巻頭言

天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics, CfCA)は、 2006年4月に国立天文台天文学データ解析計算センターが「天文データセンター」と「天文シミュレーションプロジェクト」に分割・改組され発足したものです。従来のデータ解析計算センターの中で「大規模シミュレーション運用グループ」と呼ばれていた、理論シミュレーション用スーパーコンピューターと重力多体問題専用計算機 GRAPE の共同利用をおこなってきたグループが母体となっています。

2007年度末には計算機システムがリプレースされ、 VPP5000 が NEC SX-9 とCray XT4 の複合システムとなり、演算能力で50倍の増強を実現しました。また、GRAPE-7 システムも運用を開始し、従来の GRAPE-5 システムに比べると30倍の計算能力の増強を実現しました。Cray XT4 システムは国内では2008年6 月時点のLINPACK ベンチマーク性能で6位(2009/6 では11位)となっており、国内最大級の計算機システムの1つです。

2008年度は、このようなシステム増強により、従来からのユーザーが一層の成果をあげただけでなく、数多くの新しいユーザーが参入しています。その結果、この年報にある通り多くのユーザーが利用し、素晴らしい研究成果をあげたことはプロジェクト長として嬉しい限りです。

今後も、多くのユーザーが有効に研究に利用でき、素晴らしい研究成果をあげられるシステムを提供すべく努力を続けていきたいと考えています。


2009/8/3
天文シミュレーションプロジェクト プロジェクト長 牧野淳一郎


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