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天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイ」,さらに2倍の計算速度へ

国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics,CfCA)では2014年9月11日から30日,数値計算専用スーパーコンピュータCray XC30システム「アテルイ」のアップグレードを行い,同10月1日より共同利用運用を開始しました.今回のアップグレードでは最新のCPUへの交換によって,理論演算性能がこれまでの502Tflopsから約2倍の1.058Pflopsに向上し,アテルイはペタフロップスマシンへと飛躍しました.新しいアテルイではこの性能を活かし,シミュレーション天文学の観点からさらなる宇宙の理解を加速させることが期待されます.

スーパーコンピュータ「京」を用いた計算で超新星爆発のニュートリノ加熱説が有望に

国立天文台の滝脇知也(たきわき ともや)特任助教、福岡大学の固武慶准教授、京都大学の諏訪雄大特定准教授らの研究チームは、スーパーコンピュータ「京」を用いて超新星爆発の大規模数値シミュレーションを行い、超新星爆発がニュートリノ加熱によって起こる可能性を示しました。超新星がどのようなメカニズムで爆発するのかは、複雑な高エネルギー現象が絡みあうため、天文学者が50年も頭を悩ませている難問です。ニュートリノ加熱説は有力ではありましたが、これまでは星の形状を完全な球と仮定するなど、現実の超新星爆発とは異なる設定のシミュレーションしか行えなかったため、それが正しいかどうかの議論を進める事ができませんでした。今回、スーパーコンピュータ「京」を用いることで、かつてないほどの大規模なシミュレーションが可能になりました。そのため、より現実に近い設定で超新星爆発の計算を行うことができるようになったのです。その結果、自然な仮定の下に超新星が爆発する初めての例を得ることができました。これはニュートリノ加熱説を支持する強力な証拠と言えます。

子供達に押し出された巨人 〜最新のコンピュータシミュレーションによる太陽系外惑星系における謎の解明〜

近年の太陽系外惑星探査では1つの恒星の周りに複数個の惑星が存在する「多重惑星系」の発見例が増加しており、「ホットジュピター(灼熱巨大ガス惑星)の近傍には他の惑星が観測されない」という観測的特徴が明らかになってきました。ところが、惑星系形成理論は、この特徴の起源を説明できず、重要な謎として注目を集めていました。名古屋大学大学院理学研究科の荻原正博・博士研究員らの研究グループは、多重惑星系の形成過程を模擬した最新のコンピュータシミュレーションを実行した結果、ホットジュピターはその軌道の外側に形成した地球型惑星によってその軌道が内側に追いやられ、最終的には恒星と衝突して飲み 込まれるというメカニズムがあることを発見し、このメカニズムを「クラウディングアウト(押し出し)」 と名づけました。そして、このメカニズムを惑星系形成理論に導入すると上記の「ホットジュピター近傍での惑星欠乏」を自然に説明することが可能であることを示しました。この結果は、観測的な謎への解決案を提示したという直接的な成果だけでなく、「ハイブリッドシナリオ」という新しい惑星系形成シナリオの有用性をはじめて実証したという観点でも非常に重要であり、今後の惑星系形成理論を大きく進展させる可能性のある新たなフロンティアを提供したことになります。この成果は英国物理学会出版の発行する米国科学論文誌 「アストロフィジカルジャーナル・レターズ」電子版に11月6日に掲載されます。

土星の環を飾る「プロペラ」模様

国立天文台の道越秀吾、小久保英一郎の研究チームが重力多体問題専用計算機GRAPEシリーズの最新版であるGRAPE-DRを用いて大規模シミュレーションを行い、土星の環で見られるプロペラ構造の形成機構とその形成条件を世界で初めて明らかにしました。(2011年4月28日 発表)

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