すばる望遠鏡発の精密宇宙論の幕開け ―ダークマター、ダークエネルギーの解明を目指して―
【概要】
すばる望遠鏡の威力を最大限発揮させた超広視野主焦点カメラ ハイパー・シュプリーム・カム(Hyper Suprime-Cam,HSC)による宇宙観測の国際共同研究プロジェクトは,宇宙の3次元ダークマターの空間分布について最も深く(過去の宇宙)かつ広い天域の地図を作成し,解析しました.東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の日影千秋特任助教を中心とする,東京大学,国立天文台,名古屋大学,米国プリンストン大学,米国カーネギーメロン大学,台湾中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)の研究者らからなる国際研究チームは,約 1000 万個の銀河の形状における重力レンズ歪み効果を観測することに成功し,銀河などの宇宙の構造の形成の度合いを表す物理量を精密に測定しました.今回の HSC の結果と欧州宇宙機関(ESA)の宇宙背景放射観測衛星「プランク」および他の宇宙観測の結果と組み合わせることで,研究チームは宇宙最大の謎であるダークエネルギーの性質についても知見を得ることに成功しました.(2018年9月26日 プレスリリース,10月3日掲載)


内容の詳細についてはこちらをご覧ください:Kavli IPMU プレスリリース「すばる望遠鏡発の精密宇宙論の幕開け ―ダークマター、ダークエネルギーの解明を目指して―」
【本研究で使用されたスーパーコンピュータについて】
この研究では,観測結果とモデルとを比較し,宇宙の構造の成長度合いを表す物理量 S8 などの様々なモデルパラメータの確率分布を推定する計算に,CfCA が運用する「計算サーバ」と「アテルイ」が用いられました.
「計算サーバ」(画像上)は小規模,非並列のシミュレーションのための計算機群で,2018年10月現在 224 ノードが運用されています.
「アテルイ」(画像下)は国立天文台が運用する第4世代のシミュレーション天文学専用スーパーコンピュータで,1.058 Pflops の理論演算性能を有し,2018年3月まで運用されていました.
【プレプリントについて】
題目:Cosmology from cosmic shear power spectra with Subaru Hyper Suprime-Cam first-year data
著者:Chiaki Hikage, Masamune Oguri, Takashi Hamana, Surhud More, Rachel Mandelbaum, Masahiro Takada, et al.
arXiv番号:1809.09148
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【関連リンク】
Kavli IPMU プレスリリース「すばる望遠鏡発の精密宇宙論の幕開け ―ダークマター、ダークエネルギーの解明を目指して―」
すばる望遠鏡 プレスリリース「すばる望遠鏡発の精密宇宙論の幕開け ―ダークマター、ダークエネルギーの解明を目指して―」
国立天文台 プレスリリース「すばる望遠鏡発の精密宇宙論の幕開け ―ダークマター、ダークエネルギーの解明を目指して―」