giant Gaseous ProtoPlanets)が
初期に形成された場合の地球型惑星領域での微惑星の軌道進化の計算。この論
文では特に微惑星同志の encounter velocity を計算し、衝突合体が生じ得るか
どうかを議論している。結論的には、木星と土星が現在の位置に形成する限り
encounter velocity は大きく、地球型惑星の形成は困難であることが判明した。
木星と土星が現在よりもやや遠い位置で形成し、後に migration するというシ
ナリオに立てば現在の地球型惑星の成立は説明できるかもしれない。

[計算方法]
ガス抵抗を考慮した symplectic mapping 的な方法を採用(Malhotra 1994)。

[結論]
・木星と土星が最初から現在の位置で形成したとすると、ガスドラッグ+木星
  土星の摂動の効果により地球領域での encounter velocities は増大し、暴走
  成長による惑星形成過程を妨げる可能性がある。小惑星帯でも同様。
・木星と土星が現在よりも若干遠い位置にある場合、摂動力は弱く、encounter
  velocities の増大は抑制される。

[シナリオ]
・木星型惑星は GGPPs として現在よりもやや遠い位置にてサクっと形成した。
・火星から小惑星帯あたりの天体は GGPPs の影響を受け、集積を完了できなかった。
  が、a<1AU あたりの天体への影響は大きくなく、微惑星の暴走成長を経由して
  地球型惑星が形成した。
・そうこうしているうちに木星型惑星がネビュラとの相互作用やら何やらで
  現在の位置に migrate して来、止まった。

[感想]
・着想が大変に面白い。今後詳細な計算を含んだ論文が出てくるであろう。
・Tanikawa and Ito (1998)との関連性も大きい。
・近日中に本論文の全訳が谷川清隆氏によって執筆される予定。

title	The Earth-Moon system and the dynamical stability of the inner solar system
authors	Innanen,K., Mikkola,S., and Wiegert,P.
journal	Astron. J.
volume	116
pages	2055-2057
year	1998
report	伊藤孝士
date	26/10/1998

[概要]
地球型惑星系の安定性に関して月地球重心系(EM)が極めて重要な役割を果たして
いるという事実が数値計算によって明らかになった。月地球系の存在により、
金星軌道付近での約800万年周期の強い永年共鳴が回避されている。

[方法と計算]
まずは月地球系(EM)を取り除いた仮想的惑星系での数値実験を行った。
火星から海王星までの惑星軌道は現在のままとする。計算方法は Mikkola-type
の正則化付き symplectic mapping (Mikkola 1997) だと思われる。

[水星が存在しない場合(金星+火星+木星型惑星)]
水星を系から取り除いた。すると、金星の離心率に大振幅長周期の変動が
生じた(Fig.1上)。金星の軌道半長径には目立った変化はない(Fig.1下)。

[水星が存在する場合(水星+金星+火星+木星型惑星]
この場合には水星の離心率は0.8に近づくほど上昇し、金星との接近遭遇の
可能性も発生する(Fig.2)。

[地球型惑星領域での試験天体の挙動]
太陽と木星型惑星のみを配置し、地球型惑星領域には数百個の試験天体をばら
撒く。金星軌道付近に於いて離心率(注・最大値であろう)の値が非常に大きく
なっていることがわかる。これは木星との永年共鳴によるものである。

[その他]
金星や水星の軌道を安定させるための月地球系の質量と軌道半長径の値の範囲は
どの程度のものか?試行錯誤の実験の末、0.1月地球系質量程度(火星サイズ)の
天体が 1AU±10% のあたりにあれば水星や金星の運動は十分に安定化することが
わかった(注・この結果は谷川清隆氏を通じてかなり以前に Mikkola に報告されて
いたはずのものである)。なお、一般相対論的効果を入れて計算してみたが
これはほとんど影響がなかった。

title	A Candidate Protoplanet in the Taurus Star-forming Region
authors	TEREBEY, S.;VAN BUREN, D.;PADGETT, D. L.;HANCOCK, T.;BRUNDAGE, M.
journal	Astrophys. J.
volume	507
pages	L71-L74
year	1998
report	阿部新助
date	19/10/1998

  HST(ハッブル宇宙望遠鏡)に搭載されたNICMOS(Near Infrared Camera and
Multi-Object Spectrometer)の観測から原始星 TMR-1(IRAS04361+2547)から 
10秒角 = 1400AU(projected plane) 離れたところに原始惑星候補と考えられ
る暗い天体(TMR-1C)が見つかった。
  TMR-1は、距離140pc の Taurus cloud の属する class I protostarで、質
量、明るさはそれぞれ、0.5M_solar、3.8L_solar であり、中心星は、42AUの
距離を持つ binary(TMR-1A,TMR-1B) である事が分かっている。また、近赤外
とミリ波のこれまで観測から星周円盤とジェットも観測されており、TMR-1 の 
年齢は典型的な class I protostar の年齢: 10〜30 万年程度と考えられてい
る。
  原始惑星候補のTMR-1Cは、原始星近傍の星雲状物質から伸びる長いフィラメ
ントの先端に位置しており、このフィラメントと物理的なつながりがある事が
示唆される。
  今後は、TMR-1Cのスペクトルをとって、恒星、惑星、褐色矮星の区別を明確
に行なう必要がある。また、経年変化の観測から TMR-1 に属する星か否かも
明確にできるはずである。本論文では、原始惑星の ejection メカニズム に
ついていろいろな案を提示してきただけだが、binary システムにおける惑星
の力学については更なる研究が必要であろう。

◎バックグラウンドの星の可能性について

  近赤外で観測される Taurus cloud 中の K-band star の数は、1平方度当た
り平均 0.041x10^(0.32K) 個ある事から NICMOS の視野には1個の星が入って
くる換算になる(18.5等@K-bandを仮定)。更にバックグラウンドの星がランダ
ムにフィラメントの先端に観測される確立は2%に過ぎない。

◎ Luminosity and Temperature

  観測された TMR-1C の明るさは、10^-3〜10^-4 L_solar であり、距離140pc、
1木星質量と仮定したときの温度は、ダスト減光パラメーターのあるモデルを
使った黒体スペクトルフィッテングで次のように求まった。

  (i)  T_eff=1200K(Av=0)
  (ii) T_eff=3000K(Av=30)
(但し、AvはVバンド(5500Å)等級で表した減光量である。)

◎ Mass

  年齢を仮定し明るさからモデル計算によって求めた質量は次の通りである。

  (i)  protostar age : 30万年           → 2 〜 5 木星質量(Av=8-20)
  (ii) pre-main sequence star : 1千万年 →   〜15 木星質量

◎ Ejection Hypothesis

  TMR-1C の形成過程としては、不安定な3体から最も質量の軽い TMR-1C が、
binary (TMR-1A,TMR-1B) によって弾き飛ばされる力学が考えられる。
dimensional grounds で考えた ejection velocity は、(1+e)(GM/R)^0.5 で
表される。典型的な binary の離心率 e=0.5 と、periastron passage: 15〜
30AU、binary の質量: 1太陽質量などを仮定すると、ejection velocity は、
5〜10km/sec になる。現在の位置(中心星から1400AU)まで約1000年経過して
いる見積もりになる。

◎ Filament

  フィラメントの形状(カーブしている)や連続光(中心星の反射光)で輝いてい
る(偏光観測結果から)事などから、観測されたフィラメントがアウト・フロー
である可能性は低いと考えられる。従って、2つの衝突する星周円盤によって
形成される tidal tail などのような material tail の可能性がある。また、
フィラメントに沿った HCO+ の観測例などもある。その他のフィラメント形成
理論として、原始惑星が降着ガス・ダストの中を通り抜けたときに形成される
明るく輝くパイプ説(Bondi-Hoyle gravitational accretion)が挙げられる。
しかしこの理論は、観測されたフィラメントよりずっと狭い半径のフィラメン
トの形成しか説明できない欠点がある。フィラメントの形成メカニズムについ
ては、未解決である。

title	Indication, from Pioneer 10/11, Galileo, and Ulysses Data, of an
	Apparent Anomalous, Weak, Long-Range Acceleration
authors	John D. Anderson et al.
journal	Phys. Rev. Lett.
volume	81
pages	2858-2861
year	1998
report	伊藤孝士
date	12/10/1998

惑星探査衛星 Pioneer 10, 11, Galileo, Ulyssesのそれぞれの運動を解析した
結果、これらにはいずれも太陽の方向への弱い謎の加速度 (〜8.5×10^{-8}cm/s^2)
がほぼ一定の大きさで働いていることがわかった。この加速度は二種類の独立な
データ解析手法によって同様に得られている。原因としていくつかの可能性が
検討されているが、未に不明である。

・探査衛星Pioneerはスピン安定性が高く、dynamical astronomyの試験
  天体としては好適である。
・ここで用いる観測データはS-bandのドップラーデータで、位置と速度、
  orientation maneuversの大きさのデータが含まれる。
・データの解析にはJPL's Orbit Determination Program (ODP)および
  Aerospace Corporation's Compact High Accuracy Satellite Motion Program
 (CHASMP)の二種類を用いる。この中では惑星攝動(DE200)、輻射圧、inter-
  planetary media, 一般相対論、地球回転(IERSによる非定常な極運動)、
  観測に伴う bias と drift が考慮される。
・Solar radiation pressure, precessional attitude-control maneuversの
  影響は小さい。
・Pu238 の壊変による輻射が考えられるが、これらは等方的であり、しかも
  時間と共に減少すると予想される。
・Pioneer radio beam (通信?)の影響。若干の説明は与えるかもしれないが、
  方向が逆である。
・この加速度の影響は地球や火星の運動に於いては観測されていない。
  最大でも 〜0.1×10^{-8} cm/s^2 程度である。すなわち、謎の加速度は
  普遍的に存在するものではない。

title	Terrestrial planet and asteroid formation in the presence of giant
	planets I. Relative velocities of planetesimals subject to Jupiter
	and Saturn perturbation (preprint)
authors	S.J. Kortenkamp and  G.W. Wetherill
journal	Icarus
volume	submitted
year	1998
report	谷川清隆
date	12/10/1998

ガス抵抗を取り扱えるように修正したシンプレクティック$N$体積分子を使って,
$1 AU$近傍および小惑星帯の$10^{13}$ないし$10^{23}$個の微惑星の軌道進化を
調べる. これらの数値シミュレーションには, 木星と土星の質量と軌道を現在の
ものとして, その効果を入れた. ガス抵抗力は微惑星の物理的性質(密度と半径)
に依存するし, また微惑星の軌道離心率や軌道傾斜角を減少させるように, さら
に軌道半長径を減少させるように働く. 微惑星の密度を決めておくと, 離心率, 
軌道傾斜角, および軌道半長径は大きい物体より小さい物体の方が早く小さくな
る. 木星と土星からの永年摂動は時間, 微惑星の軌道半長径, および軌道の縮小
率に依存する. これらの摂動はガス抵抗とは逆に, 微惑星の軌道離心率と軌道傾
斜角を増やすように働く. 同一サイズの微惑星の集団が初期にほぼ円軌道を動き, 
軌道傾斜角が小さくて, 軌道半長径の分布の幅が小さければ, 永年摂動の作用は
各微惑星に同じように働き, 個々の軌道は同期する. つまり, 同一平面で同心楕
円として進化する. この場合, 遭遇速度は$1 m/sec$未満に留まり, 物体が衝突
合体で成長するに十分なほど小さい. しかしながら, 微惑星のサイズに幅を持た
せると, 小物体の軌道が縮小して大物体のそばを通りすぎるとき, この2つの軌
道は同一平面にないことが判った. その結果, 少しでもサイズの異なる微惑星同
士の遭遇速度は$\sim 1000$年の間に$10$ないし$100 m/sec$に達する. いま考え
ているサイズ範囲および日心距離にわたって見ると, 遭遇速度の最大値は$800
m/sec$にもなる.

微惑星の材料強度が$E_c = 10^8 erg/g$であるとすると, crateringによる質量
損失によって物体は侵食され, $1 Au$あたりでは $\leq 2$から$5 km$, 小惑星
帯では$\leq 10$から$20 km$の大きさになってしまう.  材料が弱い場合($E_c =
10^7 erg/g$), $1 AU$あたりでは$\leq 5$ないし$10 km$の物体が侵食を受け, 
小惑星帯では$\leq 20$ないし$50 km$の物体が侵食を受けるだろう. この条件の
下では, ほぼ同一質量の物体の衝突によって侵食よりも成長が起こる. 半径が
$100$ないし$1000 km$未満の物体の間では重力的focusingは実質的に起こらず, 
地球型惑星領域では惑星胚の成長が非暴走的にゆっくりと行なわれるであろう. 
小惑星帯での環境はさらにそれをおし進めたものであり, この条件の下では現在
の小惑星の物体ですらできない.

木星と土星の摂動はその軌道半長径にきわめて敏感であり, 惑星の日心距離が増
加するとともに減少し, そのため原始惑星の移住が可能になる. 厳密に示したわ
けではないが, 小惑星帯の質量欠損をこれによって説明し, また$\sim 10^6$年
の時間尺度での地球型惑星胚の形成を説明できる可能性がある. その場合, はじ
めは非暴走的に成長し, 次に$\sim 10^5$年経ったあとは暴走成長に移る.

title	The Oort Cloud
authors	Paul R. Weissman
journal	Scientific American
volume	279 No.3
pages	62-67
year	1998
report	関口朋彦
date	21/09/1998

もっとも遠く離れた惑星である冥王星の軌道こそが、太陽系の終着点であると、
ひろく一般には考えられているだろう。しかし太陽の重力の影響はさらにこの
2500倍の遠くの場所、一番近い恒星までの半分の距離にまで及んでいる。そし
てそこまでの空間は空っぽではない。そこが太陽系形成の時からの取り残され
た天体「彗星」の巨大な貯蔵庫なのだ。この彗星の貯蔵庫を"オールト雲"と呼
んでいる。オールト雲はいわば太陽系のシベリアである。広大で寒い辺境の地、
そこは太陽の絶対支配の下にある太陽系内部の領域からの亡命者たちで埋めつ
くされている。そしてその亡命者たちは、中央権力の主である太陽にかろうじ
てその身を委ねているのだ。日中の典型的な温度は、極寒にしてわずか絶対温
度4度。隣合った彗星同士は、およそ数千万kmの間を隔てている。空には太陽
がいぜんとして一番明るく輝いてはいるものの、そこでの太陽の明るさは夕刻
西の空に輝く金星と同じ位にものにすぎない。 

title	Meteor ovservations in Japan: new implications for a Taurid meteoroid swarm
authors	D.J.Asher and K.Izumi
journal	Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
volume	297
pages	23-27
year	1998
report	阿部新助
date	27/07/1998

Taurid meteoroid swarm(おうし座流星群)は、Comet 2P/Encke(エンケ彗星)
を母天体とする流星群で、毎年10月中旬から12月初旬にかけて50日間以上も活動
している流星群であるが、その活動度は毎年大きく異なる。特に、火球クラス
(-3等級より明るい)の明るい流星の活動が重要と考えられる。この活動性の変動
は、流星物質と木星が長周期(10^4 yr)の mean motion resonance に起因する事
が示唆される。meteoroid stream formation process としては次のような運動が
考えられている。

 (1)〜10^2 yr
 放出流星物質の軌道周期Pの微小変化 → 流星物質が母天体軌道上に分散 → 
 mean anomaly M の広がり → 母天体軌道上付近に流星物質の部分的な広がりが形成。
                                 (IRAS trail 形成)
 (2)〜10^3yr
 mean anomaly M が全ての値へ十分分配された後、惑星摂動の影響が働く。
 (broadening mechanism)

Asher(1991,1994) による Taurid swarm theory が提唱されている。このモデルは、
遠日点で木星軌道に接近した流星物質が resonance centre の回りに mean anomaly 
M の libration を受けΔMの変位が生じ、|ΔM|≦40°のときに流星群の活動が活発
になる事が予想されるというものである。この resonant swarm model 計算と NMS
(Nippon Meteor Society : 日本流星研究会)の過去60年のデータを比較した結果、
7:2 の resonance で観測を説明できることが明らかになった。更に、ΔM=-13,11,-30
となる1998,2005,2008年におうし座流星群の活動が非常に活発になることが予想される。

title	Astrometric signatures of giant-planet formation
authors	Alan P. Boss
journal	Nature
volume	393
pages	141-143
year	1998
report	谷川清隆
date	13/07/1998

太陽型星のまわりに巨大惑星が発見されて、その形成過程に関する問題が新たに
浮上した。ふたつの異なる機構が提唱されている。重力不安定性(Kuiper, 1951;
Boss, 1996)は、若い星のまわりの降着円盤中で惑星が直接形成する過程である。
一方、核降着(core accretion, Pollack, 1984; Lissauer, 1987)は約10地球質
量の岩石核が形成された後にガスが流体力学的に降着する過程である。この論文
では、これらの過程が位置天文学的に強く異なる徴候を持つこと、またこれらを
観測的に区別できることを示す。重力不安定でできる場合、惑星の形成は急速な
ので、不安定性の発現後数百年で揺籃期の若い星(YSO)を揺する(wobble)。これ
は10万年以下の若い星に見ることができる。惑星が核降着でできるなら、観測
可能な揺れは1000万年〜2000万年の間はないだろう。光学的に見えるYSOの適当
な集団(たとえばタウルス分子雲)を数十年観測すれば、巨大惑星形成過程として
どちらが働いているかを決めることができるだろう。

title	Lunar accretion from an impact-generated disk
authors	Ida,S., Canup,R.M., and Stewart,G.R.
journal	Nature
volume	389
pages	353-357
year	1997
report	伊藤孝士
date	27/04/1998

月の起源については現在もなおわからないことが多い。この論文では、巨大
衝突により形成された環地球円盤から月が集積して形成される様相を重力N体
計算によって再現した。計算によると、こうした環地球円盤からは単一の大
きな月が一年程度の短い時間スケールで形成されることが示される。円盤の
初期条件と形成される月質量の関係も求めた。

  1. 導入。月は巨大衝突により形成されたとの見方が広まっている。
  2. 数値模型の記述。多数の粒子から成る環地球円盤を初期値とする重力N体計算。
  3. 月集積の特徴。Roche zone のすぐ外側に単一の大きな月が形成される。
  4. 月の質量。主要なパラメータは初期の円盤質量と角運動量の二個のみである。

なお Canup and Esposito (1995)の accretional criteria の詳細については
次回以降に報告する。

title	Estimating the Mass of Asteroid 253 Mathilde from Tracking Data During the NEAR Flyby
authors	D.K. Yeomans et al.
journal	Science
volume	278
pages	2106-2109
year	1997
report	布施哲治
date	Apr. 20

探査機 NEAR は,1999年の1月に近地球小惑星 433 Eros に接近し
観測を行う予定である。その途中の1997年6月に,小惑星 253
Mathilde (a=2.6AU, e=0.3, 直径約 61km)に接近した。

NEAR が Mathilde を Flyby する際の軌道の精度は,Mathilde の軌道の
精度による。そこで,NEARに搭載したカメラで Mathilde を観測し,
相対位置関係を決めたことで,NEAR の軌道精度は飛躍的に向上した。

最接近した 6月27日 14:06:55に Doppler Tracking の残差が -0.013 Hz =
-0.23 mm/s ほどジャンプした。このことは,Mathilde の質量が 1.033 ±
0.044 x10^20 g であることを意味する。さらにこれらから Mathilde の

密度= 1.3 ± 0.2 g/cm^3

となった。しかし同じC型の小惑星 1 Ceres の密度は約 2.3 g/cm^3 と
過去に求められている。一方で最近になり,小惑星が火星の軌道に及ぼす
影響から,C型の平均密度は 1.7 ± 0.5 g/cm^3 もしくは 1.2 ± 0.1
g/cm^3 と求められており,大きな矛盾はない。

title	The Discovery and Orbit of 1993 (243) 1 Dactyl
authors	M.J.S. Belton et al.
journal	Icarus
volume	120
pages	185-199
year	1996
report	布施哲治
date	Apr. 20

Galileo 探査機は,木星に向かう途中の 1993 年8月,メインベルト小惑星
(243) Ida に接近し,Ida の周りをまわる衛星 (Dactyl) を発見した (小惑星に
衛星があることは,昔から推測されていた)。Ida は,直径 59.8x25.4x18.6km
のS型の小惑星。Dactyl の直径は,約 1.4km である。

Dactyl の発見は,Galileo 探査機が Ida を通過した後,偶然に見つかった。
そのため,Dactyl の移っている画像は少なく,古典的なやり方による軌道
決定は不可能であった。

そこで,Ida の質量をパラメータとして Dactyl の軌道要素を決め,HST に
よる観測などから制限を与えた結果,Ida について

 質量= 4.2 ± 0.6 x 10^19 g,
 密度= 2.6 ± 0.5 g/cm^3

と求められた。

title	The Stability of Multi-Planet Systems
authors	Chambers,J.E., Wetherill,G.W., and Boss,A.P
journal	Icarus
volume	119
pages	261-268
year	1996
report	伊藤孝士
date	23/02/1998

微惑星は暴走成長により等質量的で等間隔的な原始惑星を形成すると
考えられている。暴走成長により形成された原始惑星系の離心率や軌
道傾斜角は小さく、その安定性時間は大変に長いと予測されている。
この論文では、二次元等質量の原始惑星系を対象とし、不安定が生じ
るまでの時間を天体間隔の関数として記述するための数値実験を行っ
た。その結果、不安定時間は天体間隔の対数に比例することがわかっ
た。現実の原始惑星系(間隔〜8R_H)については、一度目の不安定が10^6
年程度で生じると予想されるが、これは比較的短いと言える。然るに、
衝突合体を繰り返して間隔が広がった系については指数的に不安定時
間が長くなるので、このままでは現在の惑星系にまで到達できるかど
うか定かではない。この論文に関連しては、次回以降から梅はら広明
が Milani(1983) を、谷川清隆が Gladman (1993)を紹介の予定である。

title	Computer statistics for three-body systems and mass determination in triplets of galaxies
author	Chernin,A.D. and Mikkola,S.
journal	MNRAS
volume	253
pages	153-159
years	1991
report	梅原広明

[概要] 3重銀河 (triple galaxies) のシミュレーションを行ない、ビリアル質量を
求めた。一つの銀河を質点と仮定した。銀河間のポテンシャルは重力・ソフトニング
重力の2つを仮定し、各々において計算した。概算されたビリアル質量のバラツキは
非常に大きなものであったが、統計を試みた。観測によってカタログになっている3
重銀河のシミュレーションを統計した結果、観測できる質量 (visible mass) に比べ、
ほぼ1桁程超過していた。著者らは、銀河間における hidden mass は、以上のよう
に力学だけで説明できるのではないか?と予想している。

本当は、以下の新着文献を紹介したかったのですが、よく分からなかったので、
hidden mass を3体系で考える研究のさきがけとなった上記の論文を紹介します。
上記の論文は、レター的で、統計といっても今一つ体系的ではない気がしますが、
暗黒物質を考えるホットなテーマであると考えるので、紹介してみます。

title	Dynamics of wide galaxy triplets: numerical models and hidden mass estimates
author	Dolgachev, V.P. and Chernin, A.D.
journal	Astronomy Reports
volume	41
pages	284-290
years	1997

title	Twice in a blue moon
authors	Jane Luu
journal	Nature
volume	390
pages	441-442
year	1997
report	布施哲治
date	January 26, 1998

1997年9月,B.Gladman et al. により,天王星に新しい衛星が2つ発見された。
今まで,外惑星のうち,'irregular' な衛星を持つものは木星 (8こ)・土星
(1こ)・海王星(2こ) であった。今回の発見により,外惑星すべてに
'irregular' な衛星が存在することになった。

#'irregular' な衛星:大きな軌道長半径,離心率,軌道傾斜角

これら'irregular' な衛星は,他のところからcapture されたと考えられて
いる。capture の方法としては,(i) gas drag や 潮汐摩擦のような散逸力に
よる (ii) 小惑星と衛星との衝突によるの大きく2つのカテゴリにわけることが
できる。

最近発見されてきている Kuiper Belt Objects が太陽系の内側にやってきて,
'irregular' な衛星になったと考えることもできる。'irregular' な衛星の
一つである Triton や今回の2つの衛星,さらには,Kuiper Belt Objects を
観測することで,これらのことは明らかになるであろう。

title	Extrasolar planets
author	Boss,A.P.
journal	Physics Today
years	1996 September
pages	32-38
report	谷川清隆
date	15/12/1997

太陽に似た太陽近傍の星をまわる惑星天体がいくつも発見されたことにより、
系外惑星の検出の分野は決定的な変貌を遂げた。この突然の変貌は数人の献身
的な観測者によってもたらされた。かれらは何年も小さな望遠鏡で静かに観測
してきた。かれらとは、ジュネーブ天文台の Michel Mayor および Didier
Queloz, サンフランシスコ州立大学の Geoffrey Marcy および R. Paul Butler,
それにピッツバーグ大学の George Gatewood らである。新しい天体の多くは
すでに独立に観測された。系外惑星の存在を訴えた過去の事例を確認する作業
は捨ておから、天文学者、物理学者はもっと新しい惑星を見つけようと躍起に
なっている。(以下略)

title	Life in comets
author	McKay,C.P.
book	Comets and the Origin and Evolution of Life (eds. Thomas,P.J., Chyba,C.F., McKay,C.P.)
years	1997
report	谷川清隆
date	15/12/1997

初期の地球の地質学記録の中に生命の証拠がある。これは生命の進化が速かっ
たか、生命が外部からもたらされたか、を意味する。外から来たとすれば、彗
星が生命の運搬役として考えられる。放射性元素による熱によって液体の水が
中心核にたまれば、彗星で生命が誕生し得る。(以下略)

title	Sources of planetary rotation: mapping planetesimals, contribution ot angular momentum
author	Greenberg,R., Fischer,M., Valsecchi,G.B., and Carusi,A.
journal	Icarus
volume	129
pages	384-400
years	1997
report	谷川清隆
date	15/12/1997

惑星のヒル球に入射する一様分布の物体の運動を未来へまた過去へ系統的に
追うことによって、微惑星からの惑星自転の寄与を太陽中心要素空間のソー
スの関数として与える。写像によって太陽中心の微惑星軌道分布としてどん
なものが与えられようと、自転への寄与を決定できる。(以下略)

title	Oligarchic growth of protoplanets
author	Eiichiro Kokubo and Shigeru Ida
journal	Icarus
volume	in press
years	1997
report	伊藤孝士
date	17/11/1997

[概要] 微惑星中での原始惑星の成長を三次元 N-体数値計算で追った。Kokubo
 and Ida (1995, 1996)に続く三部作の完結編とも言える。原始惑星に関して、
 大きなものは小さなものよりも成長速度が遅いが、それでも微惑星たちよりは
 早い(暴走成長)。原始惑星の間隔は 5 r_H より大きく保たれたままで成長を
 続ける。典型的な原始惑星の間隔は 10 r_H であり、原始惑星の質量と軌道半
 長径には弱くしか依存しない。

[内容] 
 1. 導入。
 2. 計算方法。一部gas dragも入れる。初期条件は二種類(種ありと種なし)。
 3. 結果。種ありの場合と種なしの場合。間隔についての考察。
 4. 結果と議論。

[結果]
 図1. (a,e)平面での系の進化。種ありの場合の一例。
 図2. 質量の時間変化。二個の原始惑星と系の平均質量(種あり)。
 図3. Hill半径、原始惑星間距離、規格化距離の二例(a,b)。
 図4. 図3と同様、他の例。
 図5. 種なしの場合の系の進化。(a,e)平面。

[議論]
 Post runaway stage の議論に於いてもまだ微惑星の効果が重要である
 可能性は濃い。ガスもあったであろう。

title	Evolution of the Earth obliquity after the tidal expansion of the Moon
author	Tomasella,L., Marzari,F., and Vanzani,V.
journal	Planet. Space Sci.
volume	44
pages	427-430
years	1997
report	伊藤孝士
date	03/10/1997

[概要] 月地球系の潮汐進化が進み、月地球間の距離が 66R_E 〜 68R_E に到達
した場合の地球のobliquityについて考察した。この段階になると、惑星運動の
基本周波数 s_3, s_4, s_6 との spin-orbital coupling が効き、地球の 
obliquity はカオス的な様相を呈する。

[内容] 軌道要素変動と月の影響を組み込んだ地球自転軸の運動方程式を数値的
に解く。方程式(1)の導出は補足のメモを参照。軌道要素変動には Laskar(1988)
の表を使った模様。

[結果] 図はすべて地球の obliquity の変動の様子。
  図1. 現代の状況と a_m=66.5R_E の場合。
  図2. a_m=66.5R_E の場合で、それぞれ
     (a) s_3 を差っ引いた時、
     (b) s_6 を差っ引いた時、
     (c) s_3 と s_6 を差っ引いた時
       の状況を示す。
  図3. a_m=68R_E の場合。
  図4. a_m=68R_E の場合で、s_3, s_4, s_6 を差っ引いた場合の状況。

[議論] 本当かどうかはよくわからない。a_m=66.5R_E となるのは 10^9 年先。

title	On dynamical scattering of Kuiper Belt Objects in 2:3 resonance with Neptune into short-period comets
author	Ip,W.-H. and Fernandez,J.A.
journal	Astron. Astrophys.
volume	324
pages	778-784
year	1997
report	布施哲治
date	27/10/1997

【概要】
短周期彗星の起源として,海王星と 2:3 の mean motion resonance
にある小さな Kuiper Belt Objects を考える。今までの多くは,惑星
の摂動のみを考慮した計算であった。ここでは,大きな Kuiper Belt
Objects による散乱効果について,検討する。

【結果】
Monte Carlo simulation により,以下のことがわかった。
(1) 散乱する大きなKuiper Belt Objectsの直径が大きいほど,2:3の
 Kuiper Belt Objectsは早く散乱され,短周期彗星となる。
(2) 散乱される2:3のKuiper Belt Objectsの衝突断面積を大きくとる
 ほど早く散乱され,短周期彗星となる。
(3) 短周期彗星への供給には,散乱の効果も大きい。

title	Dynamics of distant moons of asteroids
author	Hamilton, D.P. and Krivov, A.V.
journal	Icarus
volume	128
pages	241-249
years	1997
report	中村士

 円軌道を持つ小惑星,太陽,小惑星の衛星に対する円制限3体問題のJacobi積分を
考える.木星,太陽,彗星の系についてのJacobi積分から,heliocentric軌道に対す
るTisserandの判定式が導かれるように,小惑星の衛星についてTisserandの判定式に
相当するものを求めた.太陽の2次潮汐摂動項までを考慮した(いわゆるHill問題)
Jacobi積分から出発した.潮汐項のために,heliocentric軌道の場合のような,a,e,
iのみの簡単な式にならないので,衛星の軌道周期でJacobi積分を平均化し,これを
GeneralizedTisserand判定式と名づけた.特に平面問題の場合は,eとφ(衛星軌道
の近点方向とsun-ast方向とのなす角度)の関数である一種の等エネルギー曲線(H)
になる.衛星軌道の数値積分と,(esinφ,ecosφ)平面に描いたH=constの等高線図で
の振舞いを,次のケースで比較した.

(1)初期値: a=0.382rH, e=0. 0.1, ..., 0.8の順行軌道と逆行軌道
(2)初期値: e=0, a=0.212rH, 0.297rH, ...,0.891rHの順行軌道と逆行軌道.
               rHはHill半径.

結果
・順行軌道はsun-ast線方向に伸びている,
・逆行軌道はsun-ast線に直交する方向に伸びていて順行より広がりが大きい,
・逆行軌道の方が順行軌道より安定である.
・これらの定性的な振舞いがH等高線の分布と形から示せる.

title	Chaotic diffusion and the origin of comets from the 2/3 resonance in the Kuiper belt
author	Alessandro Morbidelli
journal	Icarus
volume	127
pages	1-12
years	1997
report	谷川清隆

軌道傾斜角が小さい場合の 2/3 共鳴の力学構造を, テスト粒子を数値積分し,
固有要素の時間進化を計算することによって調べた. 構造の基本的な様相は
永年共鳴を解析的に計算して得た「地理」に関係している. この論文ではゆ
っくり拡散するカオス軌道の存在に焦点を当てる. この軌道は数十億年かけ
て 2/3 共鳴から逃げていく. 短周期彗星の起源はこのような軌道の存在と関
係し得る. 2/3 共鳴にある天体が海王星との近接衝突に運ばれる速度を数値
的に計算した. この結果から, 観測される短周期彗星の流量を説明するのに
必要な 2/3 共鳴の現在の彗星サイズの天体の数量を見積もった. 10^8 ない
し 10^9 個という結果が得られた. これからすると 2/3 共鳴天体は衝突進化
しているはずである.

title	Numerical experiments on the efficiency of second-order mixed-variable symplectic integrators for N-body problems
author	Patrick Michel and Giovanni B. Valsecchi
journal	Celes. Mech. Dyn. Astron.
volume	65
pages	355-371
years	1997
report	伊藤孝士

二次の混合変数型symplectic integratorに関して、以下のような実験と
考察を行った。比較のためにBS補外法を併用している。

1. 理論的背景の説明、特に作用変数のオフセット誤差について。
2. 太陽-木星-土星系に関して、l_J-l_Sを変化させた場合の誤差増大の様子。
   Saha & Tremaineの予想通り、初期値依存性が大きい。
3. Close approachへの対応。許容誤差が非常に小さい場合にはやはり
   補外法が圧倒的なパフォーマンスの良さを呈示する。
4. Jacobi定数の保存状況(制限三体問題)。
5. 10^4個の天体について誤差の統計。これも補外法と大差ない。

(本論文ではとりわけ新しい数値計算法が編み出されたわけでも
 理論的進展が見られたわけでもない。ちなみにレフリーの一人はMikkola)

title	The stability of planets in the Alpha Centauri system
author	Wiegert,P,A. and Holman,M.J.
journal	Astron. J.
volume	113
pages	1445-1450
years	1997
report	伊藤孝士

我々の太陽系の最近傍恒星系である α Centauri系について、中心連星
系付近での惑星系の安定性を制限問題数値実験により検証した。第一星
と第二星の周辺、および連星系外郭の三領域での数値実験の結果がリャ
プーノフ指数とともに掲載されている。第一星と第二星の周辺に関して
は、軌道傾斜角が非常に大きい軌道は不安定である。外郭に関しては予
想通り遠ざかるほど軌道は安定になる。観測天文学者のために惑星の観
測予測領域を天球上に投影した図7と8は非常に興味深い。生命の存在可
能性についても若干の言及がなされている。

title	A new dynamical class of object in the Solar System
author	Jane Luu, Brian G. Marsden, David Jewitt, Chadwick A. Trujillo, Carl W. Hergenrother, Jun Chen & Warren B. Offutt
journal	Nature
volume	387
pages	573-575
year 	1997
report	布施哲治

Edgeworth-Kuiper Belt 天体として,現在までに約40個が発見されている。
ほとんどが,軌道長半径aは約35-46AU,直径Dは約100-390km (アルベド=0.04)
であった。

1996年9月に発見された 1996TL66は,a=84AU, D=490km,また遠日点距離は
132AU にもなる。1966TL66 は,(彼らが名付けた) Scattered Kuiper Belt
Objects (SKBO)であり,今までに見つかっている classical Kuiper Belt
(CKB) に属する天体とは区別される。SKBO の起源ははっきりしないが,
天王星-海王星領域にあった微惑星が惑星の成長としていく仮定で scatter
された or CKB 内で大きな微惑星に scatter された,などが考えられる。

title	Determination of the Charon/Pluto Mass Ratio from Center-of-Light Astrometry
author	Jeffrey A. Foust et al.
journal	Icarus
volume	126
pages	362-372
years	1997
report	布施哲治

Pluto-Charon系 (P/C) は,地上の望遠鏡では分離できない(HSTでは可)。
ここではP/C の合わさった image から P/C の質量比もとめた。
Lick Observatory での P/C のcenter-of-light の観測位置と DE211
による Pluto の予報位置との差について,Charon の light fraction
などを仮定することで説明した。その結果 P/C の質量比は,0.117±0.006
と求まった。また Charon の密度が1.8g/cm3 より大きい場合,P/C は
衝突により形成されたと考えれられる。今回の結果からは,1.54 ±0.25 と
計算された。

title	An asteroidal companion to the Earth
author	Paul A. Wiegert, Kimmo A. Innanen, and Seppo Mikkola
journal	Nature
volume	387
pages	685-686
years	1997
report	梅原広明

地球近傍小惑星3753は、円制限平面三体問題で知られている馬蹄型軌道に似た
軌道になっていて、地球との衝突を回避していることを数値的に発見した。大
きな軌道傾斜角(20度)、大きな離心率(0.5)において、拡張された馬蹄型軌道
を示唆する理論はまだない。小惑星軌道はカオス的である。時間スケール150
年(リアプノフ・タイム?)。しかし、1E+8年の間、地球軌道近傍に残ってい
る。この間ずっと馬蹄形になってはいない。1E+5年で馬蹄軌道から軌道長半径 
1.1AU の非馬蹄軌道へ移る。3753がなぜ現在の軌道にあるかの起源も謎である。

title	The Kozai mechanism and the stability of planetary orbits in binary star systems
author	Innanen,K.A., Zheng,J.Q., Mikkola,S., and Valtonen,M.J.
journal	Astron. J.
volume	113
pages	1915-1919
years	1997
report	伊藤孝士

連星primaryの周縁惑星に対して永年共鳴の方法論を適用し、Kozai resonance
の発生の仕方などを見た。数値計算もやっている。質点連星モデルの場合には、
小惑星の場合と同様に Kozai resonanceが発生する。面白いのは惑星を複数に
した場合で、この時は惑星の軌道面達があたかも剛体の如く行動を共にする、
いわゆる dynamical rigidity が発生する。この現象は制限問題の場合には
現われて来ず、惑星間の相互作用が原因していると思われるが、詳細な解析に
は今後の研究が待たれている。安定性の初期傾斜角と質量比依存性は表一と
してまとめられている。
(注・問題意識と計算方法は Holman et al.(1997, Nature)とほとんど同じ ←谷川氏)

title	Sighting the seas of Europa
author	McKinnon, W.B.
journal	NATURE
volume	386
pages	765-767
years	1997
report	関口朋彦

1979年探査機ボイジャーによって撮られた画像から、木星の衛星ユーロパには
H2Oの氷が存在する事が分かっていた。そして今回木星を周回している惑星探
査機ガリレオが、ユーロパの表面に『液体の水』の存在を示す高分解能画像を
送ってきた。この画像には、いわば初期のプレートテクトニクスを示すような
中央海嶺のような地殻の裂け目、液体H2Oが吹き出した(水の火山)ような斑点、
海に浮かぶ氷山のような氷塊、ジグゾーパズルのような砕氷が捉えられている。
これらはユーロパには液体の水が存在する証拠と言えるものである。しかし、
現在の考えられている固体惑星(衛星)の理論モデル(熱史計算)では、あらゆる
内部熱源や潮汐加熱(衛星Ioでは理論的に証明)を考えても表面を融かす(火成
活動を維持し得る)温度には達しない。NASAではこの謎を解明すべく、レーダー
測深機やレーザー高度計を積んだ新たな探査機を送り込む事を考案し始めている。
・備考  EUROPA
	赤道半径:1565km、質量:4.8×10^22kg、平均密度:3.0g/cc、
	離心率:0.0003、軌道長半径:6.7×10^5km

title	Double pull keeps satellites in their place
author	Kimmo Innanen and Seppo Mikkola の仕事を Mark Ward が紹介している
journal	New Scientist
volume	15 February 1997
pages	24
years	1997
report	梅原広明

地球や金星の周りに逆行の安定軌道があることを、制限三体問題の数値計算に
よって発見した。たいていの微小天体は太陽か地球に衝突するが、次のような
軌道上に捕獲されている現象を発見した。地球の周りでは、長径 3800万km・
短径 1900万km で軌道は地球の公転平面上にあり、周期は一年である。軌道の
安定性は太陽・惑星両方の質量に依存する。木星や土星の周りにはこのような
安定軌道は存在するが、減衰する(この記述意味不明?)。また、この軌道は
他の惑星の影響を加味しても安定であることがわかった。この研究は近日中に
Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy 誌への掲載が予定されている。

title	Tidally driven inclination instability in Keplerian disks
author	Lubow,S.H.
journal	Astrophys. J.
volume	398
pages	525-
years	1992
report	廣瀬雅人

離心率のある降着円盤や傾いた円盤/リングについての数値シミュレーション。
この理論を使えば、SU Uma型矮星の降着円盤や天王星リングのモデル化を行う
ことも可能である。仮定として,
	・幾何学的に薄い降着円盤
	・圧力、粘性、自己重力は弱い
	・潮汐を及ぼす伴星は小さい
を置き、円盤内での不安定を線型解析+摂動論的アプローチで解く。この結果、
内側での eccentric Lindblad共鳴 が円盤やリングの離心率を増大させてゆく
ことがわかった。また、円盤の傾きの成長率は離心率の成長率の 2% 程度であ
ることもわかった。この論文は伝統的な流体力学的アプローチを用いているが、
天王星のリング等の安定性についてもまったく同様の方法で解析することがで
きるはずである。

title	The stability of multi-planet systems
author	Chambers,J.E., Wetherill,G.W. and Boss,A.P.
journal	Icarus
volume	119
pages	261-268
years	1996
report	谷川清隆

離心率も軌道傾斜角も小さい2個の小さな惑星が太陽を回っているとき、初期
軌道半長径の差$\Delta$が相互ヒル半径$R_H$で測って$2 \sqrt{3}$より大き
ければ、エネルギーと角運動量の保存により、軌道は安定である. この論文で
は惑星の数がもっと多い場合に数値積分で系の安定性を調べる. $\Delta <
10$ならつねに不安定であって, $b$と$c$を定数として, 最初の大接近までの
時間$t$は近似的に$\log t = b \Delta + c$で与えられることが判った. 
$\Delta > 10$であっても系は不安定であり得る. $\Delta$を従来のように
$R_H \propto m^{1/3}$とせずに, $m^{1/4}$を単位にして測ると, 傾き$b$は
惑星の数に弱く依存し, 惑星の質量$m$には依存しない. 複数惑星の惑星系が
不安定であるのは, 各2惑星部分系のエネルギーと角運動量が, 他の惑星の摂
動により保存しなくなるためである. この結果から示唆されるように, 惑星胚
が孤立するようになるのは, 地球型惑星の形成の最終段階になって二体近接衝
突が起こらなくなってからである. この段階では, 孤立化のほかの要因も否定
できない.

title	Chaotic variations in the eccentricity of planet orbiting 16 Cygni B
author	Holman,M., Touma,J., and Tremaine,S.
journal	Nature
volume	386
pages	254-256
years	1997
report	谷川清隆

最近16 Cyg Bのまわりを回っている惑星が発見されたが、これは知られて
いる惑星のうち最大の離心率(e=0.67)を持つ. 系における重力相互作用によっ
て軌道が大きな離心率を獲得する可能性がないではないが, 星を取り
巻く円盤からできる惑星はほぼ円軌道を持つと期待される.
この論文では16 Cyg Bbの離心率の大きな軌道が遠い伴星16 Cyg Aとの重力相
互作用から生じることを示唆する. 16 Cyg Bbが16 Cyg Aの軌道面から
45°ないし135°傾いた軌道面でほぼ円軌道上に形成したと仮定し, また30天
文単位以内に木星程度の質量の惑星がないとすると, 16 Cyg Bbは大傾斜角と小
傾斜角の間を振動する. これらの軌道間の移行は 10^7 - 10^9 年の間に起こ
り, 惑星は生涯の35% を e>0.6 で過ごす. これらの結果からすると, 連星系
にいる惑星の場合, たいてい離心率の大きな期間やカオスの期間を持ち, また
主星と衝突することもある.

title	Precambrean length of day and the validity of tidal rhythmite plaleotidal values
author	Williams, G.E.
journal	Geophys. Res. Lett.
volume	24
pages	421-424
years	1997
report	伊藤孝士

潮間堆積 rhythmite から得られる paleotidal record は過去の地球自転速度を
知る重要な手掛かりであるが、堆積環境によっては systematic abbreviation を
受けている場合もあり、読み取りの際には細心の注意が必要である。筆者らが
取得した南豪州 Elatina-Reynella rhythmite (620Ma) からは、14.4 sidereal
months/year, 401 siderial days/year, 19.5 years (lunar nodal period) の
三種が独立に得られる。これらをそれぞれ月軌道の歳差方程式(角運動量保存則)
・ケプラー第三法則・もっともらしい潮汐モデルの式にブち込んでみたところ、
月の軌道半長径 a/a0 はいずれの場合にも 0.96 付近の似通った値が得られた。
独立なデータを独立な物理法則に当てはめて似たような結果が得られたことから、
この Elatina-Reynella rhythmite (620Ma) のデータは非常に信頼性が高いと
いうことが言える。Tidal rhythmite のデータには最低でもこの程度の信頼性が
必要である。
# One directly determined value しか採れんデータは駄目っちゅうことやね

title	Equatorial glaciation and the Precambrean climate paradox:
subtit	Plaomagnetism of the paleoproterozoic (Huronian) Gowganda and Lorrain Formations, Ontario, Canada
author	Williams, G.E.
journal	Abstract submitted for the AGU Spring Meeting at Baltimore, May, 1997.
years	1997
report	伊藤孝士

Proterozoicには低緯度付近で glaciation があったという地質学的証拠が
再び見付かった。カナダの Huronian Supergroup には広い範囲で Paleo-
proterozoic (2400-2300Ma) の glaciogenic deposits が見つかっている。
ここまで古くなると古地磁気の測定は難しいが、中には伏角 5.5°などと
いうデータも出ている。これは、豊富な入射エネルギーを誇る低緯度帯に
凍土の痕跡が存在するという気候的パラドックスに更なる確証を与えるもの
と考えられる。

title    Understanding Librations via Time-Frequency Analysis
author   Tabare Gallardo and Sylvio Ferraz-Mello
journal  Astron. J.
volume   113
pages    863-870
year     1997
report	木下宙

平均運動共鳴状態にある力学系を軌道要素の時間変化の代わりに
臨界引数の周波数、位相、振幅の時間変化とそれらのフーリエ解析
によって大局的な系の挙動に関する情報を得る。この応用として
2:3,3:5,1:2平均運動共鳴を議論している。
 学部の卒業論文か修士論文のレベルであって、特に目新しい
ことはない。最近のフーリエ解析、パワースペクトラム解析の
情報を得るのに適当か?

title	Large scale chaos and the spacing of the inner planets
author	Laskar,J.
journal	Astron. Astrophys.
volume	317
pages	L75-L78
years	1997
assign	谷川清隆

要約.
太陽系の方程式を10億年単位で広範囲にわたって積分した結果, 内惑星の間隔は
惑星の軌道の大域的カオスの結果であることを示した. 惑星のさ迷い歩く範囲を
制限するのは, 角運動量欠損(AMD)(円でなくまた平面でないことから来る角運動
量の部分)が準保存することだけである. →内惑星の配置は力学進化の結果であり,
形成時のものでない可能性がある.

本文.
内惑星の軌道はカオスで, 外惑星の軌道はカオスでない(Laskar, 1989, 1990, 1994; 
Sussman and Wisdom, 1988, 1992). 内惑星は動いても不思議ではない. 惑星系の
リャプーノフ時間は 500万年 (Laskar 1989, Sussman & Wisdom, 1992). 1億年より
長い時間では乱歩過程になるだろう. 制限するのはエネルギー保存と角運動量保存. 

AMD.
角運動量を平面円運動成分とそれ以外の成分に分ける. 後者を角運動量欠損(AMD)と
呼ぶ. これ全体が保存する. 個々の外惑星はそれ自身のAMDを保存するだろう. 結局,
内惑星のAMDが全体として保存する. 個々の内惑星のAMDは必ずしも保存しない. 
そこで惑星間のAMDのやりとりを調べる(図1). 数値計算によると, 内惑星のAMDの
やりとりは大きく, 外惑星とのやりとりは小さい.
(評:外惑星とのやりとりが小さいのは当然の気がする. 内惑星同士では, 
「相対ヒル半径」という考えとは合わないように見える)

筆者らの予想.
太陽系初期に内惑星領域に他の惑星があったとする. このときカオス運動は今より
激しく, 太陽との衝突を起こしてしまうだろう. 現在の内惑星は生き残りである. 

惑星間隔を見積もる.
  条件1) 各惑星のAMDが内惑星全体のAMDより小さい. 
  条件2) 各惑星のsweep zoneは重ならない. もっと強く, 内側の惑星の遠点
         が外側の惑星の近点の 90% 以下である. 
  条件3) 内惑星領域は小惑星以内(1.85AU)

結果は 図2. 現在の惑星間隔とよく合っている. → 惑星間隔は力学進化の結果である. 

title	Kuiper belt searches from the Palomar 5-m telescope
author	Gladman,B. and Kavelaars,J.J.
journal	Astron. Astrophys.
volume	317
pages	L35-L38
years	1997
assign	谷川清隆

動機:
カイパーベルト天体のサイズ分布はたいへん面白い. KBO同士は無衝突と思われて
いたが,最近では45億年間では無視できないと云われている(Stern, 1995).
KBO天体がどの程度大量にあるのか?カイペーベルトのサイズ分布を理解したい.

目的:
1) すでに発見されている天体のその後を確認すること(軌道を改良する). 
2) 他の探査観測の限界等級よりも暗い小さな天体を捜すために一つの視野に関して
   深い観測をすること. 

目的の正当化:
視野を絞ることの不利を深さでカバーする. サイズ分布がべき則なら, 等級を下げ
れば数が増える. 視野が狭くてもいいだろう.

研究手段:
パロマーの5m望遠鏡による観測(1994-1996). 

結果: 
  0) 新しい天体は一つも見つからなかった. 
  1) 18個の天体を追認した.  
  2) R 〜 25より明るい天体は黄道において0.05平方度あたり1個未満である
     ことがわかった. KBOの光度関数に拘束条件を与えた. 

観測手法:
4〜6時間露光して限界等級26にいく.  ただし一度の露光では済まない. 露光時間
は300". これでは23等のものしか検出できない. そこでソフトウエアで結果を積分する.
パロマー5m望遠鏡の主焦点に 2048×2048 のCCD. 視野はほぼ10'×10'. 衝(しょう,
opposition)のときはKBOは逆行速度 3-5"/hour. 露光時間 300" が限度. 

title	Absence of a planetary signature in the spectra of the star 51 Pegasi
author	David F.Gray
journal	Nature
volume	385
pages	795-796
years	1996
assign	伊藤孝士

Mayor & Queloz が報告したペガサス座51番星の大惑星は、中心星の視線速度
の変化によって観測されたものである。だが、高分散の分光観測をしてみた
ところ、実はスペクトルの型(spactra profile)自体が同じ周期で変化してい
るということがわかった。惑星の運動によるドップラーシフトであればスペ
クトル型は変化するはずがない。従って、惑星の存在により説明された観測
結果は、実は中心星自体の活動の証拠を示していた可能性が高い。Mayor 以
外の惑星発見速報もそのほとんどが視線速度の変化に依存するものなので、
いずれも実は惑星の存在を示すものではないと予想される。Mayor & Queloz 
の観測の精度は高いものではなかったので、こうしたスペクトル型の変動を
見つけることができなかった。今後は、中心星のどのようなメカニズムがこ
のようなスペクトル型の周期変動をもたらすのかを知るためにも、更に高分
散かつ長期間にわたる観測が必要である。

title	分子クラスターにおける生成と崩壊のダイナミクス
author	志田典弘
journal	数理科学
volume	396
pages	50-56
years	1996-06
assign	梅原広明

下記文献[1]の問題意識を浮き彫りにするために、表記論文を紹介した。数値
シミュレーションによると、Lenard-Jones ポテンシャルを仮定したアルゴン
分子の7体系は約15K(ケルビン)以下では、対称性の高い最安定なクラス
ターを形成しているが、約15kで別の安定構造へ遷移する。これは従来の化
学反応論で基礎的な遷移状態理論では、15Kという相転移点を説明できない。
遷移状態理論では、自由度2の系を仮定し、配位空間におけるポテンシャル曲
面の鞍点を主要な遷移経路としている。しかし、7体系においては自由度が大
きいため、鞍点以外の定常点も存在する。これに注目し、主要な遷移経路は鞍
点以外の定常点を通っているこを示した。この経路は、15Kで相転移が起こ
ることも説明する。

なお、表記論文では相空間のうち、運動量空間を無視した議論である。文献
[1]では運動量空間も考慮した上で、分子のクラスター形成を論じている。そ
れを後日紹介する予定である。このように統計化せずに相空間を直接観察しよ
うとするアプローチは、分子動力学の分野で行なわれ始めていることであるが、
重力多体系におけるクラスター形成を議論する上でも参考になるのではないか
と思い、表記論文を紹介した。

[1]  Shinjo K.,1996, "Hamiltonian systems with many degrees of freedom:
     Asymmetric motion and intensity of motion in phase space", Phys. Rev. E,
     54,pp.4685-4700

title   On relationship between Lyapunov times and macroscopic instability times
authors Morbidelli, A. and Froeschle, C.  
journal Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume  63
pages   227-239
year    1996
assign  谷川 清隆

Lecar et al.(1992)が見つけた惑星系の安定性に関する2種類のタイムスケールの
log-logでの直線関係の起源を説明しようとする仕事である。かれらの考えでは、
共鳴のありようが本質的である。共鳴がなかったり、あってもひとつであったり、
複数あっても相空間で互いに遠ければ、系の進化は基本的にネホロシェフの示した
アーノルド拡散のタイムスケールで起こる。この場合、系の巨視的不安定性時間
はリャプーノフ時間に指数関数的に依存する。ところが共鳴が重なりあっているとき、
すなわち、resonance overlappingがあるとき、系はひとつの共鳴から次の共鳴
へリャプーノフ時間の冪乗で移りかわっていく。これがかれらの主張である。
根拠はいまのところそれほど強固ではない。

title   On predicting long-term orbital instability: a relation between the Lyapunov time and sudden orbital transitions
authors Lecar, M., Franklin, F., and Murison, M. 
journal Astronomical Journal
volume  104
pages   1230-1236
year    1992
assign  谷川 清隆

惑星系の安定性に関する2種類のタイムスケールの間にlog-logで直線関係を見つけた
仕事である。タイムスケールのひとつはリャプーノフ時間T_Lであり、もうひとつは
大惑星の軌道と交差するまでの時間T_Cである。この論文では3種類の小天体の安定性
を数値積分で調べた。(1) 小惑星、(2) 木星・土星間の仮想的小惑星、(3) 惑星の
まわりの衛星(制限三体問題)。得られた関係式はT_C ∝ T_L^b, b 〜 1.8である。

title	Recurrence time in the homoclinic tangle
author	Contopoulos,G. and Polymilis,C.
journal	Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy
volume	63
pages	189-197
year	1996
assign	中戸美貴

Poincare section 上に現れる不安定周期点のlobesに対する minimum recurrence
time (最小再帰時間) を定義し検証した。ここに最小再帰時間とは、ある lobe
から lobe へ移るために必要な iteration 回数のことである。Poincare theorem
から導かれる従来の recurrence time より短いことが確かめられた。また、エネ
ルギーを増加させるにしたがい、最小再帰時間は減少する。また、escape をひき
おこす系(Poincare recurrence time が定義されないような case)でも最小再帰
時間は定義でき、大変有効である。

title	Strange nonchaotic attractors in autonomous and periodically driven systems
author	Anishchenko,V.S., Vadivasova,T.E., and Sosnovtseva,O.
journal	Phys.Rev.E
volume	54[4]
pages	3231-3234
years	1996-02-15 (Received)
assign	梅原 広明

Strange nonchaotic attractor (SNA) とは、フラクタル構造をなすが、軌道
の指数的発散のない極限集合のことである。今までの研究では SNA は準周期
的な外力がある系のみで見られていた。我々は、自励的な4次元写像系(two
coupled ring maps) と周期的な力を受けた 3次元微分方程式系で、SNA があ
ることを発見した。

title	Wavelet analysis of the asteroidal resonant motion
author	Michtchenko,T.A. and Nesvorny,D. 
journal	Astron.Astrophys.
volume	313
pages	674-678
years	1996-01-08 (Received)
assign	梅原 広明
  
土星の摂動を考慮した木星との2:1共鳴にある小惑星の軌道計算結果を
Wavelet解析によって分析した。すると、非常に不規則な運動をする軌道にお
いても、近点経度の振動数の時間依存性を正確にとらえることができ、特定の 
secondary resonance の一時的な捕獲過程や遷移過程を抽出することができた。
ちなみに、従来よく行なわれているFourier 解析では、振動数成分の時間変化
を記述することができない欠点がある。それの改良版である Windowed
Fourier 解析やLaskar の Frequency 解析があるが、これらは振動数が大きな
スケールではやく変わる場合(様々な secondary resonances のオーバーラッ
プ等)には適用できない。

title	Chaotic transitions in resonant asteroidal dynamics
author	Ferraz-Mello,S., Klafke,J.C.,Michtchenko,T.A. and Nesvorny,D.
journal	Cele.Mech. and Dyna.Astr.
volume	64
pages	93-105
years	1996
assign	梅原 広明

表記雑誌は、1995年夏にアルゼンチンで行なわれた "Chaos in Gravitational
N-Body Systems" という研究会の招待講演の集録を掲載している。表記論文は
3:1や2:1共鳴帯における小惑星のギャップや、3:2における小惑星群
の統括的な説明をしたレビュー論文である。筆者等は、3:1共鳴における小
惑星が木星以外の惑星軌道と交差するメカニズムをWisdom(1982) によるポア
ンカレ・マップによる解析の改良版で浮き彫りにした。しかし、2:1領域に
おける小惑星不在の原因は、同様の解析では説明できない。そこで、筆者等は 
Fourier 解析によって、様々なsecondary resonances のオーバーラップが小
惑星の拡散を引き起こしていることを捉えた。最後に同様の解析方法を用いて、
3:2領域では小惑星が60個ほど発見されて群をなしているという観測結果
を説明した。ポアンカレ・マップによる解析では小惑星の離心率 e > 0.3 で
は、木星による散乱を受けることを説明し、振動数解析では e < 0.1 におい
ては secondary resonance の影響で散乱されることを示した。0.1 < e < 0.3 
においては3:2領域から拡散されるメカニズムが2:1領域と同様にあるの
だが、タイムスケールが10^9 年であるためになかなか拡散されないで群をな
していると説明した。

title	Dynamical instabilities and the formation of extrasolar planetary systems
author	Rasio,F.A. and Ford,E.B.
journal	Science
volume	274
pages	954-956
years	1997
assign	伊藤孝士

近年、太陽系外の星に惑星が次々と発見されている。然るに、これらの多くは
木星程度の巨大な惑星が主星から0.1AU程度の近距離を数日の公転周期で回っ
ているという異常な状態であるか、または離心率が非常に大きな長楕円軌道で
ある。このような惑星系を作り出すメカニズムとして、この論文では初めに木
星型の惑星を二個置き、それらの close approach によってどちらかが系から
放出され、もうひとつは主星の近傍に寄って行ったという説を提唱する。約一
千回の数値実験を行ってこれを検証した。これによれば、約半数の場合には惑
星同志の衝突が生じた。また、衝突が生じない場合には、どちらか(多くは外
側)の惑星が放り出され、内側の惑星は主星の近傍を周回するようになるか、
近星点が非常に近い長楕円軌道になった。この後、おそらく何らかの潮汐作用
によって惑星の軌道は円に近くなると予想される。

title	On runaway growth of planetesimals
author	Kokubo,E. and Ida,S.
journal	ICARUS
volume	123
pages	180-191
years	1996
assign	伊藤孝士

均質な質量分布を持つ微惑星群の集積過程を直接 N体計算し、原始惑星の暴走
成長 runaway growth が生じることを実験的に確認した。これによると、三次
元の数値実験の場合、いくつかの微惑星が全体の質量分布曲線から大きく外れ
た成長の様子を見せた(暴走成長)。従来の統計的研究はおおまかには正しい
ということが判明した。また、二次元の場合には惑星成長の質量依存性が三次
元の場合とは本質的に異なるので runaway が生じず、orderly growthの様相
を呈する。すなわち二次元の計算は本質的に現実とは異なったものであるとい
うことがわかった。今後は原始惑星の生成後のステージ 〜 post-runaway stage
についての検証を進めて行く。 

title	Orbital evolution of protoplanets embedded in a swarm of planetesimals
author	Kokubo,E. and Ida,S.
journal	ICARUS
volume	114
pages	247-257
years	1995
assign	伊藤孝士

微惑星群の中での原始惑星の成長を直接の N体計算によって調べた。微惑星は
成長→反発→dynamical frictionによるなまり→成長→… を繰り返し、不安定
を生じない距離で次第に円軌道に近い振る舞いすることがわかった。このプロセ
スの時間スケールは成長の時間スケールに比べて非常に短く、モデルは正しい。
ただ、微惑星がさほどの質量に成長しないうちに安定化してしまうので、現在の
惑星の質量や間隔を説明するには更に長期的な計算を行う必要がある。

title	The stability of multi-planet systems
author	Chambers,J.E., Wetherill,G.W., and Boss,A.P.
journal	ICARUS
volume	119
pages	261-268
years	1996
assign	阿部博

Gladman(1993)が三体問題の Hill stability を徹底的に調べたのを受け、
N>3の惑星系について惑星間隔と Hill stability の関係を詳細に二次元数
値計算した。その結果、N>3でもGladman(1993)の結果が定性的には拡張でき
ること、惑星間隔Δと Hill stability の時間スケール t が定数 b と c
を用いて log t = b*Δ + c に極めて良くフィットできるという事実を発見
した。上の関係は惑星の質量比や惑星個数にほとんど依存しないので、より
本質的な物理量の敷衍だと思われる。

cms-local@tabby.mtk.nao.ac.jp