データベース天文学推進室
16年度の最大の目標であった欧米のヴァーチャル天文台(VO)システム との
相互接続試験に成功し,お互いが保有する天文データや計算資源を共有 する
仕組みが構築できた。また,観測データ登録機能,メタデータ登録機能等を
実装すると共に,いくつかの解析モジュールをJavaラッピングによりVOシステムに
登録できた。
さらにJAXA/ISASが運用する天文データベースをJVOシステムに接続することができた。
その結果,複数データベースを用いたクェーサー探査,多波長データを活用した銀河の
photometric Zの決定等,天文研究を展開する ことが可能となった。
これらにより本システム構築の基盤が整った。 VOの相互接続に必須である標準を
定めるIVOAワークショップは, 2004年5月に米国,また2004年9月にインドで開催された。
JVOからも関連研究者が参加し, それぞれが研究開発しているVOシステムを
相互接続するための標準作りに関 する活発な議論を行った。
その結果に基づいたシステム製作により,上述した 日米欧のVOシステムの相互接続試験に
成功した。これら研究開発成果を多く の研究会において公表することを通して世界における
VOへの理解がより深まっ ただけでなく,我が国の活動度の高さを周知することができた。
国内では, すばる望遠鏡で取得したサーベイデータを対象とし,VOを通じて天文研究を
行う方法についてのサマースクールを開催した。
この他にも今年度獲得に成功した日本学術振興会先端研究拠点事業経費 を活用して,
欧米研究機関の直接訪問のみならずVO関連研究者による国際 打ち合わせ等にも参加し,
欧米における最新の開発状況を知ることができただけ でなく,我が国における開発の
最新状況を知らせるなど,共に足並みを揃えて 研究開発を進めてゆくための重要な
関係を築くことができた。年度当初は日本 側が欧米に訪問することが主体であったが,
年度後半にはストラスブール データセンター(CDS)所長が国立天文台を訪問し台長との
懇談を行うなど, 研究機関同士の連携がさらに強化された。その副産物として日本天文学会が
刊行する欧文研究報告誌(PASJ)に含まれる各種データがCDSを通じて世界 の天文研究者に
公開されることとなった。 また将来を担う若手研究者を積極的に派遣し,全体の派遣人数のうちほぼ
半数を若手研究者が占めた。このような派遣は我が国の若手研究者にとって重要な
人的ネットワークが築かれつつある。
研究者交流等を通じて我が国の 研究開発状況が世界に認知されるに伴い,
我が国を訪問してその研究成果 を学習したいとの要望も多く寄せられている