平成16年度センタープロジェクト報告 DB/DAプロジェクト 市川伸一、榎基宏、吉野彰、出田誠、 仲田史明、矢治健太郎、高田唯史、 ほか国立天文台内外の方々。 DB/DAプロジェクトは、データベースとデータ解析に関する研究開発、 および、天文データセンターの運用を行うセンタープロジェクトである。 ◎天文データセンターの運用 天文カタログ(天体の特性を表す数値や文字が表形式になったデータ)、 文献データベース(天文論文誌の機械可読データ)、天文画像(全天乾板の デジタイズ版である DSS/DSS2など)、IUEデータアーカイブ、 HSTデータアー カイブなどの天文データを収集・管理して公開し、国内外の天文学研究者や 教育関係者の利用に供している。 運用の中核は、ハワイ観測所(すばる望遠鏡)、岡山天体物理観測所、東京 大学木曽観測所のアーカイブデータを公開している SMOKAシステムである。デ ータの蓄積とともに SMOKAの利用は増加しており、平成16年度に SMOKAから 利用者に供されたデータ量は前年度の 1.5倍、2372GBに達した。SMOKA から取 得されたデータによる天文学研究論文も徐々に増えてきており、平成16年度 に主要論文誌に掲載されたものは5編であった(前年度は4編)。SMOKA の有 用性は研究面だけにとどまらず、高校地学の実習教材の開発など教育面にもわ たってきている(参考: http://paofits.dc.nao.ac.jp/)。 平成16年度は長年続いた運用に変化があった。シカゴ大学出版関係の文献 データベース(ApJ,AJ,PASP)は出版側のソフトウエア更新に追随することが 困難であったため、平成16年末で国立天文台での公開を終了した。また、限 られた人員と予算を SMOKAに集中的にあてるため、平成17年度初めにかけて いくつかのサービスの廃止をすすめつつある。 これらサービスは全て天文データセンターの WEBページ(http://dbc.nao.ac.jp) からアクセスできる。 ◎データベースとデータ解析に関する研究開発 SMOKAの開発を引き続き進めている。データの蓄積が進むにしたがって、利 用者が必要とするデータを迅速に見いだすための検索機能の強化が求められて きている。平成16年度は、新たな検索機能として、ピンポイント検索(精密 な位置検索)、FITS ヘッダの全文検索、FITS ヘッダ記載の全項目検索を開発 した。あわせて、運用の効率化のためのチェックツールや体系的運用ドキュメ ントの整備も行った。また、すばる望遠鏡 SuprimeCam データについて、観測 効率の向上とアーカイブデータ選択の高度化を目指した品質評価システムの試 作を行った。 また、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部宇宙科学情報解析センターと 協同で jMAISON の開発を引き続き進めるとともに、宇宙科学研究本部との間 のスーパーSINET 専用接続を活用した天文データベースの連携運用などの実験 研究を進めた。 以上。